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防犯とは防ぐことなのか? 3月21日
  僕は4年前まで駅から徒歩16分のアパートに住んでいた。駅まで歩いていけないわけじゃない。でももちろんチャリユーザーだった。いいよね、自転車。スピードが出ないのに世界が広がる。

  1台目は半年足らずで盗まれた。本体ではなく部品が盗まれた。盗まれたものはサドルである。サドルってわかりますか? そうです、自転車についている(というのか)椅子である。ある日の夜にさて帰るかなと愛車を探したらサドルがない。
  サドルがない自転車。ちょっと想像してみてください。かつてそこにあったお尻の安住の地には、いまや直径3センチばかりの鉄の棒が空に向かって屹立している。お尻の立場はどうなるのだろうか。盗んだ男(女かもしれない)はそれをいったい何に使おうとしたのだろう。自転車サドルフェチのコレクションに加わった可能性は否定できないが、その可能性の低さは誰もが肯定するだろう。その愛車は廃棄という名を借りた放置自転車になり、数ヵ月後に姿を消した(換言すれば、なくなるまでその姿を確認し続けた)。

  2台目を購入した。2万円くらいしたと思う。500円くらいで防犯登録もする。役に立つわけないけど。立てばいいけど。
  しっかり役に立った。ある日2号は姿を消したのだ。たぶん市役所が撤去したと思われるので電話してみる。防犯登録してあるから、その番号が自転車についている。もちろん役所はそういうものをシッカリ調べるから、撤去したならその数字から割り出せるはずだ。ところがその2号は撤去していないという。
  「あああー、その自転車はお預かりしていません」
  「(撤去ってお預かりなのかよ)そうですか、つまり盗難されたということですね」
  「そうなりますかねえ。とにかくうちにはありません」
  「わかりました。録音しますのであなたの名前を教えてください・・・」
  僕は言質(後日の証拠となる言葉のこと)をとったわけだ。そして僕は交番に行き、2号の盗難届けを出した。見つかるわけないけど、せっかく500円払ったんだし、一応。

  半年ほど過ぎて、電話がかかってきた。なんと警察署からである。
  「あああー、あなたの自転車が署にあるのですが」
  「なんすかそりゃ」
  「ええー、持ち主不明ってことで××市から送られてきたんです」
  僕はその警察署にいって、印鑑を押してそれを取り返してきた。もちろん撤去ではないから金はかからない。もちろん、警察署にも何の責任もない。言い換えれば、××市は撤去したものを放置し、取りに来ないから警察に横流ししたわけである。正論は通らないって知ってるけどさ・・・。

  その後半年して、僕の2号はどこかに消えた。僕はそれ以来、自転車を所有しない。
  と締めくくったら、この2月に新しいチャリを買ってしまった。るんるん。
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