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ホラよく言うじゃないですか、コックの基本はオムレツだって。 溶いて味付けしただけの卵を、バターをしいたフライパンに流し入れ、手さばき1つで絶妙の味に仕上げるってやつ。一流になるためには1万食くらいオムレツを焼かなきゃダメだって。 さて、奥さん。 1万食ぶんも焼けますか。そんなことしてられますか。1週間に2回、4人分作っても、1年で400食ですよ。これを25年続けなきゃプロのコックさんになれないんですよ。なりたくもない、できない? そりゃそうでしょう。 1週間に2回もオムレツが出てきたら、味のわからないご家族(亭主と子ども)だってさすがに飽きますよ。25年後って自分がいくつになってるのか、計算が難しいでしょう。ま、25を今の年齢に足すだけですけど。 そこで、奥さん。 和食で卵料理、やってみましょう。オムレツの和食バージョン、だし巻き卵です。え、それも難しい?お店で出てくるみたいにふんわりできない?卵焼きみたいになってしまう?そもそもご家族にはだし巻き卵と卵焼きの区別ができない? 奥さん。 あなたね、卵汁の中に具をゴチャゴチャ入れてるでしょ。ニンジンとか青菜とかひき肉とか。栄養とか考えて。お弁当のおかずを作っているような気分で。 そういうこったから卵焼きになっちまうんだよ! 甘えてるんじゃないよ! だし巻き卵はダシが具なんだよ! シンプルだから難しいんだ! そんなことで一流の和食料理人になれるか! 目指せ、包丁人味平! え、味平を知らないんですか・・・。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1は自分の趣味に合わせてよい。 基本的には白い部分と黄色い部分がコントラストを描くと美しいし、そのほうが卵焼きではなくだし巻き卵らしく見えるが、お好みで構わない。 2の調味料は適当で良い。 味付けが薄いように思えるが、卵焼きと違うのは出し汁の味で食べること。この料理に限らず、出し汁を加えると薄味にできるので、ヘルシー志向の調理を目指すなら覚えておきたい。 4は極めて重要。 煙が立つ1歩手前くらいまで。ふんわり感を強くするためには、微妙な火加減が必要で、フライパンの温度は急に下げられても急に上げられない、という原則があるため。 5と6は練習あるのみ。 菜ばしでやるのが難しい(丸くならない、崩れるなど)ならば、先が長方形になっているフライ返しを使って良い。巻き物を巻くイメージで折りたたんでいくことになるが、100%の巻き物にしようと意気込まないこと。多少なら形が崩れても最終的には整えられる。 火加減について説明しよう。 5以降は中火を維持する。手早くやらないと卵が固まってしまう。しかし熟練するまでは(25年後を予定)作業がおぼつかないだろう。そこで、「これ以上熱すると固まってしまう」と思った瞬間に、フライパンを熱源から遠ざけたり、離したりする。 それが難しい、という人は多いだろう。 急激に温度を下げたいなら、濡らしたフキンを用意しておき、それにフライパンを丸ごとのっける。原則的には、この行為は避けたい。ふんわりした仕上がりは、全ての卵汁に同じだけの熱が加わった結果によるものだからだ。まあしかし、初心者に急にできるワザでもないので、熱し過ぎないことを目標にしてもらいたい。 画像は、やや卵焼きに近い。 中身はふんわりしているが、外身はやや固すぎる。技術的な向上に無理があると思うなら、もう少しダシの量を増やすと全体にやわらかくなる。 奥さん。 料理上手になりたければ、必死で練習するんだ。料理人への道は、長くて厳しい。目指せ、味平! |
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