予備校講師でわるかったな!





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予備校講師の実情その4 6月15日
  スケジュール管理シリーズの第1弾は、収入方面から考えてみたい。

  予備校講師の生活が大変なのはリズムが一定しないことにある。看護婦やコンビニの店員など24時間営業が基本のような特殊な仕事は別にして、基本的には少なくとも始業時間が毎日一定している。職種により多少の差はあると思うが、普通の社会人(特に会社人)は同じ時間帯で週に5日働くものだ。9時に出社して5時に退社する(現実には残業をするに決まっているけど)。そんな一日が5回繰り返されれば週末が来る。つまり毎日をそれなりにリズミカルにおくることができるのだ。ところが我々のような最低労働階級にある人々=予備校講師はそうもいかない。

  スケジュールは授業を軸として決める。収入の大部分を圧倒的に占めるのは授業であるからだ。ただ、その決定方法や細かいシステムが世間一般の社会人とは全く異なる。
  予備校とはまあつまり学校に似ているものなので、自分が学生時代の時間割を思い出してもらいたい(現在高校生の人は思い出すまでもないだろうが)。

「水曜日は5時間目で終わりだけど、火曜と金曜は6時間目まであるんだよなあ。でも土曜日は3時間だからいいかな」

というたぐいのアレである。我々予備校講師という下賎の民は、これを半分自分の意思で、半分他人の意思で決めるのだ。

  まず最初に予備校から「出講伺い」という空白の時間割表が送られてくる。ここに自分が出講したい時限にマルをつけ、提出する。僕の場合なら、火水金土曜を市進フリーの曜日にして、月曜を城南フリーの日にするわけだ。しかしここで重大にして深刻な問題がある。

  希望したようにコマ(=授業)が入るかどうかはわからない

のである。生徒の募集状況にもよるし、その講師が予備校にどの程度評価されているかによっても変わる。しかしこれは当然のことながら、我々下民=予備校講師にとっては非常に厄介なことでもある。何しろ通年で担当するクラスから得る収入が1年間の収入の根幹をなすのであるから、自分が必要な収入を得られなくなる可能性があるのだ。単純化して例をあげれば、

1コマにつき1000円の「時給」なので、1週間に20コマ担当して月収を8万円にしたい

  と皮算用をするとしよう。予備校Aに8コマ希望、予備校Bに12コマ希望で伺い書を提出する。数ヵ月後に担当クラス決定通知(依頼書)が来てみたら、前者が6コマ、後者が10コマであった。この時点で月収にして1万6千円、つまり年間にして20万円ほどの「減収」が確定してしまうのである。
  一般的な社会では「労働時間が少ないならラクでいいじゃん」となるのだが、我々下僕の民=予備校講師の場合はそのあとに「けど、収入もしっかり減って困るっす」となるのだ。

  もちろん自分が希望したようにコマをもらえる場合もある。その講師が「勝ち組」であればそれはほぼ間違いない。そうなれば自分でスケジュールを決められるわけだから、非常においしい話である。しかし、美味しい話にはワナがあり、美しいバラにはトゲがあり、美人は性格が悪いことが多いように、「勝ち組」の講師もいつかは「負け組」になる。そう、スケジュールは毎年決めなおすものであり、予備校講師=人生の敗残者(だんだんひどくなっていくな)に対する評価は毎年変わるものなのだ。
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