予備校講師でわるかったな!





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予備校講師の実情その6 8月7日
  スケジュール管理シリーズの最終回は講師のタイプから攻める(まだ続きがあるかもしれない)。
  しかしいずれにしても、自分からスケジュールを決める働きかけができるのは選ばれし良民=予備校講師に与えられた小さな特権である。勝ち組の保障が1年であろうが、少なくともその1年は自分で人生のスケジュールを組み立てることができるからだ。勝ち組という大切で貴重な条件が必須であるにせよ、
「ああ君、12月から網走支店に転勤だ」
とか秋晴れの朝に言われるようなことはない。これはやはりありがたいことである。


  したがって善良なる市民=予備校講師は主体的にスケジュールを組むことで自己を表現するわけだ。それにはいくつかのタイプがある。


1、余裕派
  かなりの勝ち組で、3大予備校に多い(たいていはその予備校専属である)。基本給がずば抜けて高いのでそれほどたくさんの授業をする必要がない。1週間に3〜4日、合計で1週間に10〜12コマ程度で余裕の生活をおくる。予習にたっぷり時間をかけ、週に2日は趣味に興じる。
「遊びのない人生なんてむなしいじゃないか?」
語尾を右斜め前方に上げて余裕をカマシまくり、講習時もそれほど働かない。夏の場合なら合計4ターム(約4週間)で合計コマ数が60コマもあれば多いほうだ。1タームに3コマあると「疲れた疲れた」と嘆いているそうだ。

2、稼ぎ派
  やはりある程度の勝ち組で、コマ数確保のために複数の予備校を掛け持ちする。スケジュール管理に厳格で、いかにして担当コマ数を増やすかに執念を燃やし、休日は日曜だけで充分とするタイプ。それだけに体力も精力もある人がほとんど。1週間に30コマ担当するというツワモノもいる。講習も掛け持ちしまくるが、普段の授業回数が多いので
「かえって講習のときはラクです」
と豪語する。コマ数を増やすためにはどうしても中小予備校を中心にするしかなく、実際そうする。2ヶ月弱で200コマ近く担当する人もいるほどだ。

3、慎重派
  ある程度の勝ち組だが、授業の質を保ちたいし自分の時間は欲しいし、でもそんなに基本給が良くないし・・・と半端な人生を送る。人生に保険をかけるために複数の予備校を掛け持ちする。1週間に15〜20コマ程度をこなし、講習時もそこそこ働く(100コマから150コマくらいか)。僕は一応このタイプにカテゴライズされるかもしれない。

4、多忙派
  中小の予備校に多い。基本給が低いのでコマ数をこなすしかなく、生活にも追われていて生きるためにガンガン働く。中学生相手の塾にも顔を出したり、バイトとしての採点講師などをすることもある。
1  週間に20〜30コマが基本。夏の講習も150コマを超える。テストの採点などの雑用に追われることもあり、死にそうな生活を続けるしかない。2年に1回程度、体調を崩して倒れるが、しっかり復活する人が多い。

5、自暴自棄派
  面倒なことは考えたくない。今仕事があればそれでいいし、3年後のことを考えるのも面倒。アンケートが悪くても気にしないし良くても喜ばない。もちろん国民年金なんて未納だし、引越しのドサクサにまぎれて市民税まで払っていない人が多い。自分が1週間に何コマやっているか質問されてから数えだし、
「たぶん19コマじゃないか? あれ、17かな? まあそのくらい」
などと他人事のように答える。もちろん講習で自分が何をどれくらい担当しているかという自覚もないので、その担当数は闇の中にある。

6、学究余裕派
  大学で教鞭をとりながら(講師や助教授)のアルバイト。1週間に2〜6コマ程度で小遣い稼ぎに授業をする。大学という学問社会で生きていくつもりがあって実際に生きていける見込みがあるので、たんたんと授業をこなす。収入を期待していないし、また一方で学力もあるので安定してコマと収入を得る。講習などもほどよく顔を出す。夏に50コマやれば働きすぎ、という感じ。

7、学究絶望派
  大学院生に多いアルバイト。やはり1週間に2〜6コマ程度。学問社会で生きていく意欲も能力もなくダラダラとなし崩しに予備校講師専門になっていく。その割には授業に関する意識が低く、基本給も安い。なおかつ自分が望むようにコマが入らない(たいてい入らない)と文句をたれる。夏も50コマやれれば恵まれているほうだが、自分の研究もあってそこまでやれなかったりもする。


  このような様々な種族がそれぞれに個人的な希望を「伺い書」で提出し、予備校側はコマの配分をしなければならない。しかも予備校講師=世界を救済する人種は社会性に欠如しているから噛み付いてくることもある。雇う方(employer)も雇われる方(employee)も苦労がたえないのである。
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