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雨模様 4月27日
  僕が住むマンションの前にはバス通りがある。
  千葉は田舎だから、バス通りといっても騒音が気になるほどではない。ゆるや かな右ドッグレッグ(逆から見ると左だ)だが見通しはいい。つまりブレーキ音 などは聞こえない。ただ、雨の朝だけはタイヤの音が窓越しに聞こえてくる。車 がゆるいカーブを曲がるときの、雨をふむ音。

  休日の木曜は、これで3週続きの雨。
  ここまでしつこく降られるとさすがに滅入ってくる。若い人の言葉だと、「へ こむ」というところだろうか。


  ゆるりとした、遅すぎる朝食を取ってから読書。

  『未妊〜「産む」と決められない』河合蘭を読了。
  すばらしい良書。少子化社会への提言書とでも言うべきか。この手の本を読んだ経験が少ないためにかえってエッセイにまとめられない。簡単に紹介しておく。

  女性の社会進出による出産意欲の減退、それにともなう高齢化出産、妊娠とセ ックス、不妊治療にいたるまで、出産にかかわるモノゴトを様々な地点から眺め ている。
  著者の立場は「産むと決めてくれ、産んでいこうよ」である。出産や育児に関 するウェブサイトREBORNの主催者の1人らしい(著者自身のサイトはここ )。「未妊」とは造語であろうが、そうある人たちに著者は呼びかける。

>子どもを持つことは、選ぶ世界から受け入れる世界へ、エゴが拒まれる世界へ と足を踏む入れるということだ。だから現代人には怖いのである。
  しかし、自分も、実はその選べない命なのだ。自分がはかない命にすぎないと いう感覚を持てるか、あるいはいつまでも少しでもよさそうなものを選択し続け るショッパーであり続けられるとイメージするか。そのあたりが子どもへの意志 についてのひとつの分かれ目になると思う。

  僕自身は、子どもをもたないのも一つの選択だろうと考えている(まあ、嫁が 来ないから無理だという現実もあるが)。またその一方で、こういう考え方もあ るのだろうな、と妙に納得した。
  子ども作りへの洗脳書などという偏見を持たずに、気軽に読んでも学ぶところ がある。


  1時を過ぎて昼食は熊本ラーメン。
  ラーメンは腹にたまらない。オヤツに近い軽さがある。世間ではこれだけ「替 え玉」(麺だけお代わりのシステム)が流行しているんだから、市販のラーメン も麺を増やしてくれればいいのだが。2食入りを買って、麺だけ2杯でスープを 捨てればいいけれど、まさかそんな勇気はない。

  雨が小止み。
  書店に行って物色50分。早い午後の書店は、雨の日でも空いている。傘から落 ちるしずくで店内が汚れるほどの雨でもない。静かな午後。

  文庫3冊、新書2冊、雑誌1冊が収穫。
  スーパーに寄ってアルコールをまとめ買い。いいかげんにビールだけは配達し てもらう店を見つけなければならないけど、なかなか見つからない。自転車の限 界も感じつつあるけど、まあ運動になって良しと考えよう。


  店を出たら、また雨。
  濡れて帰宅して、本日2回目のコーヒー淹れ。じっと読書。夕方にプール750 M。まだ夕食には早い。

  レンジでできる「うま塩海鮮皿うどん」。
  インスタントのくせに、やたらと旨い。それだけ毒が多いことは知っているか ら、頻繁には食べないんだけど。それでも「つなぎの軽食」には便利だ。さらに読書。

  『諸君、これが礼儀作法だ!』山口瞳ほかを読了。
  いわゆるアンソロジー、つまり何人かの著者による文章を集めたもの。主筆格 の山口瞳は故人。サントリーが毎年4月1日に出している新聞広告に文章を載せ ていた(たぶん今は伊集院静が跡を継いでいる)。

  結論としては、駄作。
  山口の文章はさすがに良いものが多いが、このタイトルでこの内容というのは 頂けない。「ただ何となく、新入社員向けに書いたよ」という文章の寄せ集めに すぎない。
  およそアンソロジーで面白い本はほとんどない。複数の著者の中にお気に入り の作家を見つけたり作ったりすることはなくもないが、ほぼ確実に駄文・雑文の うず高き山となるだけ。それでもたまに買ってしまうというのは、出版社はそれ だけ商売が上手ということなのか。


  8時前に夕食を作る。
  寒いので鍋にする。刺身で食べられるカレイがあったので、それを敢えて加熱 することになる。味をつける鍋は、あまり得意じゃない。九州名物の刺し付け鍋 ということになる。刺身のシャブシャブということ。まずくはなかったが、味付 けダシに魚が負けている印象。

  きっと、晴れた休日がいつかやってくる。
  それがいつになるのかは別として、今はゆっくりと本を読もう。赤ワインをつ まみにして。
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