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どうせ負け犬だよッ! |
11月23日 |
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部屋が汚れているので掃除に専念。
・・・していたらサソリが出てきて大騒ぎ、という夢で目覚め(-_-)
昨晩は短時間で呑んだせいなのか、やや二日酔いの兆候がある。
起床は10時前。曇天。定休日の木曜日が勤労感謝の日とはついていない。プー
ルにも行けないし、世間はカップルやファミリーでごったがえしているだけだろ
う。サラリーマンにはありがたい「オマケの休日」なんだろうけど。
ヒキこもろうとまずは読書。
『窓際OL トホホな朝ウフフの夜』斎藤由香を読了。
昨日書いたように、著者は作家・北杜夫(斎藤茂吉の次男)の娘。成城大学
からサントリー株式会社にはいったOLのエッセイ。
作家の娘でモノカキと言えば阿川佐和子(父は阿川弘之)や壇ふみ(同:壇一
雄)が有名か。
どちらもなかなか面白い文章を書くし、実際に僕は彼女たちの本をよく読む。
二番煎じを狙って読んでみたが、悪くはない程度か。
最初の半分くらいは週刊新潮に連載された「OLの日常」を描くエッセイで、
後半は北杜夫または北(斎藤)家の様子を描くもの。北杜夫のファンなら1種の
「外伝」として読む価値があるくらいか。この本1冊だけでは親の七光りと言わ
れてもしかたがないだろう。七光りで悪いことは何もないけど。
お昼過ぎにスーパーへ。
休日の昼間ということでファミリーの買出しによる混雑を予想したが、そうで
もない。給料日前ということで、いつも安い野菜類がさらに安い。ありがたいと
言えばありがたく、盛り上がりに欠けるという表現もある。
遅めの昼食は味噌ラーメン。
「スープを別鍋で煮ろ」みたいな名店系のもの。まあまあ旨い。
1時間ほど勉強。
実際に掃除。冬が近いせいかホコリが目立つ。ストーブも取り出す。やはりホ
コリを払う。が、点火するほどではない。
さらに読書。雨の予報がはずれて曇りが続く。ハッキリして欲しいんだけどな
。
『負け犬の遠吠え』を読了。
2年前に爆発的なベストセラーとなった本書の文庫化を待っていたのだ。内容
的に高校生にはちょっとどうかなという感じはするけど、「エッセイとはこうい
うもの」と知るキッカケにはなるかもしれない。
著者の酒井順子は僕のお気に入りエッセイストなのでもちろん詳しくはエッセ
イに譲る。
今日のところで書いておきたいのは、なぜこんな本が爆発的に売れたのかとい
いうこと。もともとエッセイなんていうものは文芸界の邪道中の邪道であり、「
まあそういうジャンルというか作家風情にとっての生活の糧としての抜け道くら
いはあってもいいよな」程度の評価しか与えられないものだろう。僕は熱狂的に
近いエッセイ好きであるけれど、この程度の亜流としての評価をむしろ心地よく
思う。
話を戻して、なぜ「こんな本」という言い方をするのか。
酒井順子はもともと「そういうこと、書くなよな」というネタに上品なメイク
を施して世間に提供するタイプのエッセイストである。「そこは社会という人間
の恥部なんだから触れないでおこうぜ」という危険な箇所にブリブリ踏み込んで
いく。
三十代半ばになった負け犬(未婚、子ナシ、三十代以上の女性)の恋愛に対す
る態度について。
>さらには、異性と会う度に「この人、私のこと好きかしら」とか「この人、結
婚しているのかしら」とか「この人とチューしろって言われたらできるかしら」
とか考えるという生活を二十年も続けていると、もうほとほと飽きてしまう。「
あーあ、本当にくっだらねぇなぁ」という気持ちにもなってこようというもので
す。
負け犬の中にも序列があることについて。
>が、「男はいるのよ」と主張する元美人の負け犬の方が、「私、モテなくて」
と弱気な負け犬よりずっと恐くて、本人は気付かないながらも嫌ーな汁を垂れ流
しまくっていることは、ままあります。
負け犬はセックス経験を喧伝してはならないことについて。
>「セックスできれいになる」といったスローガンに乗せられて、若者も「何ヶ
月もセックスしていないなんて、変なのではないか」と不安になるようですが、
悩む必要はないのです。セックスできれいになるのなら、どうしてあの人やこの
人はちっともきれいではないのか。
読者に「自分の立ち位置と文章の内容を切り離して考える」読みの技量があれ
ば笑いになるのだが、人によってはカチンと来てしまうのではないか(追記:こ
の日記を書いてからアマゾンの書評をざっと読んだら、やはり感情的な反感を買
っているものが多かった。およそ読者というものは文章との距離感をうまく取る
という義務を負っていると僕は思うんだけどね。自由、と言われればそれまでだ
が)。
また、解説の林真理子も指摘しているように、本書は「都会のごく一部の恵ま
れた」階層だけを対象にしている。
負け犬としてカテゴライズされるには独身女性がある程度以上の収入を確保し
なければならないし、「勝ち犬=負け犬でない女性」という式も成立しない。酒
井順子は明らかに「勝ち犬=負け犬にはならないための努力をして、経済的にも
心理的にも安定した生活をおくっている女性」という想定をしている。つまり、
本書は(日本の中にわずかに生息する)負け犬と、(その対照としてやはりわず
かにしか存在しない)勝ち犬を描いている。
要するに多くの日本人が希求(または嫌悪)するであろう事象をたくみに描い
た本ではない、ということだ。
だから「どうしてこんなムチャクチャな本がバカ売れしたのかな?」という疑
問を拭うことはできない。どうしてなんでしょうね。個人的に、ものすごく面白
かったんだけど。
相撲を観てから夕飯。
時間があるので初挑戦の「鶏そぼろと豆腐の煮込み」。手間はかかるが(ショ
ウガの絞り汁小さじ1とかw)なかなか旨い。ソボロ作りに若干の課題を残す。
小鯛の刺身と小さなキムチ鍋。
買い置きのビールは「琥珀エビス」。ヨーロピア〜ンな味はいいとしても、本家
エビスとは違った趣き。それはそれでよい。しかしこの缶のデザインもビール本
体の色も「琥珀」にふさわしい。特に缶の微妙な色使いはグッドデザイン賞・佳
作くらいになるのではないか。
熱燗は「菊正宗・樽酒」。
木樽の香りが良い。しかし、上のリンクはまるでなってないな。本のページを
めくるような構成になっているのだが、普通の閲覧者には面倒なだけ。個人HP
ならともかく、企業HPは動作環境を優先するべきだろう。
この日記を読み返して気がついたのは、「なんだ、本を読んでメシ作って酒を
呑んだだけじゃん」ということ。
いやいやこれが、オス負け犬の基本的な休日のありかたなのだよ、と自己弁護
してみる(;_;)/~~~ |
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