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渡辺竜王に挑戦!!(実話) |
5月23日 |
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7時覚醒。
まだ7時間チョイしか眠っていない。少しずつ睡眠不足を貯蓄している日々だ
から、休日くらいもっと眠りたい。そうしないと過労死が待っているかもしれな
い。トイレを済ませて水を飲み、寝床に戻る。幸いなことに2度寝に成功して、
8時40分に床を払う。合計で8時間以上の睡眠になった、大丈夫だろう。
雨の中、午前中から外出。
目的は将棋を指すこと。渡辺明竜王の師匠である所司七段が開催する「渡辺明
竜王位六連覇&A級昇級記念将棋大会」に参加するため。正確には大会には参加
せず、
渡辺明竜王に指導対局をしていただく
のが狙い。指導対局とは格上の人が格下の人と指すことで、将棋を指すことに変
わりはない。しかし、これが紆余曲折だった。
・大会に参加せずに指導対局だけは可能なのか?
・竜王と指すには予約が必要なのか?
・その予約はどうやって取るのか?
これらの問題点が不明のまま出向くことになった。
イキサツを簡単に。
告知があったのは「所司七段ブログ」で、最終的な告知エントリーは5月22日
ぶん。僕の親友S君がメールで問い合わせてくれたのだけど、明確な回答が帰っ
てこない。上記エントリーを読んでもわかるように、
詳細がまったくわからない告知
なのである。主催者からのメールには「所司先生にご希望をお伝えしておきます
ので」と書いてあるだけで、アポイントメントが取れたのかどうか、具体的に何
時にどこに行けば良いのかが書かれていない。
僕もS君にメール(3往復ぶん)を見せてもらい、この1週間協議した。
出た結論は、失礼ながら、
>こいつらバカだからどうしようもないわ
であった(僕の発言)。上記エントリーには基本的なリテラシーが欠落している
し、あるいはひょっとして細かいところが決まっていないのかもしれない。行っ
てみて出たとこ勝負、という取り決めになった。
というわけで、現場へ。
僕とS君はJR千葉駅近くで昼食を済ませ、タクシーで『ホテルグリーンタワ
ー千葉』(京成千葉中央駅から徒歩8分だが)へ。いつだったかここには来たこ
とがあるけれど、いつだったか何の用事だったか思い出せない(女の子がからん
でいるような気もするが、実に忘れてしまった)。
会場は大会のお昼休みの最中。
受付のようなものは存在せず、人ごみをかきわけて一応の「指導対局受付」を
発見する。といっても、
カレンダーの裏紙にそう書いてある
だけだ。おいおい、すいぶんショボイな。立っていたオバサンに状況を質問する
。要旨。
>竜王希望だと2,000円。基本的に1局だけ。いや、場合によっては2局可能かも
。竜王が来る時間? 遠いんで、1時か1時半(どっちだよ)。そのときになっ
たら呼ぶから待ってろ。あんたらは2番目と3番目。
僕とS君は憤慨するが、待つしかない。
手書きの受付用紙のようなものを貰って、会場の21階からロビー階に下りて協
議。
僕「2番目とか3番目ってどこでわかるんだろう?」
S 「オレの番号は12番目になってるぞ」
僕「俺のは13番目だな」
S 「竜王が最初の1ってことなのかな」
僕「メモは取ってたけど・・・」
S 「あのオバサンに2,000円ガメられたんと違うか」
僕「領収書もらわなくて良かったのかなあ」
S 「この紙切れ1枚が証拠か」
僕「竜王、本当に来るのかねぇ」
S 「(所司)師匠の手前があるから来るんじゃないの」
僕「遠いから到着時間が読めないってすごいな」
S 「竜王ってどこに住んでるんだっけ」
僕「中央線か京王線か、あっちのほうだったと思うが」
S 「前は東京の東寄りじゃなかった?」
僕「ケコーンする前は江東区だったような」
S 「で、作戦は考えてあるの?」
僕「あるわけないだろ」
S 「俺は2歩突っ切りか銀多伝定跡で」
僕「本気で勝つつもりなのか」
S 「できれば勝ちたいだろ」
僕「作戦とか、読者がついてこれない話やめようよ」
S 「じゃあそろそろ行くか、日記的にも」
僕「おい、緊張してきたな!」
無事に対局できた。
3面差し(竜王1人と一般人3人が同時に指す)で、僕が2番目・S君が3番
目。緊張するのなんのって、ナマ竜王だぞ目の前にいるのは。まさに
棋界最高峰のお方が盤の向こう側に座っている
のである。名刺を渡すつもりだったがタイミングを逸した。畏まる、という表現
がこれほど似合う局面も他にない。手は震えていないが。
もちろんコマ落ちである。
S君はアマ2段なので2枚(飛角)落ち。僕はアマ6級と思われるので6枚(
飛角桂桂香香)落ちを希望していた。しかし受付ではその申告をするチャンスが
なかった。すると、コマを並べ終わったあとに(この瞬間がいちばん緊張した)
恐れ多くも竜王みずから何枚落ちにしますかとご質問なさる。
6級 「お、おおそれながら、6枚落ちで」
竜王「え、マジ? プロと指した経験は?」
6級 「あの、じ、人生で初めてなんですが、ろ、ろ、ろ、ろっきゅうくらいで」
竜王「え、何ですか?」
6級 「ろ、ろ、6級くらいなんで、6枚落ちでお願い申し上げたく」
竜王「あ、そうですか」
大熱戦になった。
右隣のS君は1時間10分くらい、左隣の誰か(飛車落ち)は1時間20分くらい
。どちらも竜王の勝ち。真ん中の6級(僕です)はネチネチと粘って、1時間40分くらい。最初の20分くらいは緊張がほぐれなかったけれど、ノビノビと指すことができた。結果は、3手差のやや大差で竜王の勝ち。最後は3手詰みの局面で僕が投了した。
竜王はTVで観るのと同じで、とても気さくだった。
指導対局は終わったあとに感想戦をおこない、上手(うわて=ここでは竜王)
が「こう指したらよかったですね」と教えてくれる。僕のセリフを省略すると、
ざっとこんな感じ。
竜王「5八に歩を垂らしたのがぬるかったですね。6八銀と下がって下手(ここ
では僕)が面倒にしちゃった感じです。それなら一気に8七成香と入って寄せ合
いに出れば勝負でした。こっちはずっと6五の桂馬が動かせないから、5三歩か
2二角で催促されたらどうしようもなかったです。なんだ、かなり指せるじゃな
いですか、6枚落ちじゃあ僕がきついですよ」
6枚落ちじゃあ僕がきついですよ。
ありがとうございます、竜王(*^_^*)
サービストークでしょうけど、本当に嬉しかったです。対局姿も悠然としてい
るし、6級を見くびったような指し手もなし(あっても気づかないけどな、俺w
)、僕の長考にもまったくイヤな顔をせず、最後までしっかり指してくれました
。ほぼ毎日更新のブログでもわかるように、ファンサービス精神にあふれた先生
なんですね。改めて感謝です。
将棋の感想を少しだけ。
当たり前だが、鬼のように強い。コマとコマの連動がなかなか崩れず、何をど
うしても破らせて(破る=成りコマを作る)もらえない。かなり僕が良いと思え
る局面もあったが、
成香を1段引かせる最下段の歩打ち
など、手筋も満載。コマの運びに無駄が一切なく、プロってこんなレベルで指し
ているのかと何度も愕然とした。時間制限ナシとはいえ、好勝負をさせてもらえ
て嬉しかった。
夕方に帰宅の途につく。
S君の説明によれば、プロだと3面差しでも指導する(局面をある時点まで戻
す)のは簡単なことらしい。他のプロの対局もいくつか観戦したが、おおむねプ
ロが9勝1敗くらいの内容だった。さすがに6枚落ちは僕くらいだったかも。
夕飯の話なんかどうでもいいじゃないか。
渡辺先生、今日はありがとうございました。今年は名人挑戦なるかどうかが将
棋界最大の見どころで、
羽生名人VS渡辺竜王の名人戦
を誰もが楽しみにしています。やさしくて強い、竜王に感謝。楽しかった。
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