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主婦たるもの、献立に悩まなかった日はないだろう。 まあ、主夫でも良い。家族という生き物、特に男・子どもというワガママな物体は、いつもこう言うのだ。 「ええぇ、また××××〜」 伏字の部分には、主婦が日常的につくる献立が入る。 カレーライス、アジの干物、けんちん汁、ロールキャベツ、ひじきの煮物、湯豆腐、ハンバーグ、ヤマイモの千切り、何が入っても同じことを言うのだ、男・子どもという脳タリンどもは。 毎日のように、ではなく、そのまま毎日献立を変えるということが、どれほど難しいのかを彼らは知らないのだ。 そこで賢明なる主婦たちは、必死に献立を考える。しかし。きっと確実に、あなたは思う。 「そんなにあれやこれやと手を替え品を替え、そんなことやってられるかぁぁぁ!」 と。悲痛な叫びである。 そんな貴女に、解決策を与えよう。 料理は常に創作である。 ゆえに、聞いたことも見たこともない料理を作るのだ。そして、それがあたかも太古の昔からあったように、平然とした顔で食卓に供するのだ。 「今夜は『鶏ひき肉とゴボウの炒め物』よ」 また、愚かなる男・子どもは、「こんな料理知らない」とか言うだろう。 気にすることはない。何食わぬ顔で言ってあげよう。夫には、 「うちの実家では定番なのよ」 と。子どもには、 「おばあちゃんがよく作るのよ」 と。どうせわかりゃせんのだ、あいつらは。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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材料にこだわることはない。 鶏ひき肉にはモモとムネがあり、モモのほうが柔らかく脂身も多く高価なのだが、どうせ男・子どもには違いなどわかりはしないのだ。 ゴボウも同じだ。 これは値段よりも、土つきを買ってきて下ごしらえしたほうが香りが良い。笹がきされて水につけたパックでも売られている(こちらのほうが手間賃コミで高価)ものの、香りは落ちる。どっちにしても、どうせ男・子どもには以下同文。 Aの味付けは適当で良い。 ダシ汁を加える料理は調味料を少なめにするのが原則。ダシそれ自体が味になることはご存知だろう。 2では、鶏ひき肉を細かく砕くように注意したい。 菜ばしでは難しいので、木ベラなどを使うと良い。この料理は鶏肉からでるダシを味わうものでもあり、丁寧に進めたいプロセスである。「ざっと」というのは、赤い部分がほとんどなくなったか、というくらいの状態。 3では、ゴボウの水をよく切ること。 お子様が小さい場合は、笹がきより千切りに近づけたほうが食べ易い。ただし火の通り方を均一にするために、大きさはできるだけそろえること。食感という点では笹がきのほうが勝るので、各家庭の家族構成・力関係などで調整していただくのがよろしい。 4では、ゴボウのみ味見すること。 固いゴボウは嫌われる。男・子どもという軟弱な生き物は、固い=食べにくい=まずいという公式を勝手にこしらえる。味覚が発達していない劣等動物なので、食感が全てだと思っているフシがある。料理のことなぞ何も知らないのに、「筋がある」などと苦情を言うことには長けている。たべやすい=旨いというレベルで判断していると思ったほうがいいだろう。 とくにこのレシピにこだわることはない。 ひき肉を炒めて野菜と一緒に出せば、一応は、メインディッシュ扱いされる。男・子どもにとって重要なことは、 「とりあえず最近これを食べた記憶はない」 ということなので、遠慮なく創作すると良い。賢明なる主婦の皆さんは、料理とは食材の使いまわしに左右されるものだ、ということをご存知だろう。そう、その料理のために食材を揃えるなんてことは、日常的に継続するのが難しいのだ。 いいではないですか。 「ほら、今日は牛ひき肉とレンコンの炒め物よ!」 |
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