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前記:ネタバレはありません。
映画料金は高すぎる。
1500円とか1800円とか、ちょっとお金がかかりすぎる。
大学生のとき、池袋に「文芸座」というしぶい映画館があった。
名前の通り、しぶ〜い名作系の古い映画をリバイバル上映する映画館だった。必ず2本立て、学割で料金は600円(当時、封切館は学割で1000円)。
もちろん流行の映画ではないにせよ、かなりの確率で「おおこれはなかなかだな」という作品に会える。時間を超越するのは全ての芸術作品に課された指名である(限度はあるけどね)。鼻血が出るほど宣伝して、売れて、半年も経たずにDVDで安売りされる映画が多すぎるように思う。別に、マトリックスの悪口じゃないですよ(笑)。
件名の映画は、かつて何かの文章で見たことがあるタイトルだった。なんとイラン映画である。中東の、あのイラクの隣にあるイランだ。
たまたま新聞のTV欄でこの風変わりなタイトルを目にして、しかもそれが観ることのできる時間の放映だった。僕は貧乏なのでビデオもDVDも持っていないから、とても嬉しい。
観はじめてから思い出した。
このタイトルを目にしたのは村上春樹の文章だった。たしか、「ところでイランでは、男の子と女の子が別の時間に学校に行くんですか? そこだけよくわからなかった」とあったはずだ。
その文章を読んだとき、もちろん僕はこの映画を観ていないし存在も知らなかったわけだが、疑問が残った。イランでは・・・? ということだ。
10歳くらいの兄と、7歳くらいの妹の物語。
貧乏な家庭にいる2人。兄のミスで妹の靴がなくなってしまう。新しく買ってもらえるはずがないどころか、なくしたことすら親には言えない。
そこで兄の運動靴は兄妹で共有されることになる。妹はそれを履いて学校に行く。あわてて帰って路地裏で(←親に隠しているから)兄にそれを返す。兄は走って学校に行くけれど、いつも遅刻する。妹は学校の友達が履いている靴が羨ましくてたまらない。
ねえ、わかりますか?
兄と妹が1足の運動靴を交代に履くんですよ?
映画はたんたんと進む。
豊かではない地域のイランの街角。2人とも、靴がもう1足欲しい。
兄は学校でマラソンのレースがあることを知る。地域ぐるみの大きな大会。そこで3等になれば運動靴が賞品なんだ。いま必要なのは妹のためのかわいい靴。うん、でも新品の運動靴なら交換してもらえる。3等になればいいんだ。
映画は終わる。
レースが終わって帰宅した兄を妹が迎える。貧しい我が家には小さな水槽があって、そこには赤い金魚がいる。
こういう小さな名作を、せめて1000円くらいで見せてくれる映画界であればいいのに。お金がかかってなくても素敵な映画って、ちゃんとあるんだから。
追伸:でもやっぱ、イランでは男の子と女の子の学校に通学時間の違いがあるのかどうかわからなかった。流れ的には女子は午前中、男子は午後みたいに見えた。イスラム教圏だから(←だったよね? ちょっと自信ないな)、男女別の学校というのはわかるんだけど。
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