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最近はこんな読書5 5月2日
  ふたたび島本理生は「ナラタージュ」。
  彼女は立教大学の4年生という若さということもあり、今回も恋愛小説だ。

>君は今でも俺と一緒にいるときに、
   あの人のことを思い出しているのか

  小説の始まりは「物語のその後」である。
  このセリフを言ったのは主人公である泉の婚約者。泉は物語の中では大学生である。
  「あの人」は泉の高校時代の先生。前作の『生まれる森』と同じで「先生と生徒の恋 愛」である(ちょっとアブナイんじゃないか)。

  このセリフでわかるように、泉と葉山先生の恋愛物語は失敗に終わることが冒頭のプ ロローグで明示されている。同様に、最後の23章では「物語のその後」が描かれてい る。
  このプロローグと最終章がなかったら、あまりにも凡庸な「恋愛物語」であったかも しれない。言い換えれば、プロローグと最終章があることで恋愛小説として成立してい るような気がする。


  「頭がいい人、悪い人の話し方」(樋口裕一)はロングセラーになりつつある 。予備校業界では小論文の講師として有名な人である。

  この手のタイトルにはもうウンザリというのが正直な感想である。「地図を読めない 男、話を聞かない女」(逆だっけ)や「金持ち母さん貧乏母さん」(後者のほうがいい 人に見えますね)あたりに始まった教養本の陳腐なタイトルから卒業してもいい頃では ないか。

  それはともかく、本書の内容は「頭が悪い(または悪く見える)人の話し方」を40 種類あげて、それをどうやって自覚するか、どう対処するかを小論文の手法で説明する ものである。
  言い換えれば「頭のいい人の話し方」の紹介は全くないのだが、その理由もきちんと 書いてある。小論文指導の第1人者だけあって、文章のわかりやすさはさすがと言って いい。内容が伴っているかどうかは別にして・・・という嫌味でもあるけど。

  とは言うものの、なかなか楽しく読める本でもある。いくつかの「頭が悪い人の話し 方」のタイトルを紹介してみよう。

「少ない情報で決めつける」
「矛盾に気づかない」
「相手が関心のないことを延々と話す」
「正論ばかりをふりかざす」
「善人になりたがる」

  こういう人っているよなあ・・・などと思い浮かべながら読んでいると、実は自分の ことだったりして汗が出る。
  二十歳過ぎくらいの読者を想定して書かれているようだが、間違いなく高校生にも読 めると思いますです。


  「司馬遼太郎が考えたこと1」。
  文庫で全15巻に及ぶエッセイ集である。すごいな、おい。

  この「1」は彼のデビュー期(昭和30年前後)の文章ばかりなので、話題が古すぎ て驚く。どっかの山寺にいって幽霊(だか何だか)に会いに行くなんていうネタまで出 てくる。司馬遼太郎なんていうと「そういえば死んじゃったんだな」くらいの感覚で 捕らえていたので、こんなに昔の人だとは知らなかった。

  歴史小説の大家なので、もちろん日本史に関するネタも多い。ところが僕は日 本史のことを綺麗サッパリ忘れているので読むのが大変である。
  たとえば「家康について」なんていう基本的なエッセイでも、自分の中に日本史の背 景知識が欠けていることが認識させられてしまう。読書の興味って結局は背景知識の有 無に左右されるんだよな、と改めて痛感。
  現在進行形で刊行されている「2」以降を買うかどうか考え中。読めば確実に自分の 栄養になるのはわかっているんだけど、知識のなさを司馬先生に笑われてしまうような 気がして・・・。


  「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」は山田真哉。
  けっこう売れているようで、この2ヶ月くらい「何の本なんだろうな?」とビビッて 近づかなかったのだが、読んでみたら面白かった。

  会計学の超基礎エッセイだった。
  タイトルの「さおだけ屋」は、「全く売れているように見えないのに誰もが知ってい るあの宣伝カー。どうやって商売が成り立ってるの?」という疑問に答えるものだ。
  「た〜けや、さ〜おだけぇ〜」の裏側には、会計学の考え方が潜んでいるとする本であ る。

  内容は7つのエピソードを通して会計学とはどういう学問なのか・どう役立つのかを 会計学初心者に説明するものだ。僕は経済関係の話題を非常に苦手にしているけれど( あるいはそれだけに)、とても面白く読むことができた。たとえばエピソード4を要約 する。

>あるスーパーが名物弁当を売るという企画を実施した。その当日、お昼を迎えるまで に弁当は完売。仕入れから販売まで担当した社員Aは大喜びしたが、その現場を視察に 来た社長から大目玉をくらった(=怒られた)。なんで?

  僕はすぐに答がわかった。さて、みなさん考えてみてください。
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