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コメントをめぐる冒険前編。
予備校にはもちろん受講案内のパンフレットがある。通年で行う授業の紹介や指導方針や年間の予定や合格体験記など、きれいごとのオンパレード、違った、予備校の紹介をするものである。
その中に「講師紹介」というページがある。科目別に講師の顔写真があり、講師個人のコメントが載っている。たとえば「合格に向けて元気にがんばろう!」とか「受験は人生で乗り越えるべき最初の壁です」とか、そういう感じのコメントが顔写真の下に並ぶわけだ。
パンフは毎年作り変えるものだから、僕は写真もコメントも毎年変えることにしている。
05年度の城南予備校のパンフのために、今年も多くの例を考えた。字数制限60文字の中にどれだけメッセージを盛り込むか、あるいは盛り込まないかがポイントだ。生徒様は誰も読まないかもしれないが、それは僕の主義なのだ。他人が見ない部分に時間をかけること。
素案1
想像してください。
暗い森の中で、旅の連れと別れてしまいました。
あなたは何を求めますか?
→あまりに難しいので却下。これは春樹の「海辺のカフカ」からモチーフを採用した。正解は「ためらわず新しい連れを見つける」にしたかったが文字数が足りなかった。
素案2
必要な力が5つあります。
集中力。記憶力。思考力。継続力。体力。
とりあえず・・・・・・やりますか!
→04年度版「受験に必要なことは4つある(以下引用略)」の続き。
言っていることはわかるが、最後のギャグがわかりにくいので却下(・・・が6つなのがポイント)。
素案3
井戸の中のカエルは広い海を知らないそうです。
ところで、カエルって海に住んでるかな?
フクザツな比喩で失礼しました。
→世界と人生の真理を捕らえすぎてしまった。それで?と自分で思ったので却下。それ以前に「井の中の蛙、大海を知らず。されど海の深さを知る」という文句を生徒様が知らない可能性が高い。
素案4
「まだはもう、もうはまだなり秋の暮れ」
ある意味では真理ですけど、だから何だよって感じもします。
→凝りスギ。こんな川柳をどこかで読んだ気がする。書き直しを命じられる恐れがあってひよった。
素案5
いろんなところに行ってきて、
いろんなものを見ておいで。
そして最後に、君のそばで会おう。
→大好きな銀色夏生にモチーフを借りた・・・と思ったらそのまま引用だった。
盗作で訴えられるところだった。あぶないあぶない。
素案6
自分探しの旅に出よう!
と間違った意気込みを持つと道に迷います。
ぼくがちゃんと案内しますから。
まあ、ぼくが迷う可能性もありますが。
→文字数がギリギリ。最後の1行・・・。
そして僕は30文字に満たない原稿を完成させて城南予備校に送付した。
言っておくが、僕は大真面目で書いているのだ。
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