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ディープインパクト。4連勝でダービーに挑戦。
この50年、無敗の日本ダービー馬は今まで5頭とのこと。
90年代前半、つまり僕が馬券を頻繁に買っていた時代に2頭もでている。トウカ
イテイオーとミホノブルボン。トウカイテイオーはナマで観にいった。
負ける気配がなかった。正確に言えば、勝つしかないような空気を彼は持っていた
。そして勝った。
ダービーとは全ての競走馬の目標となるレースである。ダービーは3歳馬だけが参
加を許される。つまり全ての競走馬はダービーに人生で1回しか挑戦できない。ダー
ビーを制覇することは、ある1年に産まれた競走馬(国内だと6000頭くらい?)
の中で1番強いという称号を勝ち取ることだ。
極端な言い方をすれば、ダービーに勝つために競馬というスポーツは行われている
。それは絶対的な名誉。
さて今年のダービーはTVで観戦することにした。
単勝1.1倍(支持率73%以上)の圧倒的1番人気はディープインパクトである
。僕はこの馬のことを良く知らない。4月の皐月賞だけTVでレースを観たことがあ
る。スタートで出遅れて、しかし馬群をうまくさばいて楽勝。ぜんぜんモノが違うん
だなあと思った記憶がある。
人気が片寄るレースで馬券を買うのは難しい。
僕はA型にありがちな本命重視派なので、1頭だけが極端に人気のある(つまり配
当が低い)レースはかえって苦手なのである。だから馬券は買わないことにした。そ
れでいい。熱意はもてないけど、観るだけでも楽しめる空気がダービーにはある。
ディープインパクトは今日もキッチリと出遅れする。しかしスタンドのどよめきは
少ないように感じられる。彼が勝つ運命にあるレースなんだから、とでも思われてい
るのだろうか。競馬に縁遠くなった僕にはその空気は読めない。
ここまで4戦して無敗の馬。
馬が何を考えられるのかわからないにしても、負けた経験がないのは必ずしもレー
スで有利に働くものではないだろう。負けるレースを知ることで騎手の動き方も違っ
てくるのは、テクニカルな目を持つファンからすれば自明のことだ。
騎手の武豊はディープインパクトにゆっくりとしたレースをさせる。後方から少し
ずつ差をつめていくレースの中盤。
競馬ファンの多くが無敗の馬にあこがれる。ディープインパクトの「単勝1.1倍
」というのは、ハイセイコーを超える史上最高の支持率である。僕はもちろんハイセ
イコーを知らないし、今の高校生の親でも知らないかもしれないけど、とにかく異常
な人気だ。
スタートの出遅れは何も問題がなかったようにディープインパクトはブッチ切りで
勝つ。最後のコーナーでいちばん外を回って、坂上(2400M競争の最後の200
Mの地点)で先頭に立つ。
引き離す。勝つって決まってるんだという雰囲気を携えて。
騎手のインタビューを聞いてTVを消す。知らない馬だから、感動はしない。すご
いなあと素直に思うけど、それでも感動はできない。
92年、トウカイテイオーが無敗でダービーに勝ったレースを思い出そうとする。
パドック(=レース前の下見所)だけは思い出せる。
時間を共有した喜びがそのときにはあった。今はない。決して悪い意味じゃないけ
ど。しかし。
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