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イッキにサバけない |
2月27日 |
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今朝まで、島根県にいた。
たぶん松江というのは島根県だと思う。島根県人の読者には申し訳ないけど、
何も調べないで出かけていけば、現実的な地理感覚はそんな感じ。
それにしても、ひどい温泉宿だった。
以前もどこかで書いたと思うが、温泉宿は1泊2食15,000円レベルがもっとも
危険だ。それなりの金を取るのに、それなりのサービスが受け取れないのがこの
価格帯なのである。今回は失礼ながら田舎といっていい温泉だったので、「実は
めっけものが多い(と僕は確信している)」1泊2食20,000円レベルを期待して
いただけに残念だった。
あまりにも頭に来たので、アンケートにコッテリと苦情を書いてきた。
その封筒に「よびわる」のURLが載っている名刺も入れてきた。ただ単純に
文句を言うだけでは面白くない。客だから何を言ってもいいということにはなら
ない。
何が不愉快だったかというと、従業員の誠意にシステムが追いついていないの
である。
従業員のヤル気は感じられた。1泊しただけで断定するのはナニだが、明らか
に凋落している宿(ハッキリ言ってガラガラだった)で「このままじゃあマズイ
」という気迫が感じられた。この件を書き出すとキリがないし、今日は疲れてい
るので簡単に。
朝食を8時に頼んでおいた。
部屋に電話がかかってきたのは7時49分。まあそれはいい。7時55分ころに食
堂に降りていくと、僕の膳にはすでにおひつ(オヒツ=ご飯を一時的に入れる食
器)が到着していた。さらに、卓上コンロの固形燃料には火がつけられていた。
温かいものを温かく食べさせまいとする策略なんだろうか。
修学旅行客のような「大量に一気にサバかなアカン」という客なら仕方がない
と思う。
しかし、今日の朝食会場は14人分の料理に対して給仕の女性が2人。14人が同
時に食べるわけじゃないから、客が実際に会場に来た瞬間に火をつけて、オヒツ
にご飯をよそって持ってくれば済むこと。こういう部分に一手間かけるかどうか
が、いい宿とそれ以外を決めているような気がする。ちなみに、昨日泊まった鳥
取温泉『こぜにや』はそのあたりがキッチリできていた。
バスで松江駅へ。
以下、山陰本線、木次(きすき)線、芸備(げいび)線、伯備(はくび)線、
吉備線とテツ旅を堪能。特に木次線は最高だった。3段式スイッチバック、JR
西日本最高標高の駅など、見どころタップリ。一部区間は1日3往復という超ロ
ーカル線で廃線必至なだけに、この機会をつかまえることができて良かった。な
お、雪はほとんど見られなかった。やはり暖冬なんだろう。
ああ、ぼくは今、テツしている。
という感動を伝えたいが、後日にエッセイにすることだし、パスする読者も多そうだし(泣)、先を急ぐ。
岡山駅で2時間の待ち合わせ。
これは意図的なもので、岡山界隈で締めの一献(いっこん=お酒を飲むこと)
を楽しもうという理由。岡山の地酒を300種類以上扱うという店に入ったが、肝
心の料理がイマイチ。本物の酒好きはツマミを軽視する傾向があるのだろうか。
残念。
岡山から新幹線。
長澤まさみを使った2枚組ポスター広告をよく見かけた。コピーは
長澤クンは新幹線。
まさみちゃんは新幹線。
というもの。長澤クンは「デキル系OL」の衣装で、まさみちゃんは「キュート
な旅行客女子」という衣装。ううんそそるなぁ〜、じゃなくて、ポスターそのま
まに3時間半もかからずに東京に着く。
予告通り、5日間の旅行中は本を読まなかったし音楽を聴かなかった。
かわりに、たくさんの夢を見た。車中の昼寝はもちろん、夜に寝ているときも
夢を見るたびに起きるようにして、ふたたび眠り、新たなバージョンの夢を見た
。数えたわけではないが、5日間の延べ数で30個以上は見たと思う(夢の単位は
「個」なのだろうか?)。いずれも経過時間が短い夢だった。
今まで何回も書いたように、僕は夢を見ると精神的に癒される。
脳の中でゴチャゴチャしていた部分が整理されるような気がする。実際にそう
なのかどうかはもちろんわからないけれど、モヤモヤしていた部分が消えたなと
感じる。この旅行で夢を見るたびに「そうだ、何かを捨ててしまいたくて出てき
たのだ」と思い出した。だからもっとたくさんの夢を見ようと努力した。
帰宅する。
シャワーを浴びて、雑用をして、ビールを飲み、日記を書く。いつものことだ
。さて、僕は自分をからっぽにできただろうか?
もちろん答えは否定文に決まっている。
そんなことは実際には起こらない。ただ、ある種のものを旅行先に置いてきた
ことはハッキリしていて、しかし何を置いてきたのかだけがハッキリしていない
。今日ここで書いておけるのはそういうことだけ。長い旅行は終わった。
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