一話一膳
一話一膳トップに戻る
本日のお品書き
君、あきれて画面を閉じるなかれ
ミョウガのお造り
  ぼくは独身でありながら、あるいは独身であるがために料理が好きだ。
  男の料理というとどうしても「3日煮込んだカレー」とか「4日蒸しあげたチャーシュー」とか「豪快華麗にして言語道断でありながらマッタリとしたサトイモの煮っ転がし」などとおおげさなものになりがちだ。
  実際、料理が好きだというと多くの人が「どんな(すごい)料理を作るのですか??」と不審の目を向けてくる。いくらぼくの顔がいいからと言って失礼な話である。ぼくは家庭料理しか作らないのだ。

  ぼくの料理の基本方針はいくつかある。方針のないところに成功はない。方針があれば成功があるとは保障されないにしても。

1、ビールにあう。
  これは絶対原則であり、最低でも酒にあう必要がある。
2、作るのが簡単。
  食材の購入はもちろん、完成するまでの時間が少ないことが大切だ。
3、太らない。
  ご飯やパスタのような食材は除外される。しかし例外は多い。
4、できるだけ日持ちする。
  食べきれない、食材が腐るなどの問題は回避するべきだ。
5、一人前。
  これが最難関である。


  初夏に旬を迎える食材は意外に多い。旬ということは安売りされることであり、もっとも美味しいことが担保されるのだ。食べない手はない。

  ミョウガ。茗荷とも書き、食べるとバカになると噂される食材だ。茗荷とは孔子の愚弟の代表者であり、悟りを開くのに時間がかかった人らしい。根拠もなく虐げられ、理由もなく薬味として売られる非常に不憫な野菜である。救ってあげる価値があるかもしれない。

◆材料(1人前)
みょうが 3個
かつお節 適量
◆手順
1.   みょうがを輪切りにする
2.   小さい器に盛り、鰹節をかける
3.   ポン酢または醤油を軽く(←重要)ふって食す

  製作時間は1分と少しだ。
  アレンジの方法としては、豆板醤をまぶすのも良い。つまみはもちろん、普通のご飯の箸休めにもなる。ただし、夏でなければ美味しくない。

  「おい、こんなの料理じゃないだろ!」
と思ったあなた。千里の道も一里からと言うではないか。このような基本の惣菜から始まり、「その1000」を迎えるときには「タイとアスパラガスのマリネ・キュイジーヌ風コアントロがけカレー風味」になる(かもしれない)。
  また読者を減らしたようだ。




ホームページトップに戻る

Copyright (c) 2004 takeshi nobuhara All Rights Reserved.