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ある予備校のあるクラスでアンケートを取った。アンケートといっても、単純に「はいて、手をあげてねー」というだけのものだ。
生徒は30人くらいいただろうか。僕は授業に関係のない雑談は全くしない主義だ。その授業は長文を扱うものだったのだが、その内容は「よく人に読まれる良書について」だった。本や小説を扱う長文って難しい。なんでかというと、最近の若者は我々30代のおっさんたちに輪をかけて本を読まないからだ。文法や語彙の問題でもそうなんだけど、特に長文はその受験生にとってなじみのない話題だと難しくなる。しょうがないよね。そういう意味でも「知性」を試す必要が受験問題にはある(善悪はともかくね)。
「いわゆる名作は多くの人にとってなじみにくい。なぜなら、名作はその素敵な部分をページの奥のほうに隠しているのだ。古典的な名作は、その冒頭で(当時の)読者を楽しませるために背景についての長い描写がある」
というパラグラフ(段落)があった。僕はここで毎年のように『罪と罰』の話をするのだが(もちろん読んだことはない)、それもちょっとあんまりに古いというかわかりにくい話だと思ったので、その授業では最近の本に話題を振ることにした。相手が知らないのをいいことに、自分が知っているかのように話すのは簡単だ。それは予備校講師という悪行を勤めるにあたって大切なことだ。しかし相手が知っていて自分が知らないことを話すのは難しい。ある程度は生徒の目線にたって話をする必要がある。言い換えれば、ちゃんと受験生的な視点を前もって入れておかなければならない。
去年のベストセラーは、『バカの壁』と『世界の中心で、愛を叫ぶ』である。もちろん売れた理由は『ハリポタ』が発売されなかったことであろう。僕は両方とも読んだ。前者はまあまあだったが内容は忘れてしまった。後者は会話のリズムがよく、なかなかに感動したが内容は忘れてしまった。じゃ、そのあたりを使って説明を続けようか、と思ったわけだ。
『バカ』を読んだ人、手を上げて・・・。
ゼロ。まあそうだろうな。247万部とか言ってたけど、全国民の5%。高校生が進んで読むわけないしね。
『世界』を読んだ人、手を上げて・・・。
ゼロ。100万部突破だよね? 10代の若者が読まなければ誰が読むのだ??
やっぱり木更津キャッツアイで映画の話にすり替えるべきだった。
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