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トリビアの向こう側 |
4月19日 |
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9時半起床。
やっと晴れたかと思って洗濯物を干すと雲が出てくる。強い北風。へんな天気
だ。昨日からカラスがカーカーとうるさい。大地震の前触れか、単に繁殖期なのか。
今日は将棋の準タイトル戦「朝日オープン」5番勝負の2局目。
選手権者が羽生三冠、挑戦者は阿久津主税(ちから)五段。羽生が先勝してい
る。準タイトル戦は7大タイトルに次ぐもので、NHK杯や新人王戦など5種類
くらいあったかな。
朝から観戦しようというわけでネットをつないだら、中継されていない。
10時から対局開始だったのだ。各持ち時間が3時間なので、遅くても夕方6時
には決着する。朝食の卵とじソバを食べてから観戦。他のタイトル戦と違って棋
譜の自動更新がないので、臨場感は今ひとつ。
銀行へ。
新居のカーテン代振込みと国民年金の振込み。前者は現金を使わずにカードか
ら振り込む。これで本体価格以外に使ったのは150万くらいかな。今度こそ本当
に支払はマンション代金だけになった。と書いてから気がついたのだけど、まだ
印紙税だ管理準備金だ団体信用保険だ何とかかんとかと払わされるのだろうな。
どこまで金がかかるんだよ。
後者の国民年金は窓口振込みで面倒だなあ。
現金を下ろして窓口に振込みを申請する用紙に記入していたら、銀行員に声を
かけられる。「カードがあれば機械でできますよ」。あれあれ。
ペイジー(ペイイージー?)というシステムらしい。
税金などの公共料金の納付書に「ペイジー」とあれば、金融機関のカードから
振り込めるシステム。納付書の番号を入力すると「ノブハラタケシ」という人が
振り込んだとわかるようになっている。すごいね。こういうのも「国民背番号制
」と揶揄(やゆ=からかうこと)された住民基本台帳から作られたものなんだろ
うか。
キャッシュレス社会はどんどん進む。
作家の椎名誠はたしか1979年に「これからは世の中キャッシュレスですぞ」と
予言する本を書いた(ちなみにこの本が彼の初めての著作)。その予言が当
たったというのは不正確かもしれないが、たしかに現金の必要性が低くなってい
く。さりとて生の現金をやり取りすることに魅力を感じるのも事実なので、ちょ
っと寂しい気もする。便利なことは便利だけど。
ついでにキャッシュレス感覚を満喫しようと書店とスーパーへ。
もちろんどちらもクレジットカードが使える。新古書店ではなく普通の書店と
いうのもなかなか楽しい。「これ買っても、ちゃんとモトが取れるといいんだけ
どな」と思いながら本を厳選する楽しみだ。新書2冊、文庫2冊。
帰宅してグズグズと読書。
『トンデモ一行知識の逆襲』唐沢俊一を読了。
著者はTV番組『トリビアの泉』の元ネタ作者として有名(なのかな?)な作
家。たいへん面白い雑学エッセイ集。
「一行知識」は著者のホームページで紹介されていた、有用性の欠落した事実
のこと。
『トリビアの泉』で「へぇ」として扱われたネタは真実であることを確認した
もので、本書では真実かどうかわからない(または真実とは言えない)ネタを取
り上げている。
>河童の腕は抜けやすいので、河童と相撲をとったときは腕をつかんで振り回す
とよい。
>バッハはハゲだった。
>カン入りのカルピスを作るにはマジンガーZを作るくらいの技術がいる。
最初の「河童」の例をのぞいて、それぞれの一行知識の背景を語るエッセイが
並ぶ。
一般的に言えばトリビアとされるネタが、実はどのような背景を持った上で「
一行知識」となりえるのかを解説してくれるわけだ。
>知識は自分で記憶しているだけでは持っていないも同然である。人に伝え、そ
の人がまた別の人にそれを伝え、と、伝播させてはじめて、生きた知識となる。
これが本書の「まえがき」。
著者はアイデアをどのようにして売っていくのか、理念ではなく具体的に考え
ることを習慣にしている。なるほど確かに、「へぇ」で笑っておしまいにするの
では、無用な知識から学びを得ることはできないだろう。また同時に、著者は学
びなんて要らないのだとアイロニカルに語る人物でもある。
最後に、前述の「カルピス」について。
カン入りにするとどうしても濃度が一定しなかったという。その1点だけがな
かなか解決できずに「マジンガーZを作るくらい」難しいと評されたということ
である。つまりこれは事実としてのトリビアではなく、比喩としてのトリビアで
ある。そして興味深いのは、濃度一定のカルピスウォーターが誕生したことで人
は何を失ったかという、唐沢の考察。
>カルピスウォーターはその(=子供の)精神的成長の儀式を阻む存在なのであ
る。
この一行知識から、なぜこのような論が導き出されるのか?
それを知りたい人は読んでみてください。「へぇ、大変だったんだね」で終わ
りにしたい人は読む必要なし。
昼食は焼きソバ。
昨晩の残り物「豚角煮あらため焼豚」を具にする。非常に旨い。市販品の焼豚
とはレベルが違う。俺はいま豚を食べているんだという爽快感すらある。僕のよ
うな独り暮らしだと手間ヒマ日持ちの問題があるが、お子様のいる専業主婦の方
は試してみてください。プールは2日連続で1キロ。
5時過ぎ、将棋は阿久津挑戦者の快勝。
羽生にありがちな淡白な負け方。ときどき羽生はタイトル戦であっても実験的
な将棋を指すことがある。阿久津五段は明らかに格下で、ナメてかかっているく
らいが羽生の本音だろう。しかしこれで1勝1敗で3番勝負になった。準タイト
ル戦に初挑戦の阿久津の踏ん張りに期待したい。
昼寝をしよう。
変わらず寒いのでソファに毛布を持ち込むが寝られず。今日はほとんど何もや
ってないなあと思いながら本を読むのが楽しい。そろそろ夕飯かしら。
メインはニシンの塩焼き。
ニシンと言えば京都の「ニシンそば」。食べたことがある人はご存知のように
、煮付けたニシンが日本そばの上にのっているフシギな食べ物。ハッキリ言って
たいして旨くない。以下は僕の個人的な偏見かもしれないが、食べた瞬間に
「魚のミイラを水で戻したのか?」
という食感がある。
どうしてこんなものが京都にあるのか悩む人も多いだろう。
京都は内陸で魚を生食できない土地柄だ(現代ではなく、100年以上前ね)。
そこで北海道で大量に取れるニシンを干物にして、北前船か何かでミヤコに運び
込んで煮付けて食べたのではないか。甘露煮だから本来は京都の人が食べるもの
ではなく、よそ者に食べさせるために作った料理のように思える。あくまで予想
だけどね。
なお、ニシンは昭和30年代まで北海道の日本海沿岸で豊漁が続いた。
その収穫量がハンパではなかったため「ニシン御殿」が小樽を中心に立ち並ん
だことは有名な史実。しかしその後、なぜか収穫量が激減してニシンなんぞ誰も
重宝しなくなったのも事実。日本史受験者は「史実と事実の違い」はともかく、
「北前船でいいのか?」を調べてみましょう。ちなみに、僕は何も調べないで北
前船と書いてますからねん。
塩焼きは特に旨くなかった。
やはり七輪を買うべきなのか、ニシンは甘露煮が一番なのか、ぐずぐず悩んで
いたらそこそこ日記が長くなったのでこれにて失礼。
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