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まだ2時にもならない。しかし、どこに泊まるか検討する時間になってきた。国道13号を北上する。
赤湯温泉、上山温泉を通り過ぎる
。赤湯温泉には数年前に入浴したことがある立派な宿があった。ちょっと時間が早すぎるし、飛び込みで泊まらせてもらうレベルの宿じゃ
ない。蔵王が国道の右側に見えている。
山形に泊まろうかと考える。ビジネスホテルをとり、市街に飲みにいく。悪くない。昨日の温泉宿の寂しさもちょっと思い出す。しかし
車はどんどん走る、つまり交通量が少ない。3時前に山形の近くまでくる。晴れている。ようし、ちょっときついけど山を越えて仙台まで
行っちゃおう(と考えたのが間違いだった)。
山形から仙台までは「山形道」という高速道路が開通している。旧道、つまり一般道は山を越える険しい道のようだ。しかし、今は晴れ
ている。時間も早いし、旧道で行こうか。だいいち、僕は高速道路があんまりスキじゃない。飛ばしたところで先に何が待っているんだい
? 短縮した時間は何に使うんだい? だったら旧道に決まってる。山の空気を吸うんだ(まだ間違いには気がつかない)。
まあまあの山道になってくる。すこし雲が出てくる。山道だもの、それが普通だよねと思う。旧道は杉林に入る。すげえ道だなあ。くね
くねと曲がりくねる。それほど高い峠を超えるわけではないのに。周りの車の数が減ってくる。道路が狭くなってくる。やたらと道路標識が出てくる。 「こっち
に行けば高速道路」 知るかっての、俺は山道を堪能するの(このへんで間違いに気がついてもいいような気がする)!
雨が降り出す。あれま。やっぱ山道だからなあ、道路も空いているし(対向車なんかいやしない)ゆっくり行くか。あれれれれ、道がど
んどん険しく、ますます雨が強くなってくる。杉林はいいとして、それぞれの木の高さが尋常ではなくなってくる。空が見えない。うーん
、やっぱり高速道路を使うべきだったか(やっと気がつく)?
気づいてみればもう後戻りはできない。道幅は狭く、路肩は雨で不安な状態だ。一度ほれてしまった人妻との逢瀬のように、それは止め
ることのできない力を持つ。ワイパー全開。大雨なんていうレベルじゃない。視界がなくなっていく。杉林はますます高く、濃くなり続け
る。受験英語でいう「すればするほど構文」の世界である(これでこのシリーズ3回目だ、実に便利な構文である)。
あ、これはまずいことになったぞ。視界は10メートルを切る。スコールのせいか杉林のせいか、カーナビ(=人工衛星からの電波で車
の位置を捕捉するのだ)が作動しなくなる。ヘッドライトを上向きにして、時速は15キロ。雨をやりすごすべきか? ガソリンはたくさ
んあるし、お茶のペットボトルが1本ある。ちょっとしたおやつもある。一晩過ごすのには問題ない・・・。
この雨の杉林の中で?? 一人
で???
走るしかない。たとえ時速15キロでも前には進むのだ。明けない夜がないように、におわない生ゴミがないように、いつかこの山道は
抜けられる(と神様に願う)。
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