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指運を磨け 11月30日
  一日仕事の月曜日の翌日になる火曜日(難しい表現ですいません)も今日で最後だ。お昼近くまで力強く睡眠する。

  「指運」は「ゆびうん」と読む。正確な由来は知らないが、将棋の世界で使う用語である。将棋には時間制限があるから、決められた時間枠で善悪に自信がないまま指すしかない局面がある。もちろん後で検討すれば善悪は判明するのだが、一瞬のうちに判断して指に運を託して指すしかないときがある。
  4二玉か6四歩か。前者は負けで後者は勝ち。いくらトッププロでも一か八か指すしかないのだ。前者を選ぶことを「指運が悪い」という。そして、残酷なことに、本当の一流棋士はたいてい勝つほうの指し手を選ぶ。それは努力の差ではない。天運の差なのだ。


  Dクラス。先週に引き続いて演習の後で指名してみたらハッキリと答えが言えない生徒様が続出する。真剣に怒る。
「自信があろうがなかろうが、答えを書くしかないだろうがっ!」

  市進千葉校のDクラスは大切に育ててきた。上位中堅の生徒層が薄い校舎であるから、偏差値50前後の生徒を引っ張りあげるための工夫を考えて運営してきた。千葉校で授業を担当して3年目だが、毎年のように実績は市川校に負けている。偏差値はほとんど変わらないのだ。どこに原因があるのか、真剣に模索を続けてきた。そして、今日それが何であるかわかった。

  千葉校の生徒は指運を磨いていない。

  とにかく、何でもいいから答えをひねりだしてマルバツをつける作業を手抜いているのだ。それはもちろん全員ではない。しかし多くの生徒様が大衆の一部になるというぬるま湯につかり、解説を聞くことが実力の向上になるという勘違いをしているのだ。自分の解答を汚すことなく。


  受験における指運を磨くことはできる。第1志望に「間違って」受かること。それには実力向上はもちろん、指運が欠かせないのだ。ダメかもしれなくても、勝負をかけて選択肢を選ぶこと。そんなに難しいことではないと思う。
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