予備校講師でわるかったな!





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青空の下のバーベキュー 5月2日
  金曜日に同僚の予備校講師からメールが来た。日曜日にバーベキューをやるから来たまえ、というのである。彼は新婚であるうえに最近になって高級マンションを購入したという噂があり、まあつまりどうせ自慢でもしたいのであろう。付き合いというものもある。

  私はアウトドアが苦手だ。嫌いなのではなく苦手なのだ。そこには「のぶはらくんスキよ」と「たけしさん愛してるわン」くらいの乖離(カイリ。大きな隔たり)がある。ただし、一つだけ条件を満たせば好きになってやってもいい。もう少し言えば「ああ愛しのアウトドア、君のことを想えば夜も眠れない」と認めてあげてもよい。
  すばやく返信メールで参加者を確認する。すると数人の以前の同僚の名前が挙がる。そんなことを質問したのではない・・・と思ったがよく読むと「他に数名です」という記述がある。そうそう、そっちを質問しているのだ。そっちが「一つの条件」なのだ。わからず屋め。私はためらわずその数名の詳細(年齢と性別など)を遠まわしに質問した。
  その返信を頂いて、すぐに「行きますイキますオレいきます」では恥ずかしいので、もったいをつけて諾否(イエスかノウのこと)を伝えるのは土曜に回すことにした。お金も大事だが見栄も大事なのだ。

  どうせどこかの川べりか何かでやるのだろうと思ったら、オモムロにマンションに案内された。マンションの敷地内に「バーベキューエリア」があるのだという。けっ、おめでてーな。プチブルジョワがこういうところで晴れた日曜にバーベキューをむしゃむしゃ食べて、「ああ家庭っていいなあ、まさえ」とかやるのであろう。けっ。
  皿とグラスと炭が出てくる。ちゃんとした陶器の皿と、ガラスのグラス(英語の先生の説明とは思えないが)と炭を入れて燃やす道具が出てくる。コンビニで売っているペコペコのビニールコップでも、使い捨ての紙皿でも、イワタニのカセットボンベでもないというのだ。おれたちはブルジョワなんだと。やや肌寒いGWに「まあやっぱり食事はちゃんとした食器を使わないとね、アウトドアでもねえ。そうよねえ、ヨシオ?」とか右肩上がりのアクセントで愛と幸福を確認するのであろう。けっ。
  ご本尊の牛肉と牛タンがお皿に載って(サンチュまでひいてある)出てくる。やたらに旨い肉だ。どういうことかと聞いてみれば、行きつけの焼肉店から「お取り寄せ」したというのだ。しかもツケダレ(食べる直前につける)とモミダレ(焼く前につけす)の区別まであるという。一昨日の日記でわかるように、私は豚のひき肉を買うのが精一杯でワンタンを作って(つまりネギとにんにくでカサを増して)食べているのだ。いったい、どういうことか。「よしひろ、ああ〜んして」「やだなあ、よせよアサミ、恥ずかしいじゃないか」とかやっているのであろう。いいかげんにしろ。

  さて、問題の「私がアウトドアを愛するための唯一の条件」である。たとえ何があろうとも、それさえ満たせば問題はないのだ。つまり、そこに若い女性がいること。
  一人はピーマンもちゃんと食べられる。お肉が好きだと主張できる。自分の好みをきちんともち、それを主張するだけの知性と言語能力を持っているということだ。もう一人はいかにも幼いが、イヤなものはイヤ!ときちんと意思伝達できる聡明な女性だ。



  前者は2歳半の女の子、後者は2歳のヨークシャーテリア(メス)。
  だから私はアウトドアが苦手だというのだ。
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