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市川市東山魁夷記念館に到着。
バス停から徒歩10秒なのはケッコウだが、このバスは1時間に1本程度とい
う運転ダイヤである。すごいな。
入場。平日の昼間だから、もちろんオバさまたちで賑わっている。
別にいいんだけどさ、オババが集うとお喋りがうるさいんだよな、静かにしろ
よな。
僕が魁夷を観るようになって13年。
中山法華経寺の近くに住んでいた彼が亡くなってから6年。市
川市名誉市民である彼の功績を記念する建物。
警備員のお兄さんたちがやたらと目に付く。まだ開館して2週間くらいだしね
。
入場する。1階は企画展。なんとなく騒がしい。
魁夷の来歴と市川市との因縁についての説明。まあこのへんの背景知識は抑え
てあるのでザッと見る。
書簡や絵の具やハンチング帽などの遺品の展示が少々。
自筆の絵葉書はちょっと珍しいのでよくよく拝見。やっぱり絵が上手だよな・
・・って人間国宝だもんなあ。
小手試しはこれまで。
さあ絵を観るぞと2階へ。ずいぶんと狭い。
館内配布のチラシだと52枚の絵が展示されていることになっているが、ざっ
と数えると40枚くらいか。
しかも、展示品のレベルがひどく低い。魁夷は唐招提寺の襖絵のような超大作
で知られているが、もともとスケッチの数が多い画家でもある。完成するまで下
絵も数多く残しているということもある。
しかし、完成作品がほとんどない。『夏に入る』という竹やぶを描いた作品が
目に付く程度。
有名な『道』があるが、これも「試作」。
『道』は完成品を含めて5枚同時に展示されているのを見たことがある。つま
りそれだけたくさんの試作があるわけだ。
つまり、何枚もの試作を経て完成品にいたる過程をみたことがあるわけだ。
ところが今日拝見した『道』はいかにも完成品まで遠い「試作」にすぎない。
道の周囲にある緑の色がボヤけすぎていて、
「ああ、これはちょっとダメだな」
というのがドシロウトの僕にもわかる。ヒマな人は上記HPにある画像のリンク
を下に貼っておきますのでご覧ください。
・『道』(完成作品)はここ。
・『道』(試作←僕が観た展示品)はここ。
展示スペースが狭く、作品同士の配置間隔も狭すぎる。
展示室に学芸員ではなく警備のお兄さんがいるのも興ざめ。デパートの企画展
じゃないんだからさ。
だいたい、この時期に冬を描いた作品がほとんどスケッチという展示センスは
いかがなものか。ガッカリして1階に降りる。
受付のお姉さんに「あの・・・ホントに展示室は1階と2階しかないんですか
?」と質問。もちろん首肯(うなずくことです)される。
ロビーにPCがあって、所蔵作品の目録が見られるという。
クリックしてみると、いわゆる大作がたくさん出ている。長野県信濃美術館東
山魁夷館で観たことのあるものばかりだ。こういうのを観たくて来たんだけどな
あ。だいたい、本当に所蔵されてんのか?
ショップに立ち寄って卓上カレンダーを買う。
新潮社から毎年出ているこれは僕のお気に入り。今回で買ったのは3回目だけ
ど。
隣接するカフェ。
オバサマたちで大混雑。開館直後ということもあるのだろうが、人の密度が高
すぎてスペースが狭すぎる。庭に出る。
「魁夷の森」と名づけられたそれは、そのヘンの児童公園より狭い。どこが森
なの、これ?
ベンチに腰かけ(2つしかない!)、建物を見ながら煙草を吸う。
実に気持ちのいい晴天だ。雲なんてありやしない。綺麗な建物、蒼い空。住宅
街に突然現れた空中楼閣みたい。
そうか、ここは美術館じゃなくて「記念館」なんだもんな。多くを期待した僕
がいけない。ゆっくりと腰を上げる。
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