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告白しよう。
ぼくは鉄道オタクだった。
鉄道オタクという人種がこの世界に普遍的に存在することは、だいたい高校生になるくらいのときに誰もが知るだろう。
鉄道オタク、蔑称「テツ」、愛称「てっちゃん」。そう、彼はあなたの隣に今日も座っているのだ・・・というほどじゃないけど、まあケッコウな数の生息数が確認されている人種である。
さて、「そういわれてもなあ・・・」と思う人がいるだろう。わかりやすい例を挙げると、電車の開通式などで電車(正確には列車という)の写真を取っている「あの人たち」がてっちゃんの一部である。鉄道オタクである、いや元てっちゃんである私には解説の義務がある。
てっちゃんにはいくつかの種族がいる。
1、車両族
この人種が上にあげた人たちである。鉄道というシステムより物体としての車両を愛する。わかりやすいところでは、鉄道の写真を取るという不思議な行動である。わかりにくいところでは、車両の記号(ホームから見ると車両の右下か左下に書いてある『クハ121系』みたいなやつ)を見て
「ふむふむ、これは昭和62年に新しく(!)導入された・・・ブツブツブツブツ」
という行動である。
2、ダイヤ族
時刻表を毎月購入するのは当たり前(保存用と使用用の2冊を買う)。スミからスミまで読んでダイヤが変更になると(出発時間が2分遅くなるなど)大騒ぎする。
乗り換え問題にも非常に(異常に)造詣が深く、
「東船橋駅(千葉県)から中山駅(神奈川県)まで行くのはどれが一番早いか・安いか・乗り換えが少ないか」
などを半永久的に研究し続ける。駅によって(または電車によって)乗り換え時間が異なることなどにも強い興味関心を持つ。
3、施設族
その愛好の対象は主に駅舎またはホーム。古い駅舎が建て替えになるたびに深いため息をもらす。ホームに関しては
「このホームは××線と×××線が同時に使うのだが、1日に2回だけ○○線も使う、これはレアもの」
などの意味不明発言が相次ぐ。彼らにとっては「なぜ0番線という不思議なホームがあるのか?」という知識あたりは基礎の基礎。
4、実車族
他の族と重なる輩(やから)が多い。乗車中に時刻表を何回も見る(10分に2回程度)ことですぐに周囲に認識される。基本行動は
「時刻表通りに列車が運転され、計画通りに乗り換えができ、聞いていた通りに駅舎が変わっていた」
などの「知識が現実と一致すること」の確認。何時何分に逆向きの列車とスレ違うか、なども大切な問題。知識と現実が同じだから何だと言うのか、などと考えることはない。
5、私鉄族
今は国鉄の民営化に伴い全ての電車が基本的に私鉄なのだが、PCにたとえればJRはウインドウズで他の「私鉄」はマッキントッシュのようなもの。普通のてっちゃんはJRを中心に愛好するが、やはりマイナー路線を志向するものがいる。
官民共同経営の「第3セクター」鉄道、地下鉄、路面電車、あげくに沖縄県那覇市の「ゆいレール」まで手を出す。
「JRと乗り換えのアクセスが徒歩7分、すばらしい・・・」
などと独り言をする場合もある。JRに比べ田舎にある路線が多く、そのマイナーさに起因する雰囲気にブルブルする。
この他にも「SL族」「廃線族」「切符族」などがあるが、読者がついてこれないと思うので涙を飲んで割愛する(すでに誰も読んでいない可能性もある)。
さて、読者の中にも「ああ、こういう世界に踏み入ってみたい・・・」という人がいるだろうっ!(いないような気もする)
そういうあなたにオススメの入門書を2冊。
宮脇俊三「時刻表2万キロ」
25年ほど前、てっちゃんが世間に認知されていない時代に「国鉄全線完乗」を成し遂げた編集者にして作家である。いかにして地方のローカル線を踏破していくかという大人のしっとりしたエッセイ。残念なのは記述されているローカル線の多くが廃線になってしまったこと。
菊池直恵「鉄子の旅」
売れない漫画家が編集者にそそのかされ、41歳独身男性の病的なてっちゃんと旅をするマンガ。てっちゃんがいかに異常であるか(41歳横見氏はJR全駅下車!!の記録を達成している)がよく描かれているが、そんなことわかってもしょうがないだろ、という脱力感が素晴らしい。
いやあ、でも本当に面白いんですよ。れっしゃ。ふふふ。
追記:「0番線」のナゾ。番線は駅長室から近い順に1、2・・・と呼ぶのだが、主にローカル線などが1番線と駅長室の線対称の位置に来てしまうことがある。この場合に「0番線」が使われる。地方の駅では数が多く、珍しくはない(そんなこと知っている人が珍しい)。
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