一話一膳
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本日のお品書き
たぶん中華である。自分で「たぶん」かよ。
ナス焼きのひき肉ソース


 「嫁に食わすな秋ナスビ」

 古い言葉であり、性差別である。
 ナス(地域によってはナスビ)にはナントカカントカという成分があり、それが女性ホルモンのナントカカカントに影響を及ぼし、ゆえに女性の受胎能力が損なわれるという迷信である(一部に、事実だとする偏見も根強い)。

 事実であるかどうか、そんなことはどうでもいい。
 ナスは秋にもっとも旨く、夏にも旨い。嫁だろうが婿だろうが嫁取り前の婿だろうが、こんな旨いものを美味しく食べなくては人として生きる価値がない。そこまで言うかよ。


 さて、ナスは料理法の幅が広い食材である。
 生だと塩もみや漬物くらいだが、火を通せばいくらでもある。焼くのも良いし、煮付けるのもよく(これは難しいが)、和風にも洋風にもなる。とくに、缶詰めのトマトソースと、ハムやベーコンでパスタソースを作るのは非常にたやすく、また旨い。

 その数ある料理法の中で、今回は「焼き」を取り上げたい。
 ナスは油との相性が抜群の野菜である。油に合うということは、肉にも合う。そこで今回のレシピに至った。若嫁が性差別に負けずに取り組むべきレシピである。


◆材料(1人前)
ナス 1個
ひき肉(牛豚
または豚)
100グラム
白ネギ輪切り 少々
  A  
豆板醤 小さじ半分
ごま油 小さじ半分
オイスターソース 小さじ半分
紹興酒 小さじ1
しょう油 小さじ1
 
◆手順
1.ナスを4ミリ厚ほどに切り、油を多めに敷いたフライパンで両面を焼く(中火)

2.1に焦げ目がついたあたりで皿に取る

3. 油を敷いたフライパンでひき肉を炒める(中火)

4. 肉の赤身があらかた消えた時点で弱火にして、Aを投入する

5.数分後に4の火を止め、2にかけてから白ネギをふって完成



 調理手順や分量や調味料の大部分は、適当で良い。
 3で中火にするのは肉汁を逃さない工夫だが、若嫁は料理に自信がないだろうから、弱火でも問題ない。1でナスを焼くときに塩を振るのもいいし、紹興酒がなければ日本酒でいい。5で白ネギがなければ青ネギでもいいし、なければないでも特に問題はない。

 ただ、一点だけ。
 1の手順で、油を多めにひく、これだけは絶対である。最低でも、テフロン加工のフライパンで大さじで2杯はいきたい。鉄鍋なら3杯は確保したい。ナスは、思ったよりも油を吸い込む食材で、油を吸い込むことで風味が増す食材でもある。もし可能なら、素揚げにしても良い(この場合は角切りにする)。

 また、調味料のごま油は欠かせない。
 あ、一点ではなかったか。それはともかく、ごま油、これが加わることで中華になると言っても過言ではない。本当は仕上がる直前に垂らしこむものだが、若奥様のことを思ってレシピを短縮した。

 さて、最後に。
 なぜ嫁にナスビを食べさせてはいけないのでしょうか?





 正解は、油です。
 太りすぎて、妊娠中毒症などになりやすいためです。いや、ホントに。たぶん。
 



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