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下賎な職業なんだろうけど |
7月30日 |
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Bクラスの講習生が相談に来た。
「どの問題でどのルールを使うのか混乱してしまって・・・なかなか・・・」
よい相談である。
僕の回答ポイントは1つだけで、「どのルールを使うか、常に考えてみればいいよ。そう簡単にはいかないことがわかればいい」というものである。
最近は言わなくなったが、
「とにかく俺が言ったように3ヶ月継続しろ。そ
れで実感できないなら俺(の授業)を切ってくれて構わない」
という方針があ
る。
講習のたかが10コマ程度で生徒様の身につくことがあるはずがない。その
「中途半端な知識」をどれだけ講師と生徒様が育てるかが大切であり、そのた
めに僕も生徒様も苦しむべきなのだ。
一方で、とりあえず講習生にアドバイス。
特に文法に関しては、授業で扱った項目(準動詞や関係詞など)と同じ項目
を自分の問題集などでやってみること。授業と同じルールが使えたり、使えそ
うで使えなかったり、苦労しながらも身についたいくつかのことが発見できる
はずだ。
Dクラスはテキストが簡単すぎるので演習を増やす。
解いてもらっているあいだはヒマなので、(本当はダメなんだけど)教室を
離れて散歩する。ちょうど徒歩5秒の隣の教室でBBQ数学講師Cがやってい
るので覗かせてもらう(ドアに50センチ四方のガラスが張ってあるので廊下
から見えるのだ)。
休み時間に「おいおっさん。覗いてただろ?」とCに言われる。
私「見てたよ。あははは。生徒(様)が下ばっかり見てたじゃん(笑)」
C「ああ、あそこですかあ。あれ、説明ポイントなんですよね。それ以前のと
ころで難しかったみたいで、あの時点でついていけてない子(生徒様)が多か
ったみたいなんですよね。まずかったなあ。あれは間を取るべきタイミングだ
ったんだけど・・・」
解説すると、数学は英語よりはるかに「1問にかける解説プロセスが長い」
ので授業展開が難しいのだ。
英語の場合は1つの設問を解説するのに5分かかったら異常に長いが、数学
の場合は最低でも10分くらいはかかる。つまり、解説の前半で「??」とな
ってしまった生徒様は後半の説明についていくことができにくいのだ。
私「なんだよ、ここ山場じゃん。なんで下を向いてばっかなのって大笑いして
たんだけどね」
C「後半は数列の規則的な部分で、同じ授業の繰り返しなんですよね。勝負が
前半にあったんですよねえ・・・」
数学のことはわからない僕だけど(台形の面積の出し方は得意だ)、彼の言
うことはよくわかる。
夏の講習あたりまで来ると、一つの項目に関して教えるべきことは教えてし
まっているから、授業をやっている講師のほうは同じことの繰り返しなのであ
る。しかしそれ以前の項目でつまづいてしまうのが生徒様というものであり(
注:Cもそれに関しては生徒様を悪く言っていない)、そのあたりの兼ね合い
を図るのが非常に難しいのだ。
何人かの講師で会話(個人情報になるので名前は伏せます)。
「同じこと喋るのってどーなんですかね?」
「それ、結局はプラスなんだよ。生徒(様)にも、俺たちへの評価的にも」
「アンケートで『同じ話が多くて良かった』ってあるよねえ」
「話してるこっちはウンザリなんだけどね」
「同じ話で金貰っていいのかよっていうか・・・」
「結局同じ話になるしかないのが普通だからね」
「飽きるんじゃねーかと思うけど」
「講師はたくさんの授業でたくさん同じ話をするけど、全部の授業を全部の生
徒(様)が受けてるわけじゃないし」
「こっち(講師)が思ったほどでは(個々の生徒としては)ないんだよね」
「しかし飽きますよね」
「まあねえ。でも、やっぱ繰り返したほうがトクするんだよ」
「あのヒトたち(生徒様)、すぐ忘れるからね」
「そうなんでしょうねえ」
「よく使うネタは永久に使いまわすべきなんでしょ」
「使いまわしても覚えない生徒(様)もいるんですよね」
「それは自己責任でいいのよ」
もちろんこのセリフのいくつかは僕が発言したものである。
ただ、もしできればということだけど、生徒様にわかってもらいたいことが
ある。
たかが予備校講師だって、教育効果と見返りについていつも考えているんだ
ってこと。
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