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しょっぱい温泉宿を8時前に出る。混浴もどきの露天風呂はやっぱり混浴じゃなかった。今日も曇りだ。まあ雨が降ってないだけいいの
か。
今は新潟県にいるようなので、またまた昨日とは異なる山道を抜けて福島県に戻ることにする。大学生のときに乗ったことがある「只見
線」の駅をみにいこうか。
あまりに山奥だと、電車の軌道と道路は隣り合うことが多い。たいていは川沿いに展開する。山の中に道を作るのは難しく、それは鉄道
も同じこと。
少しだけ雨がちらつく程度の天気。悪い気分じゃない。ガソリンも時間もたくさんある。決して飛ばさずに2時間かからずに只見駅に着
く。むう、確かに昔、この駅で乗り換えのために途中下車した記憶がある。もちろん駅前にタクシーすらいない。しかし駅員はいる。ここ
はターミナル駅なのだ。
そのわりにこの駅に止まる電車は上りと下りがともに4本ずつ・・・。つまりかなりのローカル線なんだ。僕が車を降りたのは10時過
ぎだったか。この前にこの駅に電車が着いたのは1時間以上前。次にくるのは、ええと、4時間後くらいだ。
もう一度会津に行く気にはならない。しかし行きたいところがあるわけじゃない。だから会津の北にある喜多方を再訪することにする。
ご存知ラーメンの街である。たぶん9年くらい前に行ったことがある。そこからバスで30分の温泉で泊まった。それはひどい宿だった。
お金がなくて、その温泉街で一番料金が安いところに泊まったんだったな。ラーメンも2回食べた。特には旨くなかったなあ。
車を止める場所を確保する必要がある。たまたま駅前にそういう店を見つけて入る。もちろんその壁にはたくさんの芸能人の色紙。さて
さてさて。750円の基本のラーメンを頼む。やはり特に旨くはない。不思議だ。
店を出て、先に触れた熱塩温泉に向かうことにする。相変わらず小雨模様だがそこを抜けて山形県の米沢まで行くことに決心したのだ。
道路には馬車が走っている。ディープだ。
記憶がハッキリしない。僕はそこに以前に行ったときには孤独だった。その翌年に一緒に生きていく人を見つけた。そしてそれから8年
たって、また僕は孤独になって同じ温泉を観に行くのだ。あの頃は予定を立てない旅はできなかった。今は違う。今日の宿は決まっていな
いし、本当に今日の宿を僕が必要としているのかどうかも知らない。たくさんの意味で世界は僕を束縛するし、僕はその束縛から逃れよう
としている。
熱塩温泉の奥まったところにその旅館はあった。9年前にそうであったように、しなびた温泉街。射的やお土産屋が並んでいるようなレ
ベルじゃない。そこにはただ朽ちる寸前の宿屋が並ぶ。そこは行き止まり。僕は車を切り返す。その温泉街を抜ける直前にバス停を見つけ
る。あそこで1時間に1本のバスを待ったんだな。今の僕はアクセルを踏んで通過。
米沢に抜ける大きなトンネルができている。僕の7年落ちのドライブマップにはない道路だ。米沢に出たら晴れてきた。 |
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