予備校講師でわるかったな!





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最後の浪人 11月29日
  浪人という言葉が嫌われている。城南予備校でも「高卒生」という名称になっている。
  僕は言葉が単純化される風潮を強く憎んでいる。浪人という言葉には、「今は身をやつし ているけど、俺は違うんだからな!」という気持ちがあると思う。ま、虚勢もあるかもし れないけど。


  通年の最後の授業。だからと言って生徒様を感動させるような話はしないことにしてい る。予備校講師の中には、最後の授業のために泣かせる話を用意して、それを毎年繰り返 しているバカがいるそうだ。想像力の欠如。僕はそれをひどく憎む。
  ただでさえ感傷的になりがちな10代後半の生徒様のために、泣かせる話を準備するこ と。それって、大学入学直後の女子を酔わせて襲ってしまうのと同じことじゃないか。イ ベントにつけこんで、自分を有利な立場に導く。こういうのを品性下劣というのだ。
  だから今日も最後のセリフはこれだ。

「最後だからと言って特別な話はない。延長してごめんなさい、お疲れ様でした」

  高い金をもらっているんだ、合格に近づくための「時間」を感動させるありがたいお話 に浪費するものか。


  予備校講師の1年も終わりに近づいている。城南では来週が現役のラスト、市進も同じ だ。最後まで、「俺は違うんだ!」という授業を展開しなくちゃいけない。
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