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本というのは結局のところ、自分で読まなければわからない。
しかしだからといって、読むキッカケをどこかでつかまなければ、手に取る
ことすらなく終わる。キッカケになってればいいんだけど(なってないような
気もするけど)。
『僕のなかの壊れていない部分』 白石一文
本を買う流儀の一つに「巻末の解説を読む」というものがある。
僕の場合は3つのパターン。
1、信用している作家は黙って買いの一手
2、あやしい作家は裏表紙の要約をチェック
3、知らない作家は巻末解説をチェック
この小説は1のパターンで購入。彼の小説は文字ギッシリなので読むのをし
ばらく放置した。1ヶ月くらいして本屋で本書を見つけたら、もう1度買いそ
うになってしまった。あぶねえ。同じ本を2冊買うのってサイアクだよなあ。
それだけこの作家を信用しているってことですが。
内容は巻末解説の372〜374ページにつきる。
大まかに言って巻末解説は意味不明・付き合い原稿・原稿料ドロボーである
ものが多いが、本書に関してはバッチリである。
というわけで、白石一文の本を初めて読む人は上記の箇所を読んでナットク
したら買い、その逆なら無視の1手である。要約上手って実在するんですねえ
。
『萌える男』 本田透
著者本人が「萌える男」であるそうだ。
>萌える男とは、バブル時代に滅び去ったロマンティック・ラブ=純愛を求め
続けた末に、三次元の世界(恋愛資本主義システム)には純愛はないと悟り、
二次元の世界(オタク市場)にやってきた男たちなのである。
これが本書の要旨であり、最大の主張である。これが正しいのかどうかはよく
わからない。
世間では「萌える男=ひきこもり寸前=犯罪者予備軍」であるという見方が
あるが、実はそうではないとしている。これも正しいのかどうかはよくわから
ない。
個人的な感想として2つだけ。
・「萌え」の対象がなぜ少女が多いのか説明されているのが良かった
・「萌え」る女がいるのかいないのか説明されていないのが不満だった
論理的な説得力に欠ける部分が多いような気もするけど、たぶん面白い本だ
と思います。
『依存症がとまらない』 衿野未矢
どこまでが依存症で、どこまでが依存なのかハッキリしない。
それが普通の人にとっての「凝り性」だろう。本書で紹介されているのは極
度に病的とまでは言えないが、やはり依存症という人たちである。
ブランド依存、不倫依存、セックス依存、整形依存、息子依存、ペット依存
、パチンコ依存、リストカット依存。
他にもたくさんあるが、以上のような依存者へのインタビューである。
本人も依存症であったらしい著者が、きわめて淡々と依存者の発言を受け取
る。それに対する論評はあまり出てこない。しかし、言うまでもなく読者は(
たとえば僕は)その異常な世界に引き込まれる。それはたぶん、自分の中にあ
る依存は何なのかを考えたいという気持ちがあるからだ。
不満なところは、上記のように著者の考え・メッセージが乏しいところであ
る。
もし、この本の著者が香山リカ(精神科医・作家)であったら、村上春樹で
あったら、田口ランディ(作家)であったら、和田秀樹であったら、どういう
コメントをするだろうか。これだけの症例を紹介したからには、著者の意見を
読みたかったと思う。しかしあるいは、そしてたぶん著者はそれを意図的に避
けたのではないかとも思う。
「それは、読者が考えてくれ」というような意図。それはそれで悪くないね
。
『不勉強が身にしみる』 長山靖生
うまい題名である。誰でもドキッとする。
>しかし現在の日本人の不勉強ぶりは、子供に勉強をさせれば、それでいいと
いうようなレベルを、とうに超えている。自戒を込めていえば、すでに大人か
らしてダメである。
ハッキリ言うなあ。この引用でわかるように、著者自身も自分の不勉強ぶり
を本書のあちこちで認めている。
世の有識者はお利口であり、お利口が考えるような教育論が俺たち愚民に通じるか
コノヤロ、という調子である(実際にこんな記述があったわけじゃないけど)
。
本書が想定しているのは基本的に高校・大学生前後(「若者」と表現されて
いる)である。ついでに大人にも説教している。そういう意味で、「若者」が
読めばカチンと来るような刺激的な文章もある。僕自身は、こういう大人って
好きなんだよな。
>「好きなことなら、がんばれる」と、たいていの人は思っているらしい。た
だ、その「好きなこと」が見つからないだけだ、と。そうやってフリーターに
なる若者は多いのだが、本当に好きなことならがんばれるのだろうか。
>学ぶことは「好きなことを見つける」のと「客観的評価を受ける」のと「嫌
いなことでも理解し、水準以上に達する努力をする」というバランスが取れな
ければ、本当には伸びない。
痛快な批判の一方で、善後策もきちんと提案している
。
たとえば、いわゆる名作文学の「あらすじ本」について。
>あらすじだけ読んで、作品を知っているつもりになってしまったら、何も読
まないよりも、かえって有害かもしれない。(中略)(プロではなく素人が書
く名作の紹介文は)たいていはあやふやで要領が悪く、個人的な思い入れが強
く、(中略)しかしかえってそのほうがいいのであって、(若者は)何だか面
白そうだが、よくわからないから、(名作そのものを)自分で読むハメになる
のである。本に何が書かれているか知るためには、やっぱり、自分でちゃんと
読むしかない。
じゃ、自分で読んでくださいませ(^.^)/~~~
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