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熱は下がったものの、体が重い。それでも我々予備校講師は教壇に立つ義務がある。いや、言い換えれば教壇に立ってこそ存在価値があるのだ。
ハダゴエ(鼻声)ではあるけれど、それでもイジガワゴウ(市川校)へ向かう。
テクニカルには何の問題もない。しかし声が通らない。僕の数少なくはない長所の一つが声の響きだ。生徒のノリはもう一息だ。気持ちは感じる、それでももう一つ向かってくる感じがない。それは僕の責任であるかもしれない。
学校の新学期が始まったばかりで、この時期は生徒にも精神的な疲労がたまる。新しい教科書、時間割、クラスメート。僕にはそこを癒してあげる義務があり、同時にそれでも厳しく生徒に接する義務がある。模擬試験の復習に関する生徒の意識の低さを指摘して、重い空気のなかで教室を去る。お互いにつらい季節だ。桜は散り、青葉はまだ茂らない。
急な約束で飲むことになる。幸か不幸か、明日は久しぶりの休日だ。それでもその誘いは断りたい、それでいて断れない。たかが僕だって、もはやただの新人ではない。条件が揃わなければ別だけど、気分だけで断る酒ではない。それはきっと楽しい酒になり、長い目で見て自分への滋養にもなる。
やはりやや深酒になって2時前に帰宅する。やはり楽しい酒になった。悪くない。ゼンゼン悪くない。鼻をすすりながら、今日から1週間の予習は済ませておいたのだ。明日は快晴の休日だ。たとえそれが、働くための休みになったとしても。 |
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