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トンカツカレーと、生の刺身 |
3月14日 |
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少し寝坊して9時半起床。
長澤まさみと2人で文房具店に行く夢。僕は文庫本、彼女は文鎮を買ったとこ
ろでバイバイ、となって目が覚めた。文庫本もヘンだけど、文鎮(ぶんちん)という
のが不思議だ。
僕の机の上には文鎮がある。
大学時代のサークルのコンパで貰ったもの。ビンゴ大会とかそういう感じだっ
たか忘れた。もう15年以上使っている。すごく便利だ。でも、今の高校生は「ぶ
んちん」なんていきなり言われてもわからないと思う。ひょっとして、「ペーパ
ーウェイト」だとサクッと通じたりしてね。恐いよね。
午前中は予習。
昨日になって、今日あつかうテキストにミスプリが3箇所も見つかったのだ。
つまり先週の授業で告知できなかったわけで、慌てて来週分をチェックする。今
日の生徒様にはご迷惑をかけてしまった。陳謝。3月分の予習は全て終わった。
お昼前にお酒の買出し。
ついでに弁当を買う。海鮮炒め丼。安かったけど、帰宅して食べてみたら海鮮
はホタテ半分1、エビ1、イカ1だけだった。サギじゃないのか。わざわざ1つ
ずつ別盛りにしたとしか思えない。旨いことはウマかった。
あ、昨日の読書の話を忘れていた。
『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』太田直子を読了。
このような不思議な書名を見て考えることは2つ。すごく面白いか、全くの駄
作か。本来の新書らしく「無学のやからを学問の世界へいざなう」ことを目的と
しない光文社新書。それでいて内容は厳選され、文筆の素人さんにマイナーな世
界を面白く書かせる出版社である。
さてどうかと本書の後半を立ち読み。
>そういう人たちは字幕製作の基本的な工程さえ知らず、ただの「翻訳」という
認識しかない。たとえば、こんな恐ろしいことを平気でおっしゃる。
「フィルム(映像)はまだ届いてないけど、台本が来てるんだから翻訳できるよ
ね。んじゃ、フィルムが届いた二日後に字幕入りの試写するから」
できねーっつーの!
ところで、最近の新書を立ち読みするときは後半から拾い読みするのが鉄則。
前述のように従来的な新書と異なり、最近の新書は、たとえば僕のような「ち
ょっと知的ぶりたい程度の愚民」に売りつける目的が明白なため、面白い部分を
最初のほうに置いてあるものが圧倒的に多い。
もちろん売り方としては正攻法なのだが、読む続けると後半がダラダラで無内
容というものが散見するのも事実。「とにかく本を売らんがな」の精神がはびこ
っていて、いかに出版業界が危険な状態にあるのかの見事な例である。
話がそれた。
ズバリ、現時点での今年度ナンバーワンエッセイ。確認するが、本書は従来型
の「新書」ではなくあくまで面白系エッセイだ。著者は戸田奈津子のような超大
御所の字幕作成者ではなく、20年で1,000本程度という中堅に位置する。字幕業
界の実情、暴露、辛らつな暴言・妄言、無意味な脱線など、エッセイとしての完
成度は相当高い。
あまりにも面白い部分が多いので、かえってエッセイでは紹介しない。
字幕製作者がいかに弱い立場なのか、文字情報を絞るとはどういうことか、差
別語はどうするのか、なぜ字幕ではなく吹き替えの映画が増えているかなど、映
画を飛び出した社会の実情をおもしろおかしく描いている。
もし本書の長所を1つだけ挙げろと言われたら?
それは文章の読みやすさである。職業柄ということではあるが、これだけすっ
きりキッパリさっぱりとした文章を書くモノカキはあんまりいない。僕も人のこ
とを言えないけれど、メールやブログの流行で文章を書く総量が増えていても、
ひとびとの文章の技術はかえって落ちている。
>わたしは必要な調べものをするときにインターネットを活用するくらいで、掲
示板とかブログなどといったものはめったに読まない。中身はピンからキリまで
さまざまだろうが、少なくとも誤字脱字文法破綻だらけの果てしない自慰的垂れ
流し文を読むくらいなら、寝転がって紙の書物を読んでいるほうがましだからだ
。
毒舌ぶりも相当なものだが、スッと文意が通る感じがしませんか?
本書のどこを読んでも感じたのは、カタカナや漢字の使い方、具体的には文字
バランスの良さである。この人、他にもエッセイを書いてくれないかなあ。中学
生から大人までにオススメ。
午後は音楽を聴く。
フランツ・リストの「ピアノソナタ ロ短調」。演奏はポリーニ。これは掲示
板で現在の(?)生徒様に推薦してもらったもの。ポリーニはよく知らないが、
けっこう有名なピアニストだったはず。先日、たまたまCD店で見つかったのだ
。
聴いてみたと言っても、今日の午後で4回目。
正直に言うと、よくわからない。19世紀中盤の曲ということで、モーツァルト
のようなわかりやすさがない。この説明がわかりにくいので言い換えると、主旋
律(メロディーというのかな?)がハッキリしないのである。いろいろな音がい
ろいろな方向から聞こえてきて、その予想がつかない音楽なのだ。たぶん「主題
とそれに応える形式」だとか、そういう楽譜上のアレコレが入った巧妙な音楽な
んだろうと思う。でも、僕のような初心者が聴くのはまだまだキツイだろう。
ただ、今の時点でも感じるのは、ポリーニが叩く鍵盤の心地よさ。
録音がいいのか音楽がいいのか彼がテクニシャンなのかは知らない。判断がつ
かない。いずれにせよ、鍵盤に弾き出される(鍵盤で、という感じではない)音
が気持ちいい。まずはこの程度の幼稚な感想から入っていけばいいだろう。初心
者でなかった人はいないのだ。
遅い午後はエッセイ書き。
書くのは楽しい。それだけで楽しめるのが趣味で、やることで報酬を得られる
のが労働、その中間にある、つまり楽しんでやれてお金になるのが「仕事」だ。
いま僕が書いているエッセイはあくまで趣味。これが「仕事」になれば一番なん
だけど、それがなかなか難しいってかムリなんだよな。なお、この段落は今日の
市進Qクラスの長文の内容をパクったもの。
通勤途中の本八幡駅前のカレー屋さん。
「期間限定 トンカツカレー500円」という掲示が出ている。なんかヘンだな
と思う。3秒考えて気がつく。普通は、カツカレーじゃないのか。それとも、「
トンカツ」と書かないと意味がわからない人が増えたのか。エビカツカレーとか
、味噌カツカレーとかありえないと思うんだけど。お節介が流行していて、人々
はそれを歓迎しているように見える。
そうだ。
某JRでもヘンな掲示を見つけたことがある。電車のドアのソバに立ってくだ
さい。ドアの上部を見てください、そうそう、ドアと車体の接するあたりを見上
げてください。普通、そんなところ見ないでしょ。そこになんて書いてあるか。
>すき間に手を入れないで下さい(注:要旨)
その、ドアの上部に手を入れるお利口さんがいるんだろうか。
いるんだろうなあ、いたんだろうなあ。それで、JRに「ちゃんと注意書きを
しないからだ!」と苦情をねじ込んだんだろうなあ。JRは訴訟にされるとマズ
イと思って、こんなアホな掲示を出したんだろうなあ。
電車のドアの上部なんて、身長176センチの僕が見上げるくらいの高さだ。
手が届くには、最低でも身長140センチは必要だろう。小学校の低学年ではム
リなくらい。人々がどんどんオロカになって、世間がどんどんそれをお手伝いし
ている。気のせいじゃないと思うんだけどなあ。愚民迎合もたいがいなところに
しろよな(-_-メ)
教室へ。
先週と違って出席率は良い。今年の方針は、と書きかけたけどやめる。年度の
最後に公開するつもり(というほど立派なものではない)。
今年度からテキストの講立てが変わった。
去年までは形容詞句・節が先だったのだが、今年は名詞句・節。話の進め方と
してはシンプルになったが、頻出で理解の難しい形容詞句・節が後回しになった
のも事実。そういう意味で、今日の授業で僕が「ごまかした」部分が目に付いた
生徒様もいたことだろう。もう少し先をのぞきたいというエッチな人は『語る』
シリーズの初級編をナナメ読みしておくことを小さな声で推薦しておく。
もちろん、形容詞句・節はいずれ説明するのである。
「じゃあいいや」と言ってノゾキを中止する人もいる。それが既知と未知の垣
根を下げないことなんだけど、この「1つの手間を省く」ことが後の苦労を招く
ことを知らない人が多すぎる。
ちなみに、この手の説教も嫌われる。だから「トンカツカレー」と書いてある
んだと思う。かなり辛口なんだろう(主語は?)。
帰宅。
寒いのなんの。夕飯は湯豆腐とサーモンの刺身。あ、表記が良くないな。生サ
ーモンの刺身、だ。ナマ以外の魚を刺身で食うお利口がいるだろうから、注意だ
。文章をうまく書くのは難しい。
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