予備校講師でわるかったな!





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こっちの流れ 4月22日
  9時過ぎに目覚めて、11時前に眠ろうとすると電話が鳴った。
  電話が鳴れば事件が起きる。春樹の小説なら、羊をめぐる冒険が始まるか、妻がいなくなるか。しかし僕の現実は違う。受話器をとる前に音は止む。

  窓を開けたまま1時まで熟睡する。今度はマンションの玄関からの呼び出し音。オートロックであるけれど古いマンションなので、モニターはついていない。まず間違いなく宗教か新聞の勧誘、あるいは宅急便だけだろう。出ようとしたらまた呼び出し音は切れた。

  空気の乾いた夏の昼寝で風邪はほぼ抜けたようだ。とりあえず授業の準備はできているので、メールの返事をまとめて書きHPの原稿を書く。恐る恐るプールに行って、ゆっくりと16分で700M泳いで帰宅する。まだサウナは入らないほうがいいだろう。この数日の消耗で体重が適正値の64Kに戻った。8ヶ月ぶりだ。

  少しだけ仕事をして、7時から珍しく野球のナイター中継を観る。ベイスターズファンであり、基本的に夜のお仕事なので中継を観ることができるのも年に10回もない。
  ジャイアンツの攻撃がチャンスを迎える。解説者が言う。
  「ここで一発でればこっちの流れですね」

  予備校講師に限らないが、人前でしゃべる職業には3つのタブーがある。宗教と政治と野球を語るな。自分の信条とは関係なく、必要をはるかに越えて聴衆を傷つけるからだ。
  それにしても、と僕は思う。「こっち」って誰なんだと。ベイスターズファンがどう思うかを考えているのかと。民放だから許される発言だとは思う。視聴率が大事だから許される発言だとは思う。なんで4番が松井じゃないのかと半年振りの視聴者はきっと思うだろう(ちょっと遅すぎるけど感覚としてね)。

  素敵な小説を読み終え、不愉快なエッセイを読みながら夕食をとる。明日からまた7日連続で仕事だ。でもそれが終われば7連休だ。無茶苦茶に暑い4月の夜。
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