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ついに当日、1月24日。場所は某ネットカフェに落ち着いた。ネットカフェには色々な部屋がある。5つの部屋を見せてもらって決戦場所を決める。
2畳くらいだろうか。PCが2台、テレビが1台セットされていて、靴を脱いで座敷(じゃないけど)に上がる。お互いにカドであぐらをかくと、ちょうど盤を向かい合えるくらいの広さだ。蛍光灯1本の明かりだが、狭いので暗くはない。半分個室だが、管理の問題があるのか立ち上がると首がのぞく程度である。だからもちろん「隣室」の音も聞こえる。カップラーメンをすする音が聞こえてくる。しかしそれを除けば騒音や話し声はほとんどない。全く文句のない環境だ。もちろんフリードリンク。
マンガや雑誌だけでなく、ヌード写真集などもあるのでH先生は様子を探りにいく。館内全体は薄暗い。
H先生がアタッシュケースに入れて盤を用意してくれていた。僕は愛用のコマを取り出す。彼のコマと僕のコマを検分して、僕のコマを採用することになった。
振り駒(先手後手を決める方法)で僕が後手になる。煙草に火をつける。決戦は始まった。
最初のうちはネットカフェの様子を探りながら進む。
H先生「これはいい場所ですね」
べ「やみつきになりそうです」
H「あれ? 今コマの音がどこかで聞こえました」
べ「そうですか? バカかどっかにいるのかなあ」
バカは誰なんだという話である。
特に時間制限は決めていないので相手が指すときはヒマである。狭いブースを僕は見渡す。
べ「あ、ここではできないですね」
H「え? ななな、ナニを?」
べ「いや、公序良俗に反する行為はダメって書いてあります」
H「・・・(絶句)」
べ「ぜったい高校生とか来てるでしょうね」
H「と、となりがそうかもしれません」
べ「ヤルのはダメなのかあ」
H「・・・(絶句)」
べ「我々の時代、こんな空間ってなかったじゃないすか」
H「・・・(絶句)」
べ「カップルだったら絶対来ますよね」
H「ここ、泊まれますよね」
べ「足を伸ばせますしねえ」
H「の、のの、伸ばすぅゥ??」
べ「足です」
H先生は非常に真面目な人物である。
先手のH先生は7六歩。僕はためらわず5四歩を第1手に選ぶ。この1年間、真剣に模索してきた「ゴキゲン中飛車」戦法である。
これは強烈な攻め将棋であり、相手が受け方(守る方法)を知らないと一気に作戦勝ちできる。指しなれているとは言えない僕は自力勝負の戦形になるとボロが出る可能性が高い(H先生が指しなれていることはすでに立証されている)。ならば最初に有利になるように仕組んでおくのだ。うまく行けば押し切れるし、ダメでも自力勝負だ。受験と同じで対策を立てたほうが勝つチャンスが多いのだ。
「あの・・・。自分の土俵に持ち込もうとしているのはベッカム先生のほうじゃないですか?」
うるさいッ!
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