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そーれーでいいのら〜 12月3日


  8時半起床。
  僕の乗った飛行機は胴体着陸で、乗客乗組員53人のうち6人が死亡した。無傷 だったのは僕を含めて2人。着陸現場からの帰宅の足をどうするかと検討してみ たところタクシーしかないようで、その行列に並んだら目が覚めた、という夢だ った。夢とはいえ、どうしてこう自分に都合がいいのだろうか。

  朝風呂ののちに朝食。
  さくさく済ませてヒミツの花園。起きたときこそ雲っていたけれど、9時過ぎ からずっと雨。午前中は南風で意外に暖かかった。

  ごまかしの昼食はパスタ。
  雨なので外に食べにいくのが面倒だったのだ。といっても今日はシッカリと外 出の用事がある。


  手話教室へ。
  久しぶりに普通の授業。先生と生徒だけで聾唖者の同席はないということ。手 話表現の数が増えてきて覚えるのが大変だ(当たり前だ)。

  細かい間違いを指摘されることしきり。
  先生のマネをしてから、日本手話と呼ばれる各自オリジナルの手話に変えてい く。もちろん単語それ自体は知るわけがないから、1つ1つ生徒が質問しながら 個別に練習する。どうやら、このクラスの学習障害者は僕に決まったようで、先 生のチェックが細かい(ように思える)。間違いを気にすると動作が自信なさげ になるので、それでかえって先生の目につくようだ。

  男性の受講者が少ないという。
  先生が担当しているクラスは首都圏の6箇所くらいで開催されていて、男性の 生徒は僕とどこかのおじいさんだけだと言う。

「これがまた、信ちゃんに輪をかけて大変なことになっていて・・・」

  そりゃそうかも知れないけどね、本当にこっちは傷つきます(-_-)
  どんなにけなされても続けるしかないし、そうしなければ何も身につかない。 何かを習うという体験も久しぶりで、それは完全な苦手科目ではあるにせよ、負 けるわけにはいかない。恥ずかしい、つらい、それを乗り越えるまでが辛抱で、 乗り越えられない人がほとんどなのだと知っている。と、この日記では強気に出 てはいるけれど、実際つらいよな(@_@)


  帰りしなにプールに寄る。
  いったん帰宅して荷物を置いてから実家へ。ああそうだ、移動の途中で読書を したのだった。実家に行くまえに以下の感想文をさっと下書き。どうしてこんな に読まねばならないのか、読みたくなるのか、書かねばならないのか、書きたく なるのか。そこに日記があるからだ・・・。

  『天和をつくれ』阿佐田哲也を読了。
  麻雀またはギャンブル短編小説集。
  さすがと言ってよい面白さ。

  名作『麻雀放浪記』で知られる著者が亡くなったのは平成元年の4月10日。
  現在では文庫で入手できなくなった氏の著作を、7冊に分けて発行しようとい う小学館文庫の試みである。著者は本名の色川武大(いろかわ・たけひろ)で純 文学を、この阿佐田哲也(「朝だ、徹夜」のもじりとされる説がある)のペンネ ームでギャンブル小説を書いた。ところが、実際には阿佐田哲也以外のペンネー ムで書かれた作品が数多くあり、その多くが紛失されてしまったようだ。

  僕は阿佐田哲也名義の小説をほぼ全て読んだはずだ。
  「ほぼ」と言うのは、少なくとも角川文庫で出版されたものは全て読んだ、と いう意味だ。最近では上記の『麻雀放浪記』が文春文庫からも再出版されている 。僕が阿佐田哲也の小説を読んだのは中学生から高校生のころなので、あるいは その角川文庫のいくつかはすでに絶版とされているかもしれない。

  本書のシリーズは、「単行本に収められたことがない」または「まだ文庫化さ れていない」または「文庫化されたが入手が困難になった」作品を文庫で復活さ せることを目的にしている。
  すばらしいことである。ご存知のような「本の洪水」時代にあって、読み継が れる価値のある本が絶版になることが多い。まして、上記のように単行本にも収 録されたことのなかった作品は、そのまま人類の歴史から(大げさだが)抹殺さ れてしまう。ここで上記のような「紛失」直前の作品を文庫化することが絶対的 な解決策ではないにせよ、出版社が定期的にこういった試みを持つのは大切なは ずだ。

  それはさておき感想。
  どれも秀逸とまではいえないまでも、それなりのレベルにある。今まで文庫化 されたものより劣ると言えば劣るかもしれないが。短編にも長篇にも違った味の ある作家なので、こうして失われかけた短編小説が復活したこと自体がステキな ことだ。なお、氏の長篇では前述の『麻雀放浪記』が圧倒的名作。個人的には『 ドサ健ばくち地獄』も好きだ。どちらも麻雀の知識ナシで読める本なので、ぜひ ご一読を。


  実家へ。
  朝のうちに作っておいた煮物をタッパーに入れて持参。昨日・一昨日の鶏昆布 煮の残り汁で白菜を炊いた、いわゆる「二度炊き」。どうでもいいようなものだ けど、手ぶらよりはいいだろうし、老人2人には喜ばれるものだろうし、何より 息子が作ったものだし、という判断。

  飲み食いして1時間半ほどしたら、僕の兄弟が珍しく実家に帰ってきた。
  僕が実家に帰るのは6〜8時くらいだし、兄弟は仕事の都合もあってその時間 にいることはほぼない。家族4人で顔をあわせるのは正月くらいのものだけど、 ビンゴ!ということ。もうこの年齢だから、特に確執もなければ仲良しというわ けでもない。僕と彼の二人称は「兄」と「弟」。そのくらいの距離感があるのが 気楽なのだ。


  したたかに酔って帰宅。
  明日から高校3年生は通年最後の授業だね、というワリには締まりのない日記 だったし、1日だった。やはりそれでいいのである。
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