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流儀が大切 |
12月4日 |
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早朝6時8分に地震。
震度3。おっかねえよう・・・と2度寝。基本だよな。
9時過ぎに起床。
昨晩の話で恐縮だが、『夜のピクニック』恩田陸を読了。
すばらしい小説。手にしたのは偶然だった。映画化されたこの作品の主人公を
演じたのが多部未華子、つまり城南予備校のポスターの女の子であったためだ。
失礼ながら彼女は全く僕のタイプではないが、我が宮崎あおいと同じ事務所だったので知っていた(関係なさすぎw)。そもそも、「我が」というのは何かね、わし。
感想文に戻す。
高校生の切ない物語。恋愛ものでないところがまたいい。
主人公の2人、融(とおる)と貴子は異母きょうだい。
同じ高校の同じ学年の同じクラスに所属して、奇妙な「歩行祭」に参加する。
24時間かけて80キロ歩くだけの伝統行事。融と貴子はお互いが異母きょうだいで
あることを知りながら、話したことすらない。80キロの歩行の中で、貴子は融と
接触することを「誓い」とする。
いわゆる純粋な青春小説と言える。
そこにはセックスも恋もない。いや、恋は少しあるかもしれない。でも、青春
をおくる人々にとって大切なのは、自我の確立のために他者を必要とすることな
のだ。
個人的な感想を言えば、共感できるものはなかった。
それは僕が高校とか青春というものに、いささかのノスタルジーも感じないか
らである。感動はしたが、僕の精神の組成を揺り動かすものはなかったということだ。こういうノスタルジーには興味がない。
しかし、確実に揺り動かされるものもあったと認める。精神の組成という大げさなものではなく、アイマイな意味を持つ「心」が揺れたのだ。
80キロのゴールが近づいたときに、小説的な設定の無理は多少あるにせよ、貴子の「誓い」が実現するかどうか(するんだけど)にドキドキする。「きっとハッピーエンドだろう」という予想を裏切らない結末。おそらく、多くの若い人や若さを忘れてしまった中年世代には感動を与えるだろうな、ということだ。皮肉ではなく。
消えてしまったものを探したい30〜50代に、見つからなくて焦っている高校生
や大学生に、本書を推薦したい。
いや、受験生は入試が終わってからで充分間に合うので、あせることもない。
こういう確実にいい小説にめぐりあうことって珍しいんだ。
10時過ぎから冬期。直前講習の予習。
昨年と異なり、市進のテキスト到着は早かった。校舎で受け取ったのは金曜日(開講12日前)。
城南のテキスト到着は昨日の日曜日。「日曜必着」とされた宅急便は呼び出しチャイムが鳴ることもなく郵便受けに入っていた(S川急便というのは迅速だがこういう仕事のちょっとした手抜きをよくやる)。それはともかく、これは例年通りの到着。
今日のところは予習量の整理など。
どれが踏襲でどれがプリント訂正でどれが新作でどれが面倒そうでどれが適当でいいか(あっ)、片付ける順番を決める。これを「1週間前」になる前にやっておけるかどうかで、ずいぶんと仕事の進み方は変わってくる。
慌ててパスタなぞ昼飯に食べる。
時間がないのでレトルトね。通年授業最後の城南へ。
それぞれの授業の最後で「今年でクビになりました」と語るかどうか。
時間があったらそれもいいかと思ったが、結局はやめておいた。わざわざ最後の最後で営業妨害のようなことをする必要もあるまい、という判断。コアな読者の期待を裏切るようで悪いのだが(^^ゞ
最後の授業だからと言って、泣かせる話はしない、これは毎年の日記で書いているように僕の鉄則である。
ただ今年の場合、自分がクビになったことをからめて「最終トーク」をすることは簡単であった。
A ;頑張ったがクビになった
B ;しかし大人の社会は結果社会である
C ;頑張ったが志望校に落ちた
D ;しかし大人の社会は結果社会である
A→Bが今年の僕で、C→Dが生徒様である。
ある事象を別の事象に振り替えて話せばいいだけのこと。このあとで「しかしそれでもAはムダでなかったし、Cがムダであるはずもない。BもDもそれはもちろん残念なことだが、それを笑って受け入れられる(心では泣いて)体勢を作っておくのが大事なことだ」と話せばいい。生徒様が自分の身に照らして考えられる物事に類推して、最後に「ありがたい話」に持っていく。感動させるための基本手段である。
そんな下らないお涙ちょうだいは、ウンザリなのだ。
情緒に流して自分の論に説得力を持たせるのは幼稚だ。
そもそも、そんな「ありがたい話」を聞くために生徒様はお金を払っているのではない。我ながら「非情緒的というか冷徹というか・・・」と思わなくもないが、それが僕なりの流儀である。そもそも、講師として(あるいは個人として)の僕に興味がある人はこのページを読んでいるだろうし、興味のない人に感動を強いるのは美しくないのである。イヤな人間ですね(-_-)
授業後は質問・相談の行列。
赤本の質問、勉強の相談、授業の質問、いろいろある。やはり「ちょっと恐いな」と思うのは短文系問題の質問の質が低いこと。いわゆる中堅層からMARCHあたりまでを目標にする「やや低め」の生徒様を中心層にしている予備校だけに、来年の結果が心配である(それはそれとして全入時代の恩恵を得る可能性も捨てきれないが)。
もちろん僕にとっては来年の結果なんぞ知ったことではない。
かなり多くの業界関係者に「クビだったら手を抜けばいいじゃん、もう消化試合なんだし」と忠告された。功利的に考えると実にその通りである(おっと)。
しかしやはり、これは大切なところで、「後は野となれ山となれ」とするわけにはいかない。
たとえば、今日も例年のようにスーツを着て行った。スーツ(オリーブグリーン)もシャツ(グレーとグリーンの中間色によるチェック)もオーダーメイド、ネクタイは25000円もしたエルメス(黄地でプリントの一部にグリーンが使われている)。カフス(黄色にあわせるために金色)もする。靴下もオリーブグリーン。城南では最終日だけスーツを着る、それもできるだけ高価できちんとしたもの。校舎内でスリッパに履き替えるなんていうみっともないマネもしない。これはあらかじめ決めておいた僕のルールである。「もう後は知ーらないっと」という考え方は大嫌いなのだ。つまり対外的な問題ではなく、あくまで自分の問題なのである。
冬の講習ではそのあたりの「短文対策」に触れる時間を用意しなければならんな。いかにテキストの説明を薄くするかがポイントになりそうだ。
行列をさばくのに1時間ちょっと。
やたらとたくさんの貢物を頂いた。ジャガリコ6つというのはすごい量である。IMクラスの「最前列席ゲット常連」の7人衆はお金を持ち寄ってクッキーアソート(詰め合わせ)までくれた。ありがたいことである。またよろしく。
今日は遅くなったので夕食の話は省略。
ではこの辺で。
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