予備校講師でわるかったな!





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しめじ会宣言 7月13日
  僕が大学を卒業したのは1994年3月のことである。サッカーの「J リーグ」が発足した直後だった。
  世間は「なんでもいいから J という文 字を使おう」という気運に満ちていた。


  僕が属した英文学科のクラスには酒を飲みにいく8人のグループがあった。
  スキを見てはオヤジ酒場に飲みに行くのだ。いわゆる大学生的な盛り上がりを せず、ひたすら酒を飲んでオヤジ的な盛り上がりを追求し、カラオケなどはも ってのほか。その中の一人、今は公務員のMKはいつもさっさと切り上げてカ ラオケにいく事を主張していたが、公僕になろうというやつの意見を斜に構え た文学部所属の我々が承知するわけもなかった。

  「とりあえずビール!」に始まってひたすら同じ店で長居をし、店を出たら ラーメンを食いにいくという大学生らしからぬグループである。会員は以下の 通り(全て偽名)。


NT:その後予備校講師になる。毒舌・罵倒・下ネタが得意技。酒に強くはな いが弱くもなく、ダラダラと飲む最悪の人種。いい大人のくせに人見知りが激 しい。

KT:某大学職員になる。学生時代、授業そっちのけでサークル活動(児童文 化研究会)に打ち込み、恋愛を探求するロマンチスト。失恋が多かったがメン バーの中で最初に結婚し、周囲に勇気と希望を与えた。

YD:競輪に関係する職業につく。メンバー一のまめ男(まめお)。彼のもた らす試験情報は常に信憑性がとぼしく、ボロクソに陰口を叩かれたものの、そ のまじめさゆえに憎めない。メンバーの中で唯一ナンパな男。車と結婚を愛 し、小ベンツを駆るが結婚にはほど遠い。

MZ:実家の建具店(新潟県)に就職する。中国神龍空手道をたしなみながら もかわいい彼女をゲットする。メンバー中で最も酒が強い。

MK:国家2種公務員になる。超多忙な生活と引き換えに国民の血税で暮らし ている。座談における討論を愛好し、「ケンカを売っている」と 誤解される(本人に自覚はない)。

OK:アングラ劇団員になる。学生オーケストラで活躍する傍ら、学生時代か ら演劇活動に入れ込んだ。その後カワイイ嫁を取ったと の噂あり。

TZ:公立中学教員になる。ESS(ディベイト部門)に所属し英語力には定 評がある。学生時代から奇行で知られるが、それでも聖職者。女子バレーボー ル部の顧問として活躍の噂あり。学校での事件が起きる度、いつも彼の名前が 紙面に載っていないことを誰もが願っている。

YG:塾講師になる。函館出身。音楽サークルに所属し、フォークギターをこ よなく愛していた苦学生。人当たりのよさが売りで、誰に対しても3人称は「 ちゃん」付け。この10年消息不明。


  卒業直前に、この8人が飯田橋の串焼き店に集う。そのうち3人が既定の就 職先を持たず、不安を抱えたまま結束を誓うことにする。会合を持つためには 会の名前が必要となる。
  議論をした結果、「J」をキーワードにすることが決まる。串焼きの中にシ メジがあった。KTが言う、

「しめじ会にしよう」。

訊けば確かにJ(SHIMEJI)の文字が存在することが判明した。時代は Jなのだから異論が出るわけはない。


  しかし、「しめじ会」は第1回の会合を持つことができなかった。誰もが生 活に追われていて余裕がなかったのだ。そして12年の月日が流れて2005 年1月。
  NTとKTは渋谷で落ち合い、モツをつまみに死ぬほど飲んだくれる。 この2人はこの8年に渡り、季節ごとに千葉と神奈川から寄り合うようになっ ていたのだ。KTが提案する。

「この店を機軸にして、しめじ会を再興するべきではないか」

  ムッソリーニも陸奥宗光も裸足で逃げ出す提案である。われわれは調印式を 行った。

  KTが会長(何もしない)、NTが幹事長(幹事をする)になった。会と言 うからには会則を決める必要がある。

1、とにかく飲んだくれる
2、痛風にならないように気をつける
3、かっこよく年を取る!

  大学を出てから12年にもなったのだ。


追記:この文章は幹事長NTが起草し、会長KTが修正し、ふたたびNTが校 正したものです。
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