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悪食の結末 6月10日
  悪食(あくじき)とは世間の人々が基本的には食べないものを食べることだ。広辞苑によれば「常識上食用としないものを食うこと」となる。ヌイグルミや援助交際や甲子園球場を食べるということではなく、毛虫とかコウモリとかバッタとかそういうのを食べることだ。
  しかしコウモリは中華料理でよくあるらしいし、バッタは日本でも甘露煮にして食べることがある。沖縄では「ブタは鳴き声以外は食べる」という表現がある。つまり悪食とはその個人の常識を超えるものを食べることなのだ。たとえばエスキモー(これって差別表現らしいですね)はアザラシの生肉を食べる。生肉どころか生の内臓も食べる。モンゴルのひとは羊の小腸の内臓物(ええと、つまりアレですね)でも食べる。彼らにとっては常識だから悪食ではないだろう。ある文化が別の文化をさげすむ視線かもしれない。


  僕は非常に保守的なので基本的に「悪食」はしない。でも少し興味があるので試してみることがある。まず最初はドジョウだ。
  ドジョウはウナギのようなものである。夏が旬。東京ではいくつか食べさせてくれる店があるし、夏になるとスーパーでも売っている。割に初心者向けの悪食である。「柳川鍋」などはチェーン系の居酒屋にもあるだろう。まああれはブタなどの別の肉で代用しているけどね。
  浅草と渋谷にある「浅草どぜう」はドジョウを食わせる有名店であろう。甘めのだし汁で煮てネギをたくさんかけて食べる。とてもおいしい。20匹くらい入った「マル鍋」で1000円ちょっと。呑みながら食べて1万円もかかることはほとんどない。ちょっと贅沢しようかというノリで楽しめる初歩の悪食であろう。

  スッポン。ああワイセツと思った貴女は、あなたがワイセツなのである。
  これはちょっとした料理屋に行けば食べられる。コラーゲンたっぷりで、かつ味は上品で非常にオススメする悪食である。不気味な面は否定できないが(だって亀だぜカメ)、鍋にする食材としては相当に優れているのではないか。僕はなぜか女性としか行ったことがないが、誰もが美味しいと言ってくれた。
  骨の周りにくっついているゼラチンが美味しく、肉もまたさっぱりしていてコクがある。雑炊もダシがずば抜けてうまい。意外なことにアクがなく(これは下ごしらえのおかげだと思うが)、まさに男女2人で食うのは最適だ。食後にすごいことになる。詳細は爽やか系の僕には説明できない。あえて挑戦すれば「若返る」「モリモリ」などのキーワードが頭に浮かぶが、やはり語るのは難しいようだ。

  最後に・・・。これは危険だ。この店は市川市本八幡にあったのだが、今はなくなった。まあこの広い世界ではどこかにあるだろうが、この食材を試せる店を見つけるのは難しいのではないか。もう少し正確に言うと、試せる度胸が先進国日本国民である君にあるだろうか。

  僕はたまたま大学時代の友人とそこに行った。男2人の約束だったので、ちょっと試してみようじゃないかとその店に決めていたのだ。しかし、その友人はできたばかりの彼女を連れてきた。目の大きい美人だ。ややややややや。き、聞いてないっす。
  繰り返すが僕は保守的なので、その店を変更するつもりはない。あくまで友人が勝手に女性を連れてきたのであって、それは僕のスケジューリングとは無関係だ。構わない。勝負だ。その店に行く。
  もちろんその店には普通の焼き鳥もある。サラダもある。しかしあまり清潔な店ではない。だからといって、その扱う食材のために安い店ではない。決して混雑はしない。
  僕は友人に彼女ができたことを祝福しながら楽しく飲む。僕は人見知りがひどいのだが、それなりに話は弾む。それ自体はOKだ。素晴らしいじゃないか。この店にしなければ良かったけど・・・。

  その店のメインは刺身だった。生で食べるのだ。え? 刺身だから当たり前だろうって? そりゃそうだ。それがブタのキン×マでなければ。

  その1年半後、彼らは結婚した。今ではお嬢さんが二人。
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