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Oh, my beer! 4月11日
  たぶん小学生のころだろう。父親が飲むビールを分けてもらった。苦かった。大人ってヘンなものを飲むんだなあ。
  今から20年以上前のことだから、ビールはそれなりに高級なお酒の一つだったのだろう。僕がバイトを始めた16歳のころ、大瓶1本が310円だった(今は340円くらいだろうか)。でも小学生時代には、ビンビール専用の蓋があったくらいだ。つまり、667MLを飲み残し、それを明日に備える時代だったんだね。バブル経済時代じゃないから、「炭酸が抜けてどうのこうの」などという人はいなかったんだろう。美味しくて貴重なお酒だったんだ。
  今ではおおむね1日に700MLから1L飲むようになった。一時期は2L近いときもあった(さすがに30を過ぎてからはそういうことはしない)。ビールを1滴も口にしなったのは・・・3年くらい前のような。

  僕がこのようにビールを愛してしまった責任は、僕が愛するエッセイストたちにある。椎名誠がキッカケを作り、東海林さだおが地位を固め、村上春樹が確立した。10代前半に椎名を読み、中盤でさだおを読み、後半で春樹を読んだからたぶん間違いない。椎名誠のビールには、海の香りがした・・・というのは気障かもしれないが、海に行ったぞ! ビール飲んだぞ! プハッー、うまい!!ということである。東海林さだおはオヤジのビールであり、薄汚れた町の居酒屋のビールだ。ングングングング(擬音だと思う)、プハッー!と串カツと一緒に味わうビールである。村上春樹は街と海のビールだ。想った女性を、あるいは過ぎていく青春を考えるビールだ。そこに音はない。

  実家で恒常的にビールを飲んだのは、やはり大学に入ってからだと思う。煙草に比べればお酒は健全だ。もちろん大学生のときは「半分は居候だよな」という気分があったから遠慮して飲んでいたとは思うけど、大学を出て社会に出て2年間は毎日飲んでいたと思う。
  一人暮らしをしてからは、もちろん毎日飲んだ。アパートから歩いて2分のところにお酒のディスカウントストアがあったので、頑張ってビンビールを毎日のように買いに行っていた。空びんを一本5円で引き取ってくれるのもいいじゃない? ビンビールの怪しい茶色。蓋を開ける恍惚の瞬間。僕は一人でその楽しみをむさぼった。

  大量に飲む酒ではないし、それで酔う酒でもない。僕自身も暑い夏の授業後ですら2リットルも飲まない。税金もカロリーも高い。痛風という病気になれば、その摂取を厳禁される危険な酒だ。でも僕はきっとビールを愛し続けるだろう。仕事が終わって、緊張がほぐれる瞬間の素敵な泡。

  「とりあえず(何よりも先に)、ビール!」
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