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人生初のアガサクリスティーは「ナイルに死す」。SFとミステリーと推理小説が嫌いな僕には苦行であるが、サポーターにムリやり読まされたのだ。まあそういう読書もたまにはあるかと思って頑張る。
推理小説には僕にとって大きなハードルがある。登場人物の名前を覚えられないのだ。とくに翻訳ものがきつい。
何しろカタカナの人名が嫌いで世界史受験をあきらめたほどの僕だから、「名探偵ポアロ」は覚えられても「ティム・アラートン」あたりからかなり苦しい。まして「ジャクリーン・ド・ベルフォール」とかなってくると、「ってか、マジ、誰?」とか思いながら平均して3ページごとに登場人物の表を見るので進まない。
ストーリーは面白かったけど、それ以前の段階でつまずくというのはいかがなものか。でもまあたぶんハマる人にはたまらないんでしょうね。
村上春樹のエッセイが共著で出た。日記でも紹介した「地球のはぐれ方」。まずまず面白かった。旅行記である。
春樹は旅行記の原則として、何かの著書でこのようなことを書いている。
1、他人と同じことをして、違うことを書け
2、他人と違うことをして、それを書け
この本は完全に後者である。行き先は熱海やハワイや名古屋やサハリンなど普通なのだが(サハリンは違うかな)、訪問先が無茶苦茶。「抹茶小倉スパゲティー」を食べに行くとか、ハワイで神社巡りをするとか、ナンじゃそらとしか思えない「はぐれっぷり」である。3人の共著なので、どれが春樹の文章かなと予想して読む楽しみがある。ちなみに僕は2箇所ほど間違えた。
でもまあ、この本が2100円というのは少し高いかも(写真は豊富で内容もぎっしりではある)。文庫で700円くらいになったら試してみてください。
「予備校が教育を救う」。某K塾のエライ人の本。彼は教育関係について著作が多い。いわゆる「啓蒙系」、新書で著作が多い人だ。
予備校講師の人気に関する記述はなかなか面白い。氏によれば人気講師には2つのタイプがあるという。
1、満足度がひたすら高い講師
2、満足度もある程度高いが、不満度の高さも見過ごせない講師
ぐふふふ、どう見ても僕は2だろうなあ。
しかしながら、この本の内容でタイトルが「教育を救う」にはならないと思われる(僕の読解力にも問題はあると思うが)。具体的にどういう風に予備校が教育を救うのかがよくわからない。HPに書くレベルのしょぼいエッセイなら(笑)それでいいが、この程度で書店に並べる価値があるとは思えない。予備校関係者の意見を聞きたいものだ、まじで。
1箇所だけ笑えた部分がある。
「予備校講師は初回の授業の予習に平均して7時間をかける」
どこでこのような「平均値」を調べてきたのか問い詰めたくなるよね。まあそれはいいとして、僕だったら「1学期の全ての授業を初回前に俯瞰するのに10時間はかける」と書くけどなあ。
ついに島本理生「シルエット」が文庫化。彼女の17歳のデビュー作。
透き通るような文章。でもちょっとぎこちない描写とストーリーテリング。
高校生の女の子の、恋愛小説。私に触れてくれさえしない同級生の恋人と別れ、新しい年上の恋人とのゆるやかな日々。そして自分の奥のほうにいる自分は、昔の恋人を覚えている。
こういう説明が適当だとは思えないけど、自分の中を掘り起こしていく感じがよくわかる。ただし、全体として小説的な能力は不足している。なんと言っても17歳でこれを書いたんだ、彼女は。
もっと経験を積んで、いい作品を書いてほしい。きっとそれができる、それだけの才能を感じる作家。
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