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人生にリセットボタンはない |
4月5日 |
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10時半起床。
・また歯を吐いてしまった。そばには致命的な病をえた誰かがいて、僕は死を待
つだけだ。もうどうすることもできない。せめて彼(患者は男性のようだ)の顔
を覚えておこうと、僕は彼の顔に自分の顔を寄せる。うん、彫琢を取るように彼
の顔は僕の顔になった。さてどんな顔になっただろうかと僕はマンガのページを
めくる。そこには、えもいわれぬ、人間とは思えない顔があった・・・
という夢だった。悪夢収集家としてはなかなかの成果と言えるだろう。この「歯
を吐く」という夢はよくみる、という話題を過去日記に書いたはずだが見当たら
ず。しかし寝坊だな(@_@)
少し時間をつぶしてから、ブラチ、じゃないやブランチは外で取ることに。
あぶないアブナイ。教室で言わないようにしなければ。冗談はともかく、駅の
近くにあるどうでもいい系の喫茶店に挑戦。喫茶店のランチにはときどき、まあ
5%くらいの確率で「なかなか旨いじゃん」というものがある。だいたい95%く
らいは「なんじゃこりゃ」なんだけど。
スパゲッティーとサンドイッチのセット。
サンドイッチ到着。ハムとレタス。パンがパサパサで、味がついているのかど
うも不明。瀕死のアルマジロのエサのような味かする。これはやっちまいました
かね。2重の意味でまずいぞう。
ミートソース到着。
ずぶずぶでドロドロ。下品なケチャップうどんの味がします(-_-;) すごいな
こりゃ。ヤケクソになって粉チーズとタバスコを大量にかけて摂取。人間が食べ
るものなのかどうか、あるいは飢えた哀れなイグアナが食べるのかと考えていたけれど、お店にはけっこうたくさんのお客が入ってくる。いくら土曜日だとしても、もう少し空いていても良さそうなものだが。極力忘れようと念じながらスーパーで買い物。
帰宅してコーヒーを淹れる。
気分直しに読書でも。たまには小説です。
『リセット・ボタン』伊藤たかみを読了。
中編に近い長篇恋愛小説。
著者は売れっ子とまではいかなくても、新刊が出れば平積みにされるくらいの
小説家だったろうか。ああそれってけっこう売れてるのか。
大学生の「僕」が、ネットで知り合った自殺志願者の「ミサ」と恋に落ちると
いうストーリー。
最近の小説らしい軽さというか、読みやすさというか、どっかで読んだ言い回
しが多いというか、薄っぺらだなあという印象。デティールの書き込みが浅くて
(短くするためだとは思う)、展開が速すぎて(あるシーンから別のシーンへの
移動が急でつながりがよくわからない)、伏線が少ない(伏線の意味がわからな
い読者が多いからだろう)。人物の描写が稚拙と言うか量的に少なくて、どうし
て「僕」が「ミサ」に惹かれるのかもよくわからない。
しかしまあ、これでも「やや良い小説」にカテゴライズできるんだろうなとも
思う。
ストーリーは単純でわかりやすいし、展開が速いぶんテンポが良い。僕は小説
をできるだけゆっくり読むようにしているけれど、3時間くらいで読めてしまう
。ストーリーを追うだけなら、速い人で1時間ちょっとだろう。ゴーリキーみた
いに重くて長大では(注:長大なのかな、読んだことないw)、現代の読み手に
はきついだろうし。
やや悪口を書いてしまったが、この作家がヘボだという印象はそれほどない。
どちらかと言えば面白い作家なんじゃないかな。たまたま本書が僕の趣味に合
わなかったというだけで、もう少しこの人の小説を読んでみたいなと思ったのも
確かだ。
ここ10年くらいの現代小説は、どれを読んでも同じような感想になる。
おおこれはすごい! というのではなくて、まあ悪くはないかなというレベル
が多い。それは少しも悪いことではなくて、小説の読み手として僕が練れてきた
と言えるし、おっさんになってきたとも言えるだろう。いつの時代だって、
文学は新しくなっていくはず
だと期待している。本書のオススメ度は「良かったら立ち読みパラリでもどうぞ
」くらいです。
と感想を書き終えて思ったのは、忙しい生活だと小説なんか読めないな、とい
うこと。
今は1日2コマだからそのくらいの余裕もあるけれど、普通の勤め人のように
1日に9時間も10時間も拘束されていたら、とてもじゃないけど小説に向かう気
分にはなれないだろう。時間はあっても、ゆとりの時間がないと難しいというこ
とだ。だから、上記のように軽い小説のほうが評判がいいのかもしれない。
2回目の昼食はご飯を炊いてカレーライス。
一昨日くらいにも食べたような気がするけどいいや。『銀座カリー』チキン(
中辛)。やっぱ辛口じゃないと美味しくないなぁと出勤。今日で12日間にわたっ
た講習もラスト。
2年生のまとめ。
基本的に空気が硬かったことをのぞけば、まずまずではないか。きちんと予習
する習慣をつけていただくために、かなり指名の頻度を増やした。良くも悪くも、ちょっと気が抜けないなと思ってもらえただろう。3段階の最上位であるHクラスなので、来年度(2009年度)のことを考えながら運営することになりそう。
授業の最後に、具体的な目標達成レベルを示した。
ここではその内容は書かない。あの時点でここまで上げていくということを示
した。それよりも志望大学が上になると、Hクラスを超えてPクラス(市川校で
はウイングネットのみになるが)に入る必要がある、なんていう話題も。2年生
でHクラスにいれば
早慶が最低レベル
の目標であるだろうし、それ以上を考えることもあるだろう。その目標を見ながら行動するか、ただHクラスにとどまるだけが目標になるかは生徒様次第だろう。どこのクラスにいるかではなく、そこで何をしているかが問題だ。人生と同じですね。
授業後に、講習生♀が挨拶に来た。
「4月からは××に行きます・・・」
訊けば、市進と××(某大手予備校)をテンビンにかけていたとか。とりあえず
春期講習は市進で受けてみて、××に手続きをした、ということ。
敗北。
信原の敗北。
市進の敗北。
信原の授業の敗北。
ちくしょう!
とは全く思わない(^^ゞ
このように、他の予備校に行くことを決めた生徒様が挨拶に来ることはめった
にない。僕も一応はこの業界で15年目になるけれど、今まで3回あったかどうか
。普通は「もう関係ない」で何も言わないで去っていくものだと思われる。縁が
なかったということだし、それは結果なのでどうしようもない。
しかし彼女の場合。
たぶん、少しの未練はあるのだ。いくつかの教科で受講して、ある教科の内容で判断したとのこと。受験生自身の判断だから未熟で不見識なものであることはありがちだが、
自分で予備校を選ぶ
という視点があるのは非常に良いことである。予備校を決めるにはいくつもの要
件があるけれど(授業・テキスト・スタッフ・友人などの人間関係・通学の便利
さ・トイレの清潔度などなど)、自分にとって100%の予備校は、まずない。いくつかを比較して、
相対的に良いだろうと思ったほうに通うものだ。
すばらしいのは、自分で判断したことだ。
親が行けというからではなくて、自分が行きたいから自分で選んできて、親に
学費の無心をはたらく、これこそ昨今の教育が目指した(とされている)「自分
らしさ」ではないか。自己主張教育が盛んなわりに、自分なりの判断を示さない
(示せない?)生徒様は多いかと思う。自己主張と自己判断はかなり違う。
もちろん、市進を選んでくれなかったのは残念なことだ。
それでも挨拶に来るというのは、彼女なりの「関係を切りたくはないです」と
いう気持ちの示し方だ。僕は
「そうか、それは縁がなくて残念だった、講習や体験授業とかあるから、そうい
う機会でまた会いましょう。俺、ザル頭だから忘れちゃうかもしれないけど、で
きるだけちゃんと覚えておくね、○○○○さん」
と答えておいた。フルネームを最後に呼ぶのが大切なところだ。偉そうなことを
書くと(いつもだなw)、人間関係とはつまるところ名前と顔の認知である。
よく日記で引用する歌がある。
『夢の途中』だ。今日も失礼してコッソリ(本当は良くないのだが)。
♪さよならは別れの言葉じゃなくて
ふたたび逢うまでの遠い約束
あるいは、ビートルズの『ハローグッドバイ』。
歌詞はウロ覚えだけど・・・。
♪I don't know why you say good-bye, I say hello!
(ぼくはこんにちはって言ってるのに、どうして君はサヨナラって言うの?)
きっと、彼女はいつか戻ってくるだろう。
通わないと決めた予備校の講師に、ちゃんと挨拶ができるってすごいことだよ
。ま、戻ってこなくても勉強頑張ってね、とここでエールを送ってもしょうがな
いか・・・。
帰宅。
夕飯のメインは、ゼイタクして天然のヒラメ刺。珍しく通常遣いのスーパーで売っていて、無事に旨かった。春期講習のささやかな打ち上げ。おいしい肴でおいしいお酒。
春期は終わった。
基本的にうまくいったと思う。受講してくれた講習生で入学(市進では入会と言うけど)してもらえなかったのは、先の彼女だけだった。どのクラスも流れを作れた感覚がある。きっと未来は良くなるだろう、少なくとも今よりは。リセットではなく、必要なのは再出発のはずだ。
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