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やはり低速でも走ればドライブには終わりが来る。山を降りたら雨がやんで晴れ間が出てきた。
視界は広がり、夕方の4時前。煙草に火をつける。冷静に計算すれば地獄の山越えは1時間もかかっていない。たぶん3時間は走ってい
たような気がするなあと独り言をしていたらダムに出た。
ダムの岸辺に看板が出ている。 「テロ対策実施中」 あのさ、そういうの、ここではないから、ぜったい。アルカイダがここまで来ない
って。まじまじ。
仙台近郊にある秋保(あきう)温泉に宿を取る。ちゃんと宿泊案内所があって一人向けの宿を紹介してもらう。たいした宿じゃないけど
、悪くない。1万円ちょっと。
最終日は福島へ速攻で南下。初めてキッチリ晴れる。よし、磐梯方面へ行くのだ。ダッシュ!
カーナビのおかけで裏道を走れたのでお昼前には磐梯地方へ。山の緑は濃く、空気は冷たく、日差しは暖かい。まさに清涼という形容が
似合う。吾妻小富士という山に車で登る。ガスが噴出す危険があるが美しい山であり、山頂まで徒歩10分のところまで車でいけるのだ。途中にすごい看板がある。
「火山ガス注意!」
だからさあ、どうすればいいんだって(笑)。車から降りるな、ってか車を止めるなみたいなことが書いてあるので、降りて写真撮影。
バカだねえ。
会津高原というところに1時過ぎに出てホテルでランチ。沼の向こうに磐梯山を望む素晴らしいリゾートホテルだ。時間の流れを拒むよ
うなリゾート。チョコレート色の建物が森の緑とコントラストをなす。沖縄とは違う種類のくつろぎがある。沖縄は20代のためにあり、
磐梯は60代のためだろうか。正確に言えば、古きよき時代の匂いがする磐梯高原。
食後、庭に出てデッキチェアで昼寝。宿泊客のためにキュウリとトマトが流水につけられている。沼からはアヒルたちが上陸して庭を闊
歩する。5歳くらいの子供たちが、僕と同じくらいの年齢の母親たちとたわむれている。牧歌的、という言葉が実にぴったりくる。
山は黒く、木は茂り、沼と空は青く、白い雲がかけていく。気温は25度にならない程度で、まさに高原の夏だ。誰かと一緒であればい
いなと思う。そしてそういう相手がいないことに気がつく。本当にぼくは独りになってしまったんだ。
一人旅は自分を洗い出す。自分の汚さ、清さ、ズルさ、強さ、そういうものが自分にあるんだということ再認識するための手段。僕は再
び現実の泥沼に戻るためにアクセルを踏み、新幹線の切符を買う。
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