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essay エッセイ
最近はこんな読書11 2月4日
  本というのは結局のところ、自分で読まなければわからない。
  しかしだからといって、読むキッカケをどこかでつかまなければ、手に取る ことすらなく終わる。キッカケになってればいいんだけど(なってないような 気もするけど)。


僕のなかの壊れていない部分』  白石一文

  本を買う流儀の一つに「巻末の解説を読む」というものがある。
  僕の場合は3つのパターン。

1、信用している作家は黙って買いの一手
2、あやしい作家は裏表紙の要約をチェック
3、知らない作家は巻末解説をチェック

  この小説は1のパターンで購入。彼の小説は文字ギッシリなので読むのをし ばらく放置した。1ヶ月くらいして本屋で本書を見つけたら、もう1度買いそ うになってしまった。あぶねえ。同じ本を2冊買うのってサイアクだよなあ。 それだけこの作家を信用しているってことですが。

  内容は巻末解説の372〜374ページにつきる。
  大まかに言って巻末解説は意味不明・付き合い原稿・原稿料ドロボーである ものが多いが、本書に関してはバッチリである。
  というわけで、白石一文の本を初めて読む人は上記の箇所を読んでナットク したら買い、その逆なら無視の1手である。要約上手って実在するんですねえ 。


萌える男』  本田透

  著者本人が「萌える男」であるそうだ。

>萌える男とは、バブル時代に滅び去ったロマンティック・ラブ=純愛を求め 続けた末に、三次元の世界(恋愛資本主義システム)には純愛はないと悟り、 二次元の世界(オタク市場)にやってきた男たちなのである。

  これが本書の要旨であり、最大の主張である。これが正しいのかどうかはよく わからない。
  世間では「萌える男=ひきこもり寸前=犯罪者予備軍」であるという見方が あるが、実はそうではないとしている。これも正しいのかどうかはよくわから ない。

  個人的な感想として2つだけ。

・「萌え」の対象がなぜ少女が多いのか説明されているのが良かった
・「萌え」る女がいるのかいないのか説明されていないのが不満だった

  論理的な説得力に欠ける部分が多いような気もするけど、たぶん面白い本だ と思います。


依存症がとまらない』  衿野未矢

  どこまでが依存症で、どこまでが依存なのかハッキリしない。
  それが普通の人にとっての「凝り性」だろう。本書で紹介されているのは極 度に病的とまでは言えないが、やはり依存症という人たちである。

ブランド依存、不倫依存、セックス依存、整形依存、息子依存、ペット依存 、パチンコ依存、リストカット依存。

  他にもたくさんあるが、以上のような依存者へのインタビューである。
  本人も依存症であったらしい著者が、きわめて淡々と依存者の発言を受け取 る。それに対する論評はあまり出てこない。しかし、言うまでもなく読者は( たとえば僕は)その異常な世界に引き込まれる。それはたぶん、自分の中にあ る依存は何なのかを考えたいという気持ちがあるからだ。

  不満なところは、上記のように著者の考え・メッセージが乏しいところであ る。
  もし、この本の著者が香山リカ(精神科医・作家)であったら、村上春樹で あったら、田口ランディ(作家)であったら、和田秀樹であったら、どういう コメントをするだろうか。これだけの症例を紹介したからには、著者の意見を 読みたかったと思う。しかしあるいは、そしてたぶん著者はそれを意図的に避 けたのではないかとも思う。
  「それは、読者が考えてくれ」というような意図。それはそれで悪くないね 。


不勉強が身にしみる』  長山靖生

  うまい題名である。誰でもドキッとする。

>しかし現在の日本人の不勉強ぶりは、子供に勉強をさせれば、それでいいと いうようなレベルを、とうに超えている。自戒を込めていえば、すでに大人か らしてダメである。

  ハッキリ言うなあ。この引用でわかるように、著者自身も自分の不勉強ぶり を本書のあちこちで認めている。
  世の有識者はお利口であり、お利口が考えるような教育論が俺たち愚民に通じるか コノヤロ、という調子である(実際にこんな記述があったわけじゃないけど) 。

  本書が想定しているのは基本的に高校・大学生前後(「若者」と表現されて いる)である。ついでに大人にも説教している。そういう意味で、「若者」が 読めばカチンと来るような刺激的な文章もある。僕自身は、こういう大人って 好きなんだよな。

>「好きなことなら、がんばれる」と、たいていの人は思っているらしい。た だ、その「好きなこと」が見つからないだけだ、と。そうやってフリーターに なる若者は多いのだが、本当に好きなことならがんばれるのだろうか。
>学ぶことは「好きなことを見つける」のと「客観的評価を受ける」のと「嫌 いなことでも理解し、水準以上に達する努力をする」というバランスが取れな ければ、本当には伸びない。

  痛快な批判の一方で、善後策もきちんと提案している 。
  たとえば、いわゆる名作文学の「あらすじ本」について。

>あらすじだけ読んで、作品を知っているつもりになってしまったら、何も読 まないよりも、かえって有害かもしれない。(中略)(プロではなく素人が書 く名作の紹介文は)たいていはあやふやで要領が悪く、個人的な思い入れが強 く、(中略)しかしかえってそのほうがいいのであって、(若者は)何だか面 白そうだが、よくわからないから、(名作そのものを)自分で読むハメになる のである。本に何が書かれているか知るためには、やっぱり、自分でちゃんと 読むしかない。

  じゃ、自分で読んでくださいませ(^.^)/~~~
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