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本の貸し借り 12月11日
  起きれば雪。
  なかなかに積もっている。5センチくらいか。本格的な降り方になるのは年末 であろうが、山々や人々は冬支度に追われている。もう干し柿を吊るす時期では ない。ひそかにおしのびで(語義重複)山形県は赤湯温泉に来ているのだ。静か なバカンス。そしていつも独り。


  というのは全くのウソ(*^_^*)
  ときどき「どうして天気のネタがしつこいのですか?」というメールをいただ く。ネットだからイロイロなところの人が見ているの。ウィスコンシン州からも、 京都からも、鹿児島県からも、オーストラリアのケアンズからも見ている人がい るのよ(2つは本当だよ)。

「で、それでも書く意味あるんですか?」

という意見は抹殺(-_-メ)


  9時起床で予習だなんだとこなしてから読書。
  『はじめての村上春樹』村上春樹を読了。
  発売を知って即座にお取り寄せしてしまった、短編集。但し、新作はない。
  春樹、村上龍、よしもとばななといった当代一流の作家を若い読者に読んでも らおうとする文芸春秋社の企画シリーズらしい。文字が大きく、ふりがなも多い 。中学生から高校生くらいがターゲットなのだろう(関係ないけど、若い読者を 想定するなら文庫であるべきではないか。1300円の本を中高生が気軽に買えるも のだろうか)。

  以下、日記に入れるには長くなるが感想文。
  春樹ネタは「最近はこんな読書」と区別してエッセイにしているため。

  春樹の短編に読み残しがあると知っている。
  すでに全集が発売されているのでそれを大人買いすれば済むことだが、存命の 作家の全集を買うのは失礼な気がする。またあるいは、せっかく同じ時代に生き ているんだから追いかけて読んでいきたい、という気持ちなのかもしれない。

  本書に収録されている14作品のうちで読んだことのなかった作品は3つ。
  やはり全て初期の作品たちだった。「やはり」と書くのは、初期の作品(80年 代前半)には文庫化されていないものが多くあって、しかし単行本で発見するの は難しいからである。買ってよかった(^^)

  未読で面白かったのは「とんがり焼の盛衰」。
  たった10ページ足らずの奇妙なファンタジー。読んでいるときに「あ、これっ て文壇の批判なんだな」と思っていたところ、あとがきに同じ趣旨のことが書い てあった。さすがに春樹でも、デビュー当時は「まだ青いな」という小説を書い ていたとも言える。いかなる意味でも批判ではなく、成長したことへの賞賛とし て。

  既読で良かったのは「沈黙」。
  短編の中では評価の高い作品で、何度読み返してもその「しん」とした寂しさ に似た心境が伝わってくる。書かれた物語の中に読者が自分の物語を「描く」よ うな小説と言える。

  なお、上記のように春樹があとがきで著者による自作解説を入れるのは非常に 珍しい(全集には非常に長い自作解説があるが)。
  春樹フリークの人はそのあとがきだけ立ち読みするのもいいだろうし、春樹初 心者というより小説を読みなれていない人は手にとってみるくらいの価値はある だろう。春樹は心の深奥が非常に深い作家だが、難しい物語は書かないタイプな ので。


  1時過ぎにパスタの朝食。
  ブリリアントな午後を紅茶とともに過ごしていたら親友S君からメール。彼は 転勤で関西某所に越して半年ほどになる。用件は

「正月に千葉に帰るが、ヒマだったらお前の家に行くぞ。ついては本を貸せ」

とのこと。ほう。そこで

「着払いで良ければいくらでもやるよ」

とレスしたら、

「そうか。適当に見繕って送ってくれ。なお、オススメ順位リストをつけてメー ルに添付するように

とのこと(-_-;)
  あのね、いくらヒマなわしだってそんなことしている場合じゃないの。わしは 江戸川区で屋台のおでん屋をやっているわけじゃないの。


  やむをえず本を見繕う。
  この3年間に読んだ400冊から選ぶので大騒ぎ。書評家じゃないんだから、そ んな簡単に決められるわけはない。小さめのダンボールに詰めたのは30冊くらい か。全ての書名をメールに転記して、既読本の有無を確認してもらう・・・。

  電話がリンリンと鳴る。
  某知人。なんだコラと聞くと、

>そこまでしつこく「のだめカンタービレ」を貸せと催促するのですか、あなた は。HPで2日も続けて貸すように根回しするとは、恫喝(どうかつ=脅すこと )の一種じゃないんですか。だったら取りに来なさい。さもなくば着払いで送り ますよ

とのこと。
  ひひひ、釣れたぜ。マンガは借りて読むもの、チャンスがあれば返さな い。これ、人生の鉄則。しかし、全16巻を取りにこいってか?

  ・・・取りに行く。


  千葉県某所。
  アリガチ系の飲み屋で泥酔。知人は酒を飲まないので僕ひとりで熱燗4合ほど 。「物語の虚と実」について、これもありがちな討論。僕も彼も文学部出身なの で議論は熱くなり、結論はない。

  彼は「他者の物語から自分の物語を作れないのが愚民たるもの」が持論で、僕 は「そこのインターフェイス(繋ぎ目)を策定するのが語る者の義務」というの が持論。
  交じる地点がないからこそ議論する意味がある。語り合うことで自己を検証し 他者を批判する。また同時にその逆を自問する。そこを探しあうことが自分を物 語ることであり、それを分かり合えないものとして放置しようとするのが彼の立 場。もちろん、彼は自分の物語を持っているから諦観を抱いているのだ。了解事 項があるからこそ語り合える。しつこくなるからこれ以上は書かないが。


  マンガを借りたお礼におごらせていただく。
  大人買いしたほうが安かったような気がしないでもない。ナットクいかねえ。 なんというムダな時間の使い方なのか。休日は残り1日。


追記:城南直前講習について
22日→2限RD(難関)、3限RB(最難関)
29日→1限RA(最難関)、2限CF(難関)、3限RC(最難関)
泥酔しているのでスケジュールアップは明日ということで。
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