一話一膳
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本日のお品書き
赤いソースなので寒色系の皿に。
ロールキャベツ
くじら「師匠、ようしょくがないよ」

 はっ。
 おい、くじら、お前、こんなところまで出てくるのか? お前は「語る」シリーズの基礎担当じゃなかったのか?

くじら「みなさーん、おっはー、どんだけ〜のくじらだよ。みんな覚えてるよね?」

 文章メチャクチャじゃないか。
 だいたい、なんなんだよ。何の用なんだよ。

くじら 「もうすぐクリスマスじゃん」
たけし「だから何だよ」
くじら 「師匠、クリスマスと言えば洋食だよ」
たけし「俺にはそんなの関係ねぇ! 仕事だッ!」
くじら 「負け惜しみはナシだよ。師匠の大好きな若奥様が、クリスマスレシピをたのしみにしているんだよ」
たけし「ほんとうか?」
くじら 「本当だよ。クリスマスに厚揚げとか煮てたらダメなんだよ」

たけし「だってさ、洋食って面倒なんだよ」
くじら 「なにがホセ・めんどーさーなの?」
たけし「ホセ・メンドーサなんて誰も知らんぞ」
くじら 「『リングにかけろ』だよね?」
たけし「バカモノ、『あしたのジョー』だ」
くじら 「そうだっけ、まあいいや。で、何がメンドーなの」
たけし「調味料。オールスパイスだナツメグだターメリックだローリエだって、あれやこれや出てくるんだよ。買い揃えて1回使うだろ、そうすっとその後1年くらい使わない。気がつけば賞味期限を切れて3年、なんていうビンが台所にゴロゴロするものなんだ」

くじら 「じゃあ使わなきゃいいじゃん」
たけし「調味料をたくさん使うから旨いのが洋食なんだよ、和食と違うのッ!」
くじら 「だいじょうぶだよ。師匠なら、得意のテキトーレシピもあるんでしょ?」
たけし「まあ、なくはないが・・・」
くじら 「その『・・・』は何なの?」
たけし「本当はだな、コーンスターチだ小麦粉だパン粉だ片栗粉だって、いろいろ必要なんだよ、ロールキャベツは」
くじら 「いいじゃん、別に。おいら、気にしないよ」
たけし「おまえはどうでもいいんだよッ! 問題は若奥様なのっ」
くじら 「だいじょぶダイジョブ、グゥーッドジョブ。ほんかく的なお料理なんて、誰も師匠に期待していないから」
たけし「何だとッ!」
くじら 「そろそろレシピ行かないと。奥様たち忙しいんだよ」

◆材料(4人分)
     キャベツ 1玉
     玉ねぎ 1個
     コンソメの素 1個
A    
合ひき肉 200グラム
1個
塩・コショウ    
B        
トマトソースの缶詰 1個
ケチャップ 大さじ2
中濃ソース 大さじ1
赤ワイン 大さじ2
塩・コショウ    
◆手順
1.キャベツを1枚ずつはがし、お湯で1枚ずつ軽く(10秒ほど)ゆでる

2.1のキャベツの芯をそぎ、みじん切りにする

3. 玉ねぎをみじん切りにして、2の刻んだ芯と一緒にAとボウルで混ぜあわせる(手でこねる)

4. 3を1のキャベツの葉で包む

5. 平たい鍋にコンソメの素を砕いて入れ、水300CCを入れて沸騰させ、弱火にして4を投入し、1時間程度煮込む

6. Bを別の鍋にあけて温め、皿に盛った5にかけて出来上がり


 師匠にかわって、くじらのおいらが補足解説だよ。

 1はね、芯のところに包丁で切りこみを入れてからやると簡単だよ。
 キャベツ1個で4人前だと、けっこう余っちゃうんだ。外側から6枚目あたりからは小さくなるから、2枚で1枚を作るくらいでいいよ。分量は「1人につき2個」くらいの計算なんだって。

 2はね、家計の節約だよ。
 具を巻くときにキャベツが平らじゃないと、うまくいかないからね、キャベツの厚さをそろえるんだ。でも、芯を捨てるのはもったいないよ。お肉が多すぎても美味しくないお料理だから、捨てないで使ったほうがいいよ。

 3はね、ちゃんとコネコネしてね。
 本当はここに、さっき師匠が言ってたスパイスとかパン粉とかを混ぜ込むよ。好きな人は、お店やさんで「煮込み料理にあう」って書いてある調味料を買ってくるといいよ。塩コショウはちょっとでいいよ。肉の香り消しくらいだと思うとグーだよ。

 4はね、慣れなくてもカンタン。
 ギョウザと同じで、欲張って具をたくさん入れないでね。本当は小麦粉を軽くキャベツにふるんだけど、どうでもいいよ。あ、さっきの、「2枚で1枚」だとうまく包めないようって言う人は、ツマ楊枝で止めておくといいよ。盛り付けるときに取っちゃえば誰も気がつかないからダイジョーブイだよ。なつかしいよ。

 5はね、テキトー。
 最低でも30分は煮てね。2回か3回、ひっくり返すのを忘れないでね。フタはちょっとだけ開けておくと吹きこぼれないよ。あ、もしあったらでいいけど、ローリエ(月桂樹)はこのとき鍋に一緒に入れておくよ。1枚でいいからね。

 6はね、ソースなんだ。
 ロールキャベツ本体はコンソメでけっこう味が出ているから、あんまり濃い味にしないでね。ちなみに、このソースはクリスマスのイメージなんだ。中華風にするやり方もサービスだよ。

☆中華風ソース
 5の残り汁に塩・コショウ・しょう油・オイスターソース・料理酒などで適当に味をつけて、水溶き片栗粉を入れてトロミをつけ、5にかける


 師匠、これでいいよね?

たけし「まあいいんじゃないの。最低でもローリエは入れたほうがいいな。中華風のとき、しょう油は香りつけだから、あんまり入れないようにな。レシピ通りに6まで作ったなら、茹でたブロッコリーを皿に添えるとクリスマスらしくなるよ」
くじら 「なんだ、けっこうわかってるじゃん」
たけし「あたりまえだろ、白い皿に盛るんだぞ、コントラストが綺麗だからな」
くじら 「えー、師匠、そんなことまで考えてんの?」
たけし「耳年増って言葉、知ってるか?」
くじら 「みみどしま? お嫁さんが来ないってこと?
たけし「・・・orz」
 



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