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裏は表の裏にして表 10月22日
  9時起床。
  やるべきことが山積(さんせき)しているが、まずはTVで将棋を観ながら読 書。


  『きっと、大丈夫』夏石鈴子を読了。
  表紙の写真に騙されて買ってしまった。
  ケータイ読者様のために説明すると、こんな感じ。

20代後半くらいの女性がこちら向きで立っている。
うつむいている。
黒いジーンズをはいている。
上半身はブラジャー姿。
彼女は背中に手を回し・・・

  「ちょ、ちょ、ちょっとキミ、落ち着きなさい・・・」

ではなかった。昔はよくあったような気もするが、と虚勢を張ってみる。

  写真家とコラボした、女性の著者のエッセイ集。
  10年くらい前に『バイブを買いに』という小説を書いた人らしい。読んだこと はないけど、その書名は知っていた。

  結婚することなく2人の子どもを育てる日常を描く。
  写真がどのように本文に関係するのかよくわからなかったが、テーマは「女性 」であるらしい。特に堅苦しい話ではない。保育園にいれる苦労とか、シングル マザーであることとか、同居人である自分の子どもの父についてなどなど。女性 であること、母親であること、その違和感やヨロコビを覚めた目で描いている。

  女性が書いた女性に関する本に興味があって探している。
  いくつか読んだなかでは、マズマズの出来だと思う。どうしても「女性特有」 の雰囲気を感じてしまうのは著者たちの責任かもしれず、男性である読者の僕が 背負うべきも物事のあり方かもしれない。興味のある人は立ち読みなぞいかが?


  お昼過ぎに昼食。
  今日は食材を切らしている上に、買いに出る時間とお金の余裕はない。キャベ ツとチャーシューか。もちろん焼ウドン。文句あるか(-_-メ)

  午後は予習。
  予習というかプリントの準備。市進で使う「イディオムのデパート」の3回分。
  通年で27回分のシリーズの最 後の3回。最初の24回は適宜入れ替え(別名使いまわし)なのだが、最後の3回 は毎年新作。これがものすごく手間がかかる。今日は1時間半の作業。数日前に も1時間ちょっと。それでも仕上がらない。やればやるほど時給が下がる。3コ マ分で考える。

・使いまわしプリントだけ
授業の時給(240分)
  =授業実施時間+準備の時間0
  =授業実施時間(240分)

・プリント新規製作
授業の時給(240分)
  =授業実施時間+準備の時間(3時間)
  =授業実施時間(240分)+準備の時間(180分)

  後者では時給が6割くらいになってしまう。
  まあ、この3回分だけはしょうがないかと我慢して続ける。


  早い夕方に外出。
  知人(仮名M)が家を買ったという。彼の転居は来年の春以降なのだが、それ は僕が住んだことのある場所にある。彼は新居近辺の地理に詳しくないので、地 域の様子を案内してくれということ。浮世のギリってことで付き合う。面倒だが (-_-)

  Mの要望は「スーパーとクリーニング屋と床屋と病院の情報が欲しい」。
  なかなか現実的な要望である。オシャレなカフェを、などと言われても困るが 、このへんは僕の得意なジャンル。まずは最寄駅から新居まで歩くルートを紹介 する。車や人の通りが少なくて歩きやすい道。

M「なんか、人の気配がないんですが」
僕「だから歩きやすいじゃん」
M「何かあったらどうするんですか?」
僕「何かって?」
「辻強盗が出るとか」
僕「いまどきそんなのいないだろ・・・」

  辻強盗とは、辻(つじ=道の交わるところ)に出る強盗である。
  たぶん、19世紀のイギリスにはいたと思うが、さすがに絶滅したと思うがね。

僕「ここに床屋さんがありますね」
M「入ったことあるんですか?」
僕「1回だけ」
M「それで?」
僕「覚えてないから、悪くはなかったと思うけど」
「良くもなかったんですね?」

  言葉は裏を取れというが、失礼な奴だ。

僕「あれ、ここはコンビニだったのに」
M「100円ショップかあ」

  様子を探りに入店。
  ちょっとしたコンビニ状態である。肉も野菜も売っている。しかも24時間営業 。コンビニ業界が値下げ戦争に入ったのもわかる。

僕「ここ(定食屋)は使えるよ」
M「あーそうなんだ」
僕「ご飯味噌汁お代わり無料だね」
M「ほう。それはいいね。案内してもらってよかったですよ」


  こんな調子で1時間半近く歩いた。
  もう暗くなってきて、小雨も降り出した。そろそろメシ時ではないか。それと なく「他に見たいところはある?」と僕は切り出す。Mは「もう大丈夫かなあ」 と言う。その後の言葉を僕は待つ。さて、飯でも食いますか、という言葉を。

  立場が微妙なので僕は自分が食べたいものを言わない。
  Mは焼肉なぞいかがと言う。いいねえとは言わず(言いたいが)、御意(ぎょ い=相手の意向)のままに付いていく。

  僕はこの町で焼肉を食べたことが少ないが、Mは心当たりの店があるという。
  なぜかと訊けば「『ぱど』か何かで読んだ」とか。『ぱど』とは無料の地域情 報誌である。なんで新居に住む前に地域情報誌なぞ入手しているのか聞きたいが 、立場上は聞けない。

  ここはおごってもらわねばならぬ。

  オレの大切な時間を、たかが街案内のために割いたのだ。
  メシ、それも焼肉。ここで元を取らなくてどうする。さりとて、Mは奢ると明 言しない。そこで仕方なく、メニューはMに丸投げ(まるなげ=任せること)し て、「ここはおごってもらわねばならぬ」ことを暗示する。


  Mは特上牛タンや上和牛カルビなぞ(特上じゃないのかよ!)を注文してくれ る。
  どの道(どのみち=どうなったとしても)、最悪でワリカンだろう。英語で言 えばGo Dutch(最近の入試では出ないよ)。モリモリ食べる。Mは酒を飲まない ので、代わりにビールをグビグビと呑む。生を3杯なんて贅沢は久しぶりだ。っ てか、焼肉も久しぶりだし、そもそも固形肉を食べるのが久しぶりだ。ああ貧乏でミジメでハンサムな俺。しかもな かなか旨い。

  3時間弱ほどで退店。
  緊張のお会計タイム。さあおごってみせろMよ!


  90分足らずの街案内で7000円ほど。
  帰りの交通費は出なかったが、授業をやるより儲かった。いい一日だった。 要約すれば、真偽を見定めるのがウェブ文章読解術の全てなのだ(^^)/~~~
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