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午前2時半までかけて村上春樹の新作を読み終える。
前回の彼の新作(ちょうど2年前です)は「海辺のカフカ」。この作品は事前宣伝を過剰に行ったようだ。しかし今回の新作はそうではない。発売日前の書評は全て同じ。ある程度の緘口令(=カンコウレイ。しゃべるのはダメよという命令)が引かれたのだろうか。
ある夜の記述だけで小説が終わる。
たったこれだけの情報で僕はそれを手にして、読み終えた。いい小説だった。映画の手法を意識した、「離れた場所から物語を見る」技術。大昔のハリウッド映画みたい。ストーリーで感動させるのが一流半。見えない流れで考えさせるのが一流の小説。そういう意味では「ノルウェイの森」を書いたころの春樹は稚拙(=幼稚でつたないこと)だった。
ただし、まだ春樹を読んだことのない人に勧める小説ではない。初心者なら文庫でたくさんいいものが出ている。10代後半へのオススメは前述の「海カフ」なんだけど、まだ文庫になってないんだよね。
体調が落ちていてお昼前に目覚める。どうにもならないので珍しく宅配ピザを取る。ジャンクフード。プールはおろかサウナにも行けない。不規則な生活と夏の疲れを背負っている自分の体を感じる。最低限の家事をして市進市川校へ。体は重く、腰は痛み、頭はさえない。二日酔いですらないのが情けない。
何とか授業を終える。苦しかったけれども、とにかくやり遂げることができた。
ときどき思う。ある種の至高体験は人を磨耗させる(=疲れはてさせる)のではないか。小説の力。あらゆる芸術の力。春樹の力。そこにこめられた人々の想い。 |
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