予備校講師でわるかったな!





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夢を、どうする? 2月14日
  毎年恒例という名前のマンネリ日記になる予定である。
  今年もしっかりとバレンタインデーがやってきた。たまには「今年のバレンタ インは省略」とかないのか。うるう年の逆みたいな感じで。日本政府は真面目に やっているのか。


  7時半起床。
  4時間半しか寝ていないが、バレンタインデーなので根性で起きる。寝ていて は、チョコを貰えるチャンスを逸するかもしれない。バレンタインのチョコとい う果報は寝ないで起きて待て、ということだ。

  パソコンをあけてメールチェック。
  お、1通来ている。そうか、チョコを僕に献上する勇気のない女子がメールで 代用か。それもいいのう。件名を見る。

Subject:バレンタインデー、フォー!

  いつの時代なんだよッ!
  HGなんか、もう誰も覚えてねーよッ!
  しかも差出人は♂。しかも予備校講師とは。


  外は雨模様。
  朝食にソーメン、早めの昼飯はタンメンとこなす。ひたすらチョコを待ちなが ら読書を続ける。

  『夢を与える』綿矢りさを読了。
  3年前の日記(ヒマここ)でも紹介した芥川賞作家の小説。ダブル受賞した金 原ひとみが新作を続けざまに出しているのと異なり、本書が受賞後第1作。

  本書の発売を昨日嗅ぎつけて、昨晩から読み出し、一気読み
  最近は本を買いすぎているので、ハードカバーで買うのは控えている。期待し ている作家の小説だけが例外。ところが僕にとっての例外だった辻仁成がリスト から外れてしまったので、残るは村上春樹と島本理生のみ。綿矢りさにかける期 待は大きい。ネタばれしないようにあらすじ

  チャイルドモデルから芸能界入りした夕子。
  高校入学をきっかけにブレイクするが、待ち受けていたものは・・・。

  前2作と違ってストーリーテリングが小説の中心になっているから、読者が引 き込まれやすい構成になっていることもある。
  そしてやはり、著者らしいリズムのいい文章がいきいきしている。

>夕子はうれしさが心のなかからあふれていくのを感じた。歩いて身体が揺れる たびに、うれしさはよい香りをまきながら身体のなかを転がった。

  難点があるとすれば、以下は矛盾する感想になるが、ストーリーテリングが中 心になっているだけに読者の気持ちが「で、それでどうなるの?」という方向へ ころがってしまうこと。
  小説中の時間は夕子が生まれる前から18歳になるまで流れる。それだけストー リーとして描かなければいけない部分が多くなってしまう。もちろん夕子の成長 の背景があるから小説として成立する部分はあるし、だからこそ原稿用紙500枚 という「やや大作」になったのだとは思う。しかし、たったそれだけの枚数で18 年間をうまく描くというのは難しい。

  必要な要素を盛り込もうと焦っている著者の姿が見えると言えば生意気な感想 かもしれない。
  ただ、この18年間を描くにはもっと長い時間(枚数)をかけるか、逆にもっと 短くまとめる方法があったような気がする。読者によっては「冗長」と感じたり 、あるいは「性急」と感じることもあるだろう、ということだ。僕は「展開が速 すぎるよ」と思ったり「もっとゆっくり描いてくれ」と思ったりで、ちょっと落 ち着かない読み方をしてしまった。

  結論としては、良い小説だ。
  「夢を与える」という不思議な(もう少しハッキリ言うと陳腐な)タイトルも 物語の最後ですっきりと説明されるし、前2作と異なり主人公が3人称に変わっ ても文章のリズムがいい。言葉がイメージをすっと作り出す。もう1度じっくり と読んでみたい。読み直すことで新しい発見ができるかもしれない。そう読者に 思わせるのが(あくまで僕にとっての)良い小説であるからだ。

  いつになるかわからない次回作にも期待。
  好きな作家のリストに加えるかどうかはまだ考慮中ではあるにしても、経験を 積んでいけばもっと良くなりそうというのは島本理生に対する感想と同じ。新刊 ハードカバーで初版買いするつもり。
  最後に、綿矢さんって綺麗ですよね。可愛い、というコトバは似合いそうにな いけど。バレンタインのチョコでもくれないかな。しかしこのヘン、本の中身と 全く関係ないな(^_^;)


  午後2時半に2回目の昼食。
  外はまだ雨。そうか。家にいてもチョコは貰えないのか。ならば外出だ。プー ルだけど、僕に心を寄せている美人監視員(いないような気がするが)がくれる かもしれない。

  帰宅。
  そうだ、勉強をしよう。努力をしていればきっとチョコの宅急便がやってくる はずだ。ホウキに乗っているかもしれない。2時間ほど「習い事」。非常に高い レベルの集中力が必要とされる勉強で疲れる。集中しすぎていて宅急便のチャイ ムに気がつかなかったのだろう。チョコ待って忘我、という言葉もある。


  暗くなってから整骨院へ。
  南風が強い。どうやら春一番のようだ。そんなことはともかく、整骨院でチョ コをゲットできるだろうか? かなり可能性が低くなってきたような気がする。 いやしかし、そこで一発大逆転が起きるのが人生というもの。

  帰宅。
  マンションの郵便受けには宅急便の「ご不在通知票」が入っていない。クロネ コのお姉さんが入れ忘れたのか。ひょっとすると、大逆転が起きないのが世の中 なのかもしれない。投げやりな気持ちで習い事に戻る。8時を過ぎて力尽き、夕 飯を作る。昨日の残りのホタテをバター焼にするなど。


  夢は見るものである。
  与えるものではない。受け取るものでもない。勝ち取りたくて、勝ち取れない ものなのだ。バレンタインのチョコとは対極にあり、パラドクシカルに同極にあ るのだ。

  この日記、見事なまでに受験生への説教と激励を隠しているのだが、読み取り にくいかもしれない。ちくしょぉぉぉ!(何がだよ?)

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