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04年7月30日、千葉県は九十九里町にある「いわし博物館」で謎の爆発があったらしい。火の気のない文書貯蔵庫(だっけか)で爆発炎上・・・と書きたいが炎上はしなかったそうだ。
僕はひそかに博物館という場所を愛好している。全国くまなく制覇を続けているということではなくて、名所にとぼしい観光地に行くとついつい立ち寄ってしまうのだ。
博物館は暗い。はっきり言って「根暗」としかいいようがない。両国にあるそれは特別な例であって、基本的にマイナーな場所である。訪問者はもちろん少ない。もし訪問者がいるとすれば、元気や人生に対する前向きな意欲がなく、あるいは建設的思考および具体的行動を善としない人々である。
いわし博物館に行ったのはほんの1年くらい前だとおもう。近くの片貝海岸に行きつけの料理屋があって、そのついでに寄った。公民館やら警察署やら、なんか知らないがそういう公共の施設に隣接された割に綺麗な博物館である。もちろん入場無料。
僕と某理系科目講師Aはヒマをつぶす場所を探していたのだ。
ベッカム「お、いわし博物館ってのがありますよ」
講師A「なんですか、それは?」
ベ「いわしの博物館でしょう」
A「・・・何があるんですかね?」
ベ「・・・いわしとか・・・」
A「行くんですか?」
ベ「行かなくてもいいですけど・・・」
A「絶対に面白くないと思いますけどね」
ベ「それは僕も保障します。でもまあついでだし」
A「確かに人生で最後の訪問でしょうね」
ベ「新しい発見があるかもなあ。さっき食べたし」
行きつけの料理屋はいわしの専門店であり、我々はいわし料理と生ビールで盛り上がった直後なのである。さて、なにが展示されているのか?
初老に近い職員が2人もいて、パンフを渡してくれる(あるいは彼らのいずれかが今回の悲劇の被害者だったかもしれない。合掌)。心は躍らず、時間は止まっている。
1、様々ないわしの説明
2、いわしと日本人の歴史
3、いわしと九十九里の関係
4、いわし漁の説明
よく覚えていないがこういう感じだった。江戸時代だか何だかに使われた魚網か何かが展示されていたような気がする。ごく控えめにいって退屈の極地である。言い換えれば実に博物館の本質を突いている。博物館の見本として後世に伝える義務が我々にはある(かもしれない)。
A「なんかすごいですね」
ベ「ディープだなあ」
A「ぼくたちしかいないみたいですね」
ベ「ぼくたちがいるだけでもいいんでしょう」
A「やっぱり町がやってるんですかね?」
ベ「経営ですか、まあたぶんそうでしょう。片貝町とか(本当は九十九里町だった)」
A「こんなんあってもしょうがないですよね」
ベ「まあそれを言ったら今ここにいる僕たちのアイデンティティーが・・・」
我々は頑張って10分近く滞在した。外に出たらしーんとしている。見学時間は歴史の闇の中に消えたのだろう。被害者の冥福と真相究明を祈る。
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