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晴れのちマジ切れ 6月17日
  6月17日の市進市川校Dクラスの2コマ目は長文の授業だった。1問目は10行足らず長文で和訳問題が2つ。2問目は内容一致問題と和訳問題など、いわゆる総合問題である。
  和訳問題の場合の手順はキッチリ決めてある。

1、単語の意味を含めて細かい構造分析をする
2、実際に和訳にする場合の日本語の「こなし方」を説明する
3、解答となる和訳を3回読み上げる

  1が授業の中心部分だ。その英文の構造を紹介するのではない。なぜその構造把握の方法を用いたのか、しつこく説明する。あとになって似ている形・同じ形・違う形になった場合にどう対処するのかを教え込むわけだ。和訳に限らないが、今回教えたことを次の予習でどうやって活かすかが全ての目標になっている。だからどれほど簡単な内容でもここに時間をかける。ただ単に訳があっていればそれでいい、ではお金を貰う意味がないのだ。
  2は現実的な対処の説明だ。内容はわかっても書き言葉の日本語に直しにくい部分はある。簡単な例をあげれば、wantは「したい」ではなく「したいと考える」とするだけでスッキリした書き言葉になる。実際に和訳を書かなければ点数はもらえない。頭の中でわかっています、これは筆記試験である大学入試では何の役にも立たないからだ。
  3は授業中に予習の解答を直してもらうためだ。時間が惜しいという考え方もあるが、わかった瞬間に直しを入れていくほうが長い目で見て効率がいいからだ。僕が言う日本語を基準にしてもいいし、予備校の解答(生徒はそれを見ながら受講している)を基準にしてもいいし、たった今理解した自分の頭の中の「和訳」を基準にしてもいい。実際に直す瞬間に少しずつ実力がつくはずだ。

  直しを入れない生徒が目に付く。予習で正解がスパッと出るレベルの問題ではない。1問目の長文が終わり、2問目の設問概観にうつる。僕は内容一致問題に言及しているときに語気を強める。

「例によって予習では全ての選択肢にリーズニング、つまり一致の場合は本文の該当箇所、不一致の場合は選択肢のどこが本文のどことどう違うか? それを書いてきてあるはずだ。和訳問題で直しを入れない、つまり余裕で正解が出ている生徒には簡単な問題だろう。従って長文を読み終わったあとで解説をしてもらう。つまり、前の問題で和訳を直していなかった生徒を指名させていただく。力を見せてもらおうか・・・」

  教室の空気が固まる。本文2行目、また和訳問題だ。手順3に入ったとき、僕は座席表を手に取り直しを入れない生徒をチェックしようとする。すると、さっきまで直していなかった生徒が必死で和訳をノートに書いている。

  息を吸い、毒を吐く。
「なんだ、指名されるのが怖いから書くのか。受かりたいから、力をつけたいから書くんじゃないのか。クズめ。何のために教室に来てるんだ? 和訳は先に配っているだろうが。それを持ってさっさと帰ればいいだろう。こんな馬鹿な生徒に俺はアンケートなんかで評価されるのか。とても愉快だ。あ、真面目にやっている9割の皆さん、ごめんね」

  激怒モードで授業を進め、2分ほど延長する。
「延長してすいません。ではさっきも言ったようにアンケートがあります。僕の指導方針に疑問がある人はその内容を具体的に書いて、全ての項目にマイナス3(=最低評価)をつけてください。そのかわり、そうした生徒は2度と僕の授業を受けないと誓ってください。来週から何があってもここに来ないでください。ではおしまいです。お疲れ様でした」

  僕が何に対して怒っているのか、それが伝わっていればいいのだけど。
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