予備校講師でわるかったな!





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契約更改 11月16日
  乾いた秋の空気を部屋に入れる。きちんとした食事を作り、コーヒーを淹れる。今日は 2週間ぶりの速読ゼミがある。必要を超えるほどの入念な準備をする。特別にやるべきこ ともないから、どこまでも準備をするべきだ。自分に課したタスクをきちんとやること。 継続すること。それは僕が大切にする人生訓だ。


  午後に市進予備校本部から電話がある。契約更改の口約束である。細かいことを別にす れば、僕が望むことは3つある。

1、来年度も雇用してもらえること
2、ふさわしい給料を用意してもらえること
3、素敵な職場環境を提供してもらえること

  1に関して確約を頂く。これで少なくとも再来年の1月までは収入が確保できた。2と 3に関しては不満も残った。しかし、これらも僕が要求することではない。他の全ての予 備校と同じく、市進予備校だって景気がいいわけではない。もう僕だって大人なんだ。自 分が所属する小さな世界の事情をきちんと理解し、協力しなければいけない。


  速読ゼミは「教えすぎて」失敗する。心のどこかで焦りがあったのかもしれない。授業 の前に自分の人生に関する話を電話でしたのは失敗だった。メンタル面を非常に大切にす るタイプなので、あるいはどこかで集中力を欠いていたのかもしれない。
  しかし次のDクラスとBクラスではいい授業ができたような気がする。まあ、全体で引 き分けか。そう考えながら帰宅して食事をする。


  やはり野菜不足なのか、鍋の白菜を美味しく感じる。珍しく芯まで食べてしまう。
  いいじゃないか、この時期に来年度の確約を貰えたなんて。もう今年で5年以上もこの 待遇を手に入れたんだ。そんなに難しくはないけど、簡単なことじゃない。ぜんぜん悪く ない。自分の少ない才能を生かすことはきっとできているんだ。でも・・・。


  11月の夜の寒さが好きだ。11歳のときにそれを愛する自分に気づき、もう20年以 上が過ぎた。世界が寒いから、自分の中に温みを見つけなければ。
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