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加減を見極める 11月5日


  9時起床。
  しかしよく寝ることよ。朝食には昨日買った鍋を使って雑炊を用意する。使い 始めなので、コメの「ネバ」を鍋に浸透させてヒビ割れに備えさせるのである。 これ、鍋使いの常識。

  ・・・と説明書に書いてあったのが実情(^_^;)
  まあ知識としては知っていたけど、実際にやったことはない。「のり状になる までドロドロに煮つめる」とあった。どのあたりがラインなのかは不明。まあこ のへんでええやろ、と判断するしかないのは何事でも同じだ。あんまり旨くはな かった。夕方にも同じ作業を少々。


  10時からバタバタと行動。
  プールをすませてから本の整理。ダイニング備え付けの棚に大量に収納してお いた。ところが、マニュアルを読んでみると「耐荷重は1枚10キロまで」とあっ たのだ。渡してある板の幅は70センチで、文庫本を並べると50冊ちょっと入る。 文庫本1冊は平均180グラム(人生で初めて計った)くらいなので、これでほぼ耐 荷重に達している。

  現状をチェックする。
  1つの棚に文庫本が120冊くらい、単行本が20冊くらいか。それが2つ。どちら も3倍以上の負荷をかけていることになる。えーっ。なんだよせっかく上手く並 んで気分良かったのに。まあ、板が壊れるまえに気がついて良かったと考えよう 。

  マンガのたぐいは玄関脇の収納へ。
  書斎の本棚を整理して、棚1つ分のスペースを確保して単行本を移動。どこま でやっても延命処置のような気がする。壁一面本棚を作りつけする前に、キッチ ンカウンターの上に吊り戸棚をつけて収納するべきか。いや、本は重いから吊り 戸棚は無理だよな・・・。そんなこんなでお昼前。


  外出して昼食。
  少し豪華な雰囲気の中華料理店。銀座アスターを3割引したようなたたずまい 、というのか。朱塗りの柱とか中華風のシャンデリア(ほどリッパではない)と か。トラブルが発生すると、店の奥からジャッキー・チェンがヌンチャクを振り 回しながら出てきそうな感じ。もう高校生にはジャッキー・チェンなんて「誰そ れ?」の時代だとは思うけどね(^^ゞ

  魚介のカレー炒め。
  カレー炒めってのは中華料理なのか、という疑問は残る。お味は予想されたよ うにたいしたことがない。そのわりに店は繁盛しているようで、商談系のサラリ ーマンとか50がらみのオバサンの団体とか、もりもり入ってくる。高級風な感じ を楽しむという部分もあるだろう。サービスのコーヒーはたぶんインスタント、 またはそれに準じるレベル。僕は半年に1回でいいかな、というレベル。


  いったん帰宅してから手話教室へ。
  いつもの定刻ギリギリより早く到着して、他の受講生たちと世間話。

M 「信原さん、ついていけてる?」
僕「すでに落ちこぼれです・・・」
M 「そうよねー、あんなの絶対ついていけない」
「私はすでに半分死んでいる」
M 「は?」
僕「いや、とにかくもう無理目です(-_-)」
D 「信原さんは若いからさ〜」
僕「関係ないっす」
M 「Gさんはどうしてあんなによくわかるの?」
G 「とくべつなことはやってないです〜。あ、でもNHKの・・・」

  というところで鬼講師T先生の登場。
  女性連れである。なんと、ホンモノの(というのか)聾唖の人である。

T 「あら信ちゃん今日は珍しく早いね」
僕「やる気のあらわれです」
T 「(無視)今日は聾唖の方を連れてきましたよ、教科書は使いません」
全「はあ」
T 「あのね、皆さんがお互いに喋るのは駄目ね。聾唖者にはわからないでしょ。 ヒソヒソ話されてるのかと思うから、私語禁止。するなら手話で
全「えーっ(できたらここにいないだろ)」
僕「マジっすか」
T 「喋らない、手話でっ!(と手話を使う)」

  聾唖のRさんは3歳のころに失聴したとのこと。
  少しは声が出せるようで、受講者がわからないときには(特に僕だ)声を出し てくれる。全員が初めてから9ヶ月ほど、しかも月2回だからほぼ初心者である 。そのわりには意志疎通をソコソコはかれるのが面白い(但し僕を除く)

  ものすごく疲れた。
  楽しい体験ではあるけれど、どれだけ自分の身になったかがハッキリしない。 今日のところはあくまで経験値を上げる、というメリットしかなかった。もう少 し習う頻度を高くしなければいけないかも。とりあえずあと3ヶ月はこの調子で 続けて、そこからどうやってレベルアップするか、必要なことは何かを探す予定 。年度が変わればまた違った段階に進むだろう。


  夕方に帰宅してヒミツの花園。
  1時間ほどで暗くなった。朝は意外に晴れていて、どんどん雲が出てくる一日 。布団は午前中に少し干せただけだった。無念。夕食前に読書少し。

  『村上春樹論』小森陽一を読了。
  著者は東大大学院教授。タイトルは(購買層の関心を引くための営業的戦略だ ろうが)肩書きに過ぎず、実質はサブタイトルの「『海辺のカフカ』を精読する 」にあるように、『海カフ』の批評。

  『海カフ』は「処刑小説」であり「女性嫌悪小説」であるという主張。
  話題が著者の得意分野(?)に飛躍しすぎる嫌いはあるものの、小説を解釈す るという意味ではこういうのもアリかな、というところ。春樹がよく認めている ように、読者にはそれぞれの解釈がある。本書の解釈はおよそ一般の読者が考え うるものではなく、複眼的に『海カフ』を読む助けにはなる。

  しかし、ずばり、個人的に今年度ワースト
  特に最終章がひどい。著者の個人的歴史観が『海カフ』と異なることを理由に でっちあげて、見事にこきおろしている。

><精神のある人間として呼吸する女たち>が記憶していることなど、忘れても かまわないという許しと、歴史認識が空虚であってもかまわないという許しをす べての読者に与えること、それが『海辺のカフカ』が<癒し>を与える最大の理 由なのです。

  もちろん、以下は僕の個人的意見ではある。
  『海カフ』を読んで<癒し>なんか感じる人がいるのか? そういう世間の物 語を著者が勝手に作って批判しているだけじゃないの? それが単純に著者の歴 史観と異なるからというだけの理由で? 小説って、そんなに浅いか?

  まあ、どういう感想を持とうが、どういう書評を書こうが、著者の自由ではあ る。
  本書が属する平凡社新書には良書が多い(だからかえって本が売れず、無理に 売ろうとしてこういうタイトルになったのは明白だ)だけにガッカリした、とい うのが僕の本音かも。長くてリクツの裏づけが丁寧なだけで、ネットの匿名書評 と同じレベルだろう。アマゾンのベスト100レビュアーくらいのほうが、はるかに 良い書評を短い言葉で書いていると思う。いやいや、学者センセイのご立派なご 意見を拝聴し申し上げて、臣信原はいたく感動しますたですよ、と感想文を締め くくる。圧倒的愚書。


  風呂掃除を楽しんでから夕食。
  メインはタラチリ。前述の鍋を使う。やっぱり6合鍋だと少し大きすぎるかも 。コメの「ネバ」を鍋が吸っているのか、やたらと泡が出てきて困った。タラは 脂のノリがまだ今ひとつかな、というところ。他にシマアジの刺身。これは美味 。

  日本酒は頂き物の残りを。
  富山県の『満寿泉 純米原酒』。原酒はたしか火入れをしない酒だから(ちょ っと知識に自信なし)、めずらしく冷たくして呑む。透き通るがごとき旨味。こ のレベルの酒は高すぎるから自分で買うことはないだろう。4合瓶で2,000円近い と貰った人に聞いている。

  明日から始まる「今週」を終えると休暇の1週間になる。
  もちろん毎日が休暇のようなスケジュールだけど、やはり気分が違う。リズム を崩さないように過ごしていきたい。ゆっくりと、確実にいかないと。これから ワインと一緒に小説を読む。といっても、まだ8時半なんですが・・・。
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