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想像したまえ 5月21日


  9時8分起床。
  台所のシンクの汚れがとれないという夢を堪能していて寝過ごしてしまった。 せっかく7時半にいったん起きて二度寝してタイミングを計って起きるつもりだ ったのに。

  将棋の名人戦をTV観戦するため。
  羽生挑戦者2勝、森内名人1勝でむかえた第4局。タイトル戦には珍しく、序 盤から激しい力戦将棋になっている。力戦(りきせん)というのは定跡が整備さ れていない戦いで、研究の進歩が強烈に早くなった最近では珍しくなった。とく に

タイトル戦は序盤と中盤が非常に慎重に指される

から、序盤から前例のない将棋は珍しいのだ。

  2日目は森内名人の封じ手からスタート。
  まだ32手目。対する羽生が50分考えて1手指しただけでTV中継は終わった。 いつもなら午後4時からの放送をチラッと見てから出勤できるのだが、昨日と今 日は相撲中継があるために観られない。仕事を終えて帰宅してから見ることにな る。


  午前中は読書。

  『ご臨終メディア』森達也・森巣博を読了。
  ドキュメンタリー作家と小説家による対談集。
  タイトルの通り現状のメディアを批判する内容である一方、副題に「質問しな いマスコミと一人で考えない日本人」あるようにメディアの受け取り手をも批判 している。

  毀誉褒貶(きよほうへん=賛否両論に近い意味)のある本かと思われる。
  良い悪いはそれこそ読み手によって様々だろうし、どちらの意見も出るのはそ れだけ内容がしっかりしているということだ。正直に言えば僕の脳みそではよく わからないところもあったし、理解なり共感なりを得た部分もあった。森の発言 から。

>メディアにおけるリアリティは、本物ではなく、本物らしいということです。 これは決して皮肉ではなく、受け取る側の感応力が重要なんです。だからこそ、 メディアが発達することで、リアリティは増大せずに逆に消失するんです。(中 略)メディアがリアルタイムに、わかりやすく情報量が増大する過程と並行して 、受容する側の想像力が消えていくんです。

  メディアに関する本はあまり読まない。
  それでもこうしてときどきこの種のメディア本を読む動機がある。人の、たと えば僕のでもいいけれど、存在はほとんど全てメディアなのではないか、という 感じ方があるためだ。直接体験するよりも間接体験する事象のほうがあまりにも 多いのではないか、という考え方かもしれない。

  こっち方面に行くと感想文から離れすぎるのでまたそのうち。
  まとめとしては、メディアに対する懐疑や疑問を感じている人には一読の価値 がある本かと思われる。「きのうTVでやってたんだけど」なんていう日常会話 を楽しんでいるような的階級は読んでも無意味。おっとすごい毒が(^^ゞ


  というわけでそっち方面のエッセイを書き始めたが、まとまらず。
  アイマイにわかっていることは言語化できないのだなあと改めて実感。話し言 葉の場合は、何となくで説明していっても相手に意図が通じるけれど、書き言葉 ではそうもいかない。常に論理的である必要はないにしても、自分の考えている ことが半分も書けていないと、

「まあつまり俺ってわかってないんだな」

と自覚できる。書き言葉の効用の1つではないかと。


  お昼過ぎに外出。
  スーツを初めてのクリーニング店に出そうとしたら、「1時半まで昼休み」な どいう掲示が(-.-)

のどかというか、サービス業の意識がないというか。

  スーツを抱えたまま定食屋さん。
  この店はまだ2回目。非常に旨い店だが自転車で家から5分くらいあるため。 牛肉と野菜のソテー定食を食べる。牛は和牛ではなかったが全体にうまい。ビッ クリしたのは小松菜のおひたしだった。僕は青菜が大嫌いなのに、出し汁が絶妙 な味のバランスでペロリ食べてしまった。

副菜が旨いというのは良い店の条件だ。

見習おう。スーツは別の店に出すことになった。


  帰宅して午後はいろいろやって過ごす。
  ヒミツの花園やプールなど。今日も好天気。しかし風が強い。えろえろ省略し て、仕事です。


  出席率ダウン。
  学校の中間テストの時期というところでしょうか。推薦入試で合格するのが5 割近い時代なので、とくに含むところはない。じっさいに授業でも、

「指定校推薦などで受かる方法があるなら、そっちを選んだほうがオススメだ。 MARCHレベルだと、一般で受けるよりはるかに推薦のほうが受かるからね。 いやまあ、Cクラスだとなかなかそのあたりには受からないというのが実情だけ ど」

と言っておいた。効率を考えてのことである。中堅レベルから、上位中堅という あたりの大学だと、明らかに推薦で受かるほうがラクなのだ。


  他意はない。
  大学入試なんて受かったらそれで勝ちなのだ。その手段が何であれ、そんなこ とは問題にならない。結果が全て、それが世の中というものだ。人生そのものは そうではないだろうが、そんなことはビジネスだから関係ない。大学入試は、た とえば

10年前くらいに比べれば偏差値の価値が10くらい下がった

と言ってもよいけれど、幸いなことに今は10年後だから問題ない。偏差値50前半 の生徒様をMARCHレベルに受からせることがどれほど難しいことか。生徒様 本人も頑張っているのだけど、そこに届かない例がどれほど多いことか。ただし 。

推薦獲得に失敗すれば一般入試もボロボロというのは基本。

  これだけは伝えておきたい。
  そりゃそうだ、学校の試験のために予備校の授業をサボったんだもの、そのあ との予備校の授業の価値が下がるのは当然だ。ちょっとだけわからない、それが 積もりに積もって、

気がつけば第5志望に進学の春、 次回、涙

というリスクは当然高くなる。チャンスをつかみに行くことはリスクを増大させ ることで、当たり前のことだ。

  こういう考え方は、いつも日記に書いている。
  最近のオトナは、どうしてこういうことを次代に継承しようとしないのかな、 と不思議に思っている。自身の挫折体験を伝えたくないという、サザン世代(僕 の個人的造語:1960年前後生まれ)の無意識のトラウマだろうか。成功体験より も、挫折体験のほうが伝達価値が高いと個人的には思うが、まあ、自由だろうか 。


  夕飯。
  サーモン刺身、豚バラのシャブシャブ(温でも冷でもなく、ゆでたまま皿に盛 り水菜とキャベツをあわせる)、冷奴の薬味はミョウガの千切り(あと1ヶ月で 旬だろうか)。いつものような、地味で美味しくてでも地味な料理。食後、将棋の結果を待ちながら、ウイスキーを呑んでいる。
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