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『レオン』 6月3日
  朝起きたら虫の居所がわるかった(=機嫌が良くないこと)。このところ6時間以上の睡眠が取れない日々が続いている。眠いのに目が覚めてしまい、どうしても2度寝ができない。それほど疲れる時期ではないだけに、ムリに眠ることができないのだ。だから起きることにする。本当に機嫌が悪い。晴れているというのに。

  出かける気分にもならず、いつものように仕事や勉強や家事をこなして夜を迎える。でも、ひとつだけ今日は楽しみにしておいたことがある。テレビで映画を見るのだ。我が家のホームシアターは16インチの9年落ちのAIWAのテレビだ。段ボール箱に乗っている。
  新聞によればもう10年も前の作品だという「レオン」。リュック・ベッソン監督でジャン・レノ主演という映画ファンにとっては「定番」の組み合わせである。僕は(たしか)これを劇場公開で観たと思う。「完全版」もテレビか劇場で観たはずだ。すごくいい映画だった。ジャン・レノの持つ異様な迫力とベッソンのかもすエスプリ。だからと言ってわくわく(exciting)するわけでもなく楽しませる(pleasing)でもなく泣かせる(moving)でもない。それは観客を魅了する(fascinating)ものだ。

  非情な殺し屋レオンと、復讐に燃える少女マチルダは小さな愛を育む。レオンは自分の大切な鉢植えに毎日のように日光浴をさせてあげる。マチルダは理由を問う。

「こいつは俺と同じで根を持っていないのがいいんだ」

  小さな愛はある意味で実った。ハッピーエンドではないのがこの監督の腕のよさかもしれない。
  叫ばれる愛ではない。それは世界の隅っこにある。そして僕は思う。僕は根を生やすことができるだろうかと。

  引きこもりの生活にも、素敵な時間がある。
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