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心ゆくまで |
2月10日 |
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広島県某市のホテルから車で40分の家族の実家があった島へ。
瀬戸内海に浮かぶそれは、15年ほど前に本州との間に橋が完成して陸続き
になった。僕は10年ぶりの再訪だ。
親戚の家で「シャコ」が出る。
わかるかな? シャコというのは海老みたいな形をした、寿司のネタになる
ことが多い魚介類である。海老なのかカニなのか魚なのかザリガニまたはカブ
トガニの親戚なのかは知らない。体調15センチくらいで、「シャコのツメ」
が珍味とされるものである。
塩茹でされたそれは、えーと、150匹くらいかな。
新聞紙半面くらいに山積み状態で出てくる。うじゃうじゃうじゃうじゃ。シ
ャコ本人を見たことがない人には、その異様な光景が想像できないかもしれな
い。
とにかく瀬戸内海の名産らしく、それをもてなし料理として出してくれたわ
けだ。
皮をむしって食べるのも初体験で、シャコだけ20匹くらい食べたのも初体
験。けっこうな田舎の島だけど、もてなしの気持ちがすっと伝わってくる。
お墓参りをしてから、また市内に戻る。
今度は別の親戚を訪問する。ここは昨日訪問した飲み屋の大将(僕の従兄弟
)の両親(僕の叔父と叔母)が住んでいる。
シャコ(約50匹)もその家に持っていくように言われて積んでいく。
茹でてあるからいいけど、生きてたらちょっと怖いよなあ。
ここではお昼ご飯をご馳走になる。
何とかイワシの天ぷらとかアナゴの天ぷらとかビールとかそんな感じ。嬉し
いねえ。家族は親戚と飲みだしたので、僕は適当なところでビールを切り上げ
る。岡山まで車を運転するのは僕だから。
やることがないので、愛犬のプーチャン(仮名 : ♂)と遊ぶことにする。
犬というのは、たまに遊ぶならカワイイものである。わんわん(怪しいやつ
め)と吠えられるが、1分で打ちとける。
近づくと足にしがみつくし、僕がしゃがむと抱きついてくる。何かヘンな行
動だなあと思っていたら、様子を観ていた叔母さんが、
「そのコ、発情してるんじゃないかな」
とのこと。そーか、俺は♀イヌだと思われていたのか。
よくわからないままに遊んでいると従兄弟の息子のアーチャン(仮名 : 3歳
)が出てくる。おじさんと一緒に遊ぼうということだ。僕と犬のプーチャンと
アーチャンで散歩に行くことにする。
犬のプーチャンは♀イヌを求めてはしゃぎまわるわ、人のアーチャンは危険
を顧みずに遊びまわるわ、一応の責任者(仮)である僕は緊張しまくる。どっ
ちとも遊んであげなきゃいけないし、どっちも無茶苦茶に勝手な行動を取る。
特に人のアーチャンは3歳児のくせにすべり台に自力で上がっていって、「
おじさんが受け止めてあげるから滑りなさい」というと、「すべるの怖い」と
言って階段を自力で降りだす始末である。
3歳児だから手を滑らせたら頭蓋骨折なんていう事態になりかねず、あわて
て手を添えようとすると犬のプーチャンが「ああ、あっちに♀イヌのにほひが
ワンワン」とグイグイとリース(散歩用の縄)を引っ張る。どうすればいいのだ。
キリがないので親戚の家に戻り、庭で遊ぶことにする。こうすれば犬のプー
チャンはつないでおけるから、人のアーチャンをかまってあげられる。
「地面に棒を突き刺せるかごっこ」で楽しんでいると(僕が楽しんだんじゃ
ないぞ)、植物の根が土中から出てくる。「これ、なーに?」
3歳児か。
植物の根、じゃあ通じないな。根、じゃなくて根っこか。所有格はどうする
んだ。植物もダメか。草じゃなあ。葉っぱ? そうだ、「葉っぱちゃんのネッ
コ」と命名する。それでいいのかって気もするけど、俺の子どもじゃないから
いいよな。
やっと帰る時間になり、人のアーチャンとバイバイのちゅーをしなさいと親
戚に諭される。仲良くなったかどうかの試金石らしい。
僕が頬っぺたを出すとアーチャンはちゅーをしてくれるが、親戚は「それじ
ゃダメ」と言う。なんと、口と口でちゅーをしなければいけないというのだ。
マジっすか。いくら子どもでも男だろ〜。
ぶちゅう。
ああ、我が人生初の男子とのちゅーであった。奪われてしまった・・・。
岡山で車を返し、新幹線。家族は翌日に関西で用事があるということで、新
大阪で別れる。
車内販売で買ったサキイカをつまみにビール。乾き物でビールを飲むのは旅の車内
に限られる。そして意外に美味しい。しかし、さすがにちょっと旅疲れ。今日
はたくさんの親戚と会ったし、ちゅーもしたし・・・と旅費の計算。家族の交
通費の1部を除いて全額を出したので、229051円。こんなもんかね。
東京駅に着いたら、ちょうど6日前に乗った「サンライズ瀬戸」の出発時間
の直前。
四国をほぼ2周して、たくさんの親戚と会って、たくさんの魚介類を食べた
。100%の旅行ではないにしても(そんなものは存在しない)、充分に楽し
めた。1年に1度のリセットの季節。気分よく、千葉に向かう電車のホームに
急ぐ。 |
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